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サリチル酸系薬剤が糖尿病治療・予防に役立つ?

Salsalateって、NSAIDで、サリチル酸に分類される薬剤で、ブランドネームはMono-Gesic、 Salflex、 Disalcid、Salsitabなどらしい。サリチル酸系のブドウ糖代謝への影響は知られていた。

本来、非ステロイド系の抗炎症剤なのだが、今注目なのが、2型糖尿病予防に役立つかどうかということで、どの程度、確からしいのかが気になるし、インスリン増加経由だと、内臓肥満に対しては決して好ましい作用とはいえないわけだし・・・

クランプ法によるインスリン作用と糖負荷試験による耐糖のへの二重盲検

The effect of salsalate on insulin action and glucose tolerance in obese non-diabetic patients: results of a randomised double-blind placebo-controlled
Diabetologia. 2008 Dec 23.
【方法】 ランダム化二重盲検プラセボ平行トライアルで、 NIDKK (Phoenix, AZ, USA)の入院患者
BMI≧30 kg/m2の54名の成人(18-45歳)

介入は salsalate (3 g/day, n = 28) or identical placebo (n  = 26) を7日間
割り付けは、性別ブロック毎に分けた。
主要アウトカムは、75gOGTTによる耐糖能と、 euglycaemic–hyperinsulinaemic clamp (インスリン注入速度 40 mU m−2 min−1)によるインスリン作用

【結果】47名が完遂、40名を解析(salsalate n=22、プラセボ n=18)

Salsalate治療は空腹時血糖濃度を減少 (mean [SD]; 4.83 [0.28] vs 5.11 [0.33] mmol/l, p = 0.001)

OGTT中のブドウ糖AUCを低下(p = 0.01)

R d増加(20 [8] vs 18 [6] µmol [kg estimated metabolic body size]−1 min−1, p = 0.002)

インスリン濃度増加による正常化後のR dへのsalsalateの影響は消失(p = 0.9)

副作用はこの研究中観察できなかった。

【結論・解釈】 サリチル酸の血糖降下作用は、インスリン作用を改善するというより、インスリン濃度に依存した作用であるようだ。

サリチル酸をベースにした合成物が2型糖尿病の治療・予防へ有益である可能性がある。

Trial registration: ClinicalTrials.gov NCT 00339833.



インスリン増加作用によるもの・・・としたら、あまり期待できないのではないだろうか?
結論は真逆ではあるが・・・

by internalmedicine | 2008-12-30 09:47 | 動脈硬化/循環器  

インフルエンザ:動物種ジャンプにポリメラーゼ遺伝子変異重要 決してNeuesではないと思うのだが・・・

世界で初めて・・・って書いてないので、別に嘘を言ってるわけではないが、決して、全く新しい知見というわけでもない・・・誤解を生むような科学報道はやめてほしい

インフルエンザウィルスの種バリア・ジャンプを説明するのpolymerase gene変異で説明できるという報告は、Juergen Stech( Institute of Virology in Marburg, German)が2005年に存在する。
   ↓
The viral polymerase mediates adaptation of an avian influenza virus to a mammalian host
Published online before print December 8, 2005, doi: 10.1073/pnas.0507415102 PNAS December 20, 2005 vol. 102 no. 51 18590-18595



NHKニュースで流していたニュース 12月30日 7時18分(http://www3.nhk.or.jp/news/t10013302381000.html#) 
インフルエンザウイルスの毒性の強さにはウイルスが増える際に働くたんぱく質が深くかかわっていることが、東京大学医科学研究所の研究でわかり、新しい治療薬の開発につながる成果として期待されています。

研究を行ったのは東京大学医科学研究所の河岡義裕教授たちのグループです。研究グループは、1918年に流行し、世界で4000万人が死亡した「スペインかぜ」というインフルエンザウイルスの遺伝子の一部を、毎年流行しているAソ連型のウイルスに組み込んで調べました。ウイルスが細胞の中で増える際に働く「ポリメラーゼ複合体」というたんぱく質をスペインかぜのものに変えてフェレットという動物に感染させたところ、それまで鼻やのどでしか増えなかったウイルスが肺でも増えて重い気管支炎や肺炎を起こすなど強い毒性を持つことがわかりました。このたんぱく質を抑えることができれば、タミフルなどこれまでのインフルエンザ治療薬と違った働きをする新しい薬を開発できると期待されています。河岡教授は「毒性の強さにかかわるこのたんぱく質の働きを抑える薬が出来れば、近い将来大流行すると懸念されている新型インフルエンザにも効果が期待できるのでは」と話しています。この成果は「米国科学アカデミー紀要」の電子版で30日に発表されます。


