<   2008年 05月 ( 82 )   > この月の画像一覧

 

市中肺炎の副腎機能


副腎不全は重症敗血症や敗血症性ショックで頻回にみられるものと信じられてきた。
"副腎不全”の診断においては、 総コーチゾルと遊離コーチゾル濃度の“Scatter Plots と Regression Lines”(N Engl J Med Vol.350(16):1629-1638 April 15, 2004)から診断され、cosyntropin負荷試験の結果と一致すると主張されていた。
a0007242_11515876.jpg


市中肺炎でどうか?というと頻度は思ったほど多くない、だが、死亡率や入院日数と関係するという・・・福井県の先生方の報告が出現した。

Adrenal function in patients with community-acquired pneumonia
Eur Respir J 2008; 31:1268-1273
PORT score増加とともに、ACTH、血中コルチゾール増加するが、cosyntropinの投与でコーチゾル分泌反応減少

ROCカーブ解析にて、副腎機能低下は有意に院内死亡・入院日数と相関


CIRCI測定をもとに、Corticosteroid Therapy of Septic Shock (CORTICUS) laboratory harmonization projectがなされた(解説:http://www.medscape.com/viewarticle/550216)。

この論文を元に、CAPの副腎不全についてとステロイド治療について検討がなされている。

Critical illness-related corticosteroid insufficiency and community-acquired pneumonia: back to the future!
Eur Respir J 2008; 31:1150-1152


ベースの総コーチゾル(9.3 µg/L–1)が良い指標であるという報告
Diagnostic criteria for adrenal insufficiency Crit Care. 2006; 10(6): 176.
ACTH と cortisol 値がそれぞれ、20 pg/mL-1、21.3 μg/dL-1未満なら、視床下部下垂体副腎系の異常と判断するという報告があった。また、critical illness-related corticosteroid insufficiency (CIRCI)なる指標は前述した。

rapid ACTH test 2006-05-12

by internalmedicine | 2008-05-31 11:40 | 呼吸器系  

COPD:EBウィルス関与?


real-time nucleic acid amplification assayを用いたEBウィルスDNA検出法による検討

High levels of Epstein–Barr virus in COPD
Eur Respir J 2008; 31:1221-1226
安定した68名と急性悪化事例を含むCOPD患者136名のうち
EBVを急性悪化事例で65(48%)、安定期31例(46%)を検出
16名の気道閉塞のない喫煙者では、1例(6%)

EBV患者のCOPDリスクのオッズ比は12.6



原因なのか、結果なのか、bystanderなのか?COPDのウィルス感染脆弱性予想できるのだが・・・


COPD急性悪化とmtapneumovirus 2005-12-29

RSウィルスは老人・肺・心臓基礎疾患成人にとっては重要な病因となる  2005-04-28


特定のウィルス感染を病因として論じるときは慎重であるべき・・・であろう

by internalmedicine | 2008-05-31 11:10 | 呼吸器系  

口腔デバイス・タイトレーションで無呼吸治療で効果

軽症・中等症閉塞型無呼吸症候群に対し、継続的タイトレーションを行い、AHI<10を成功とする後顧的研究

An Evaluation of a Titration Strategy for Prescription of Oral Appliances for Obstructive Sleep Apnea
(Chest. 2008; 133:1135-1141)
57名のOA治療患者のうち、37名(64.9%)が成功
自宅タイトレーション後AHI評価可能なうち、27名、55%が治療成功

by internalmedicine | 2008-05-31 10:49 | 呼吸器系  

COPD:LABAの安全性 システミック・レビュー

当方、喘息におけるSMART研究(喘息に関わる2つの安全情報   2005-11-21)発表以降、LABAs単独使用に神経をとがらせている。

COPDに関する検討は遅れている。

下記システミックレビューにて
安定中等症~重症COPD患者でのLABAsの安全性が支持されたと述べている。以前指摘されていた、呼吸器疾患死亡リスク増加については示されなかった。そして、このデータでもtiotropiumがLABAsより優れていることが示された
との、報告がなされている。

Safety of Long-Acting β-Agonists in Stable COPD
A Systematic Review
(Chest. 2008; 133:1079-1087)
検索データベース:MEDLINE, EMBASE, CINAHL,Cochrane Controlled Trials Register
対象:27研究

LABA 対 プラセボ重症急性悪化減少:相対リスク [RR], 0.78; 95% 信頼区間 [CI], 0.67 ~ 0.91)
LABA 対 プラセボ、呼吸器疾患死亡という面では有意差なし (RR, 1.09; 95% CI, 0.45 ~ 2.64)

LABA+吸入ステロイド 対 LABA単独では、呼吸器疾患死亡リスク減少 (RR, 0.35; 95% CI, 0.14 ~ 0.93)

LABAs投与下の患者では有意に、気流制限、HRQOL、救急薬剤使用のベネフィットを示した。

最後に、tiotropiumは、LABAsに比較して重症COPD急性増悪頻度を減少させた。
(RR, 0.52; 95% CI, 0.31 ~ 0.87)


改めて述べるが、日本アレルギー協会は”長時間作用性β2刺激薬(吸入/貼付/経口)(LABA):セレベント(6)、メプチン(3)、ホクナリンテープなど”と記載しているが・・・慎重であるべきと述べたい。

by internalmedicine | 2008-05-31 10:36 | 呼吸器系  

運動と心血管予防

a href="http://intmed.exblog.jp/5977759/" target="_blank">身体運動ガイドライン(ACSM&AHA) 2007-08-09とほぼ同様

現在の推奨:身体運動と心血管予防
Physical Activity and Cardiovascular Disease Prevention: Current Recommendations
Angiology 2008, doi:10.1177/0003319708318582(出版:2008.5.28)
疫学的研究で、ほかの寄与因子補正後、身体運動(PA)と死亡リスクは強固な逆相関が指摘
著者らは1METあたり13%死亡リスクを減らすと報告している。
7METsを超えた運動の場合、死亡リスクは<5METsに比べ約50%~70%減少するとされる。
リスク減少は、すくなくとも一部では、心血管系リスク因子へのPAの好影響が関与している。
PA増加は高血圧者の血圧を下げ、HDLコレステロールを用量依存的に上げ、糖尿病頻度を減らす。
PAの健康上の利益は、中等度身体活動(早歩き)を少なくとも1日30分することで保証され、強運動(ジョギング)では20分・週3回で保証される。2種の運動の組み合わせでもよい



The Association Between Physical Activity in Leisure Time and Leukocyte Telomere Length
Arch Intern Med. 2008;168(2):154-158.
(レジャーでの運動不足はテロメア長短縮をもたらす など  2008-01-29)

・・・この報告の解説が記載されている・・・>Exercise in leisure time prolongs life(http://www.kcl.ac.uk/news/news_details.php?year=2008&news_id=729


2年前、社会的階層によりテロメア長影響があり、body mass index、喫煙、運動などがこの影響因子であると報告がある。
Aging Cell Vol, 5 (5) Page 361-365, October 2006
The effects of social status on biological aging as measured by white-blood-cell telomere length

BBC(Ageing 'linked to social status' BBC News(2006,19 July))解説

by internalmedicine | 2008-05-31 09:18 | 運動系  

深部静脈血栓リスク:HRT貼付剤は少ない

ホルモン補充療法を貼付剤も同様な扱いにしていたが、深部静脈血栓では経皮ホルモン補充は影響を与えがたいようだ

ホルモン補充療法(HRT)は前の「閉経後女性の虚血性心疾患の一次予防」にもあるように,最近のRCT調査では心血管系疾患の一次,二次予防ともに効果が認められないと判断されている.(MINDS:ホルモン補充療法の施行法と注意点


Hormone replacement therapy and risk of venous thromboembolism in postmenopausal women: systematic review and meta-analysis
BMJ 2008;336:1227-1231 (31 May)
観察研究のメタアナリシスで、経口エストロゲンでは、VTEリスク増加したが、経皮的エストロゲンはリスク増加なかった。
エストロゲン非使用者にくらべ、経口現行使用者の初回VTEオッズ比は2.5(95%信頼区間 1.9-3.4)、経皮エストロゲンは1.2(0.9-1.7)