Viral RNA polymerase complex promotes optimal growth of 1918 virus in the lower respiratory tract of ferrets
PNAS published online before print December 29, 2008, doi:10.1073/pnas.0806959106


NHKの科学放送・報道のレベル低下が著しい・・・と思う昨今

by internalmedicine | 2008-12-30 09:08 | インフルエンザ  

高脂肪食は概日リズムを崩す

ひきこもり&肥満の概日リズム異常の病態説明になる?


High-fat diet delays and fasting advances the circadian expression of adiponectin signaling components in mouse liver
Endocrinology.2008; 0: en.2008-0944v1



Science Dailyの解説
高脂肪食は、カロリーの過剰摂取のための肥満につながるだけでなく、サーカディアン・リズムのバランスに影響を与えるとエルサレムのHebrew大学の研究者たちの報告

生物学的時計は、メタボリズムに関連する酵素・ホルモンの発現and/or活性を調整する。たとえば、ホルモンバランス、肥満、心理的、睡眠障害、癌などにも影響を与える。


Dr. Oren Froyらは、実験マウスで、食事と生物学的時計のバランス不均衡をcause-and-effect relationにて示した。

この仮説を証明するため、Froyらは、肝臓のadiponectin signaling pathwayのclock controlが、饑餓・高脂肪食により影響されるかを検討した。
Adiponectinは分化adipocyte(脂肪組織)から分泌され血糖・脂肪代謝に関与する。
脂肪酸のoxidationを増加させ、インスリン感受性を促進させ、適切な代謝を維持するために重要なファクターなのである。

饑餓後の低脂肪・高脂肪食で、様々な活性レベルで、adiponectin代謝経路の構成成分を測定し、低脂肪食にて、adiponectin signaling pathwayは正常の概日リズムを形成するが、高脂肪食では、phase delayを生じる。

饑餓はadenosine monophosphate activated protein kinase(AMPK)値を増加させ、高脂肪食は減弱させる。脂肪酸代謝に関係する蛋白で、低値にてこの効果は消失する。

by internalmedicine | 2008-12-30 08:52 | 動脈硬化/循環器  

現行の出版システムは科学をゆがめている

今ひとつ、Analogyが効いてないような気がするし、内容も今ひとつのような気がするが・・・

Why Current Publication Practices May Distort Science
PLoS Medicine 5(10): e201 Published Oct. 7, 2008
生物医学研究の現行の出版システムは、研究室や医療の現場で作られた科学的データのリアリティーを歪曲するものである。このシステムは、経済学の分野での原則を適用することができる。

“winner's curse”とは、publication biasのより一般的な言い方である。出版選択された、少数側部分が、リアルワールドの科学者によるサンプリングを表すものでなくなること

基礎科学検査・臨床的研究のアウトプットという供給が豊富であるが、出版制限(インパクトの高いジャーナル)という極端なバランス欠如により、科学の自己修復メカニズムは障害されている。このシステムは、もともと、資源のmisllocationの原因になる傾向にある。