経口エストロゲン使用経験者のVTEリスクは非使用者と同等

経口エストロゲン使用女性でのVTEのリスクは、1年超治療したケース(2.1, 1.3 ~ 3.8; P<0.05)に比較して、使用1年のほうが高い (4.0, 2.9 ~ 5.7)

unopposedとopposedにおいて、VTEのリスクの著明な相違はない

9つのRCTの結果から経口エストロゲンのVTEリスクは確認された (2.1, 1.4 ~ 3.1).

経口エストロゲンと血栓性変異の組み合わせ、肥満がさらにVTEのリスクを促進する

しかし、経皮エストロゲンは、VTE高リスク女性で付加的リスクがあるようではない

by internalmedicine | 2008-05-30 18:03 | 動脈硬化/循環器  

かぜは気道感染の元:ライノウィルスのマクロファージへの影響

ライノウィルスは“かぜ”の原因、“かぜは万病の元”という次第で、ウィルス感染から細菌感染へ移行する、そして、上気道感染から下気道感染へ移行するメカニズム

Rhinovirus exposure impairs immune responses to bacterial products in human alveolar macrophages
Thorax 2008;63:519-525
【背景】ライノウィルス感染は、喘息の急性悪化の主要原因として合併症・死亡率に影響をもたらすと考えられ、嚢胞性線維症や、COPDの急性悪化を生じることも知られている。細菌・非定型細菌感染と関連が多く、肺胞マクロファージが気道のおもな免疫細胞とはたらき、細菌感染防御に重要。ライノウィルスが肺胞マクロファージの免疫反応に影響を与えるなら重要な反応となるだろう。
【方法】ライノウィルスが、ヒト肺胞マクロファージののサイトカイン遊離パターン認識受容体発現、貪食に影響を与えるかの検討

【結果】暴露後3日までに活性ライノウィルスがマクロファージ内に検出し、10日間ウィルスのRNA発現は持続する。

感染ライノウィルスは、マクロファージ遊離TNFα、IL8を増加させるが、UVにて不活化されたライノウィルスでは増加しない。

感染ライノウィルス傷害 lipopolysaccharide と lipoteichoic acid により、マクロファージからTNFα、IL8分泌を誘導する。

ライノウィルス・マクロファージ抗細菌免疫反応の障害では、IL10、PGE2やToll-like receptor 2のdownregulationを障害しない。

さらに、標識した細菌粒子のマクロファージ貪食反応は障害したが、ラテックス・ビーズへの反応は低下しなかった。


TLRのリガンドで重要なものはグラム陰性菌のLPS(リポポリサッカライド)に代表されるリポ多糖、リポタンパクなどの脂質である。これらの脂質は・・・主にTLR4、TLR2により認識される。

by internalmedicine | 2008-05-30 11:18 | 呼吸器系  

女性成人:アスピリン100mg/日で、喘息発症10%低下

“Aspirin Reduces Asthma Risk Among Older Women”
アスピリンは高齢女性の喘息リスクを減少させる
Businessweek)という記事

男性ではアスピリン使用群では、喘息成人発症のリスク低下が小規模だが、有意にみられ、そのリスク減少は22%程度。女性でも観察研究で同様なことが見出されていた。ランダム化された報告

肥満でない女性では、男性よりその効果は小さいという報告だが、低用量で影響があるという話。興味あることに4-11%のリスク増加がアスピリン投与によりもたらされるということもあり、アスピリンを、喘息リスク減少のために使用するかは議論があり、かつその詳細もまだはっきりしない


Randomised aspirin assignment and risk of adult-onset asthma in the Women’s Health Study
Thorax 2008;63:514-518
【方法】アスピリン+ビタミンEのランダム化二重盲検プラセボ対照臨床トライアル
対象は、アスピリン治療の適用がなく、禁忌もなく、喘息病歴もない
年ごとの女性医療従事者喘息診断自己報告

【結果】37270名の喘息報告の無い女性のうち、10年フォローアップにて、喘息診断
アスピリン群:872名
プラセボ群:963名
(ハザード比 0.90; 95% CI 0.82 ~ 0.99; p = 0.027)

この10%の成人喘息発症リスク低下はBMIに有意に修正される
ただ、BMI≧30 kg/m2の女性では影響なし

アスピリンの影響は、年齢、喫煙状態、運動レベル、閉経後ホルモン使用、ビタミンE割り付けにより有意には修正されない。


炎症とadipocyteが関係していることは確か・・・と思うのだが

by internalmedicine | 2008-05-30 09:55 | 呼吸器系  

gabapentin:アルコール依存へ有望な治療薬の可能性

gabapentin(ガバペンチン)は、GABA系の薬剤で、以前更年期hot flashへの非ホルモン療法 2006-05-04 適用外処方:医師の自由裁量制限は結局患者のためにならない 2008-04-03  、糖尿病性神経障害 2007-07-13 でふれている。

今回は、アルコール摂取との関係で、注目されている。

Cellular and Behavioral Interactions of Gabapentin with Alcohol Dependence
J. Neurosci. 2008 28: 5762-5771; doi:10.1523/JNEUROSCI.0575-08.2008
Gabapentinは、抗痙攣作用を有するGABAの構造的analogである。
gabapentinの治療有効性にかかわらず、その分子・細胞メカニズムは不明なところがある。
中枢のへんとう核(CeA)で、GABAergic systemはエタノール摂取の調整を行っているということが判明した。
CeA切片のGABA作動伝達におけるgabapentinの作用をアルコール依存動物モデルで調べた。
Gabapentinは、非依存ラットからのCeAニューロン中のGABA受容体を介したIPSCs(GABA-IPSCs)を誘発された電位を増加させるが、エタノール依存ラットのCeA内の出には減少させる。Gabapentinの効果は特異的GABAβ受容体アンタゴニストにて遮断される。
GABA-IPSCのGABA受容体へのアンタゴニスト・アゴニストへの感受性は慢性エタノール投与後は減少することは、エタノール誘発によるGABAβ受容体のneuroadaptationをはエタノール依存症と関連があることを示唆し、慢性エタノール暴露下のさまざまな影響の説明となる。
全身へのgabapenin投与は、依存症のエタノール摂取を減少させるが、非依存では減少させない。急性依存モデルでの禁酒による不安様効果を改善する。
GabapentinのCeAへの直接注入で、オペラントアルコール反応での依存症誘起性を減弱させる。
これらの知見をあわせれば、gabapentinはエタノール依存症の行動的指標の改善をもたらし、CeAニューロンへのgabapentinの影響を元に戻し、依存症の有力な薬物治療となりえる



【お断り】 あくまでも、動物実験と考察なので、ヒトにそのまま応用できるかどうかはわかりません。

by internalmedicine | 2008-05-29 12:10 | 精神・認知  

切除胃内視鏡の前処置にコーラを飲もうよ

medpage todayからなのだが、胃切除後の内視鏡に“コーラ”が有効という話

胃切除は現在、胃がんや肥満手術でも行われているが、食物残存、胆汁逆流などがあり、内視鏡困難にする。
内視鏡前に、コカコーラを700mlのませば、他の検査前処置よりこの問題を解決できるという話が、DDWであったそうだ。

腫瘍部位、術式、手術からの経過期間、性差の因子補正後、コーラ処理により有意に食物残渣リスク改善 (OR 0.032, 95% CI 0.001 ~ 0.42)
生理食塩水洗浄ひつような胆汁逆流は有意にコーラ処理で因子補正 (OR 0.102, 95% CI 0.03 to 0.43, P=0.001)、未補正 (P=0.015) でも有意差あり


原著:Joo M, et al "The effect of oral cola ingestion for the endoscopic inspection of remnant stomach -- Randomized case control study" Digestive Disease Week 2008; Abstract W1445.

by internalmedicine | 2008-05-29 11:43 | 消化器