利用できるアウトレットが少ないのは人工的であり、出版のコストに基づくとともに、選択性が質と等価との信念に基づいているのである。

科学とは、巨大な不確実性を対象とするものである;現在も、最終的に価値あるものとなるだろうという努力がなされているがそれが本当なのかどうかはわからない。

しかし、現行のシステムは少数を破棄するものであり、それは、予測不能の未来を予測するための権威付けされた予測を行うことがなされている。

社会の期待、科学者としての自己目標を考慮すれば、いかに、科学データが判断され、広まるか再考するモラルimperative(緊急責務)が存在する。


Winner's curse(「勝者の呪い」)
国債入札、掘削権オークション、不動産競売などのように、商品の価値について、ある種の共通の市場価値が与えられる商品のオークションを「共通価値のオーション(common values auction)」という。共通価値のオークションにおいては、各プレーヤーがこの転売時の市場価格(商品の共通価値)を予め知ることができず、各自推定しなければならない。その場合、後で決まる商品の転売市場価格を上回った推定をしていたプレーヤーが往々にして落札する(勝者となる)。すなわち、「勝者」である落札者は、商品の共通価値を上回る推定額を出したために落札することができたものの、その価格は転売市場価格を上回っているため、転売することで損失を被ってしまう。このことを「勝者の呪い」という。(http://gms.globis.co.jp/dic/00704.php)


The winner in an auction tends on average to have overpaid, especially when no participant is sure exactly how valuable the item is.

Analogy:Scientific studies try to find true relationships, but none are certain of what these relationships are exactly. Published articles, especially in very competitive journals, have on average exaggerated reults.

いわゆる、n.s.なデータは好まれないし、投稿しがたい。平均的に誇張された結果となるようなものがとなる



Oligopoly(売り手寡占)
売手寡占とは、マーケットにおける売り手が少数の供給者に支配されている寡占状態のこと。通常、寡占と呼ぶ場合、この売手寡占のことを指す。http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_3619.html

A markett where a few traders have the major share and each oligopolist has significant power to influence the market.

Analogy:Ver few journals with limited publication slots (compared with geometrically increasing scientific data that seek publication) determine highly visible science.

出版スロットが少ないジャーナルでは、非常に目立つサイエンスを決定することはきわめて少ない



Herding(追随行動)
市場心理などで大局的な意見についていく行動http://wiki.livedoor.jp/mizunobara/d/%A5%CF%A1%BC%A5%C7%A5%A3%A5%F3%A5%B0%A1%DAherding%A1%DB

"Follow-the-leader" behavior. the actions of the first or dominant player supersede the individual information and actions of all hte players in a market.

Analogy:Scientists may uncritically flollow paths of investigation that are popularised in prestigious publications, neglecting novel ideas and truly independent investigative paths.

一流のジャーナルの文献なら無批判に従い、新しいアイディアや、真の独立した検討方法は無視する



Artificial scarcity
”Artificial scarcity”は、充分量生産可能テクノロジーや生産能力があるのにそのアイテムの希少性が存在することを示す。
売り手寡占構造でもっとも作られ、特定のマーケットで高コストにおくこと、意図的に権利を形成するなどが原因となる。artificial scarcityによる非効率性を死重的損失(deadweight loss)として呼ぶ

Restrictions on the provision of a commodity above that expected from its production cost.

Analogy:Print page limits are an obvious excuse for failure to accept articles, and further the small number of major "hgh-impact" journals have limited slots; extremely low acctptance rates provide status signals to successful publications and their authors.

インパクトの高いジャーナルでのスロット数が少ないことで、逆に、出版社や著者の成功ステータスとなる。



Uncertainty
Situation where the real long-term value of a commodity is largely unpredictable.

Analogy:For much(most?) scientific work, it is difficult or impossible to immediately predict futrue value, extensions, and practical applications.

ほとんどの科学的仕事は、将来の価値、広がり、臨床的適用などすぐには予測不能



Branding


Analogy: Publishing in selective journals provides evidence of value of a research result and its authors, in dependent of the manuscript's content.

選別ジャーナルの出版は、研究結果や著者の価値のエビデンスとなる

by internalmedicine | 2008-12-29 14:32 | 医学  

保険者は保険制度説明義務を果たしてないのではないか?

保険者は被保険者に懇切丁寧に保険制度を説明する義務があるのではないか!保険者がこの義務を怠ってるため現場に負荷をもたらしている経験をする。たとえば、“住民検診を受けてないから、レントゲンを撮りに来た”“ヘリコバクターピロリを調べてくれ。癌にならないため”などを保険診療を前提として希望してやってくるのである。これを説明して、自由診療に持って行けない場合、病院側の労苦はただ働き+悪評垂れ流しされるのである。

診療側から言わせれば、“保険者側が説明義務”を果たしてないといえるのだ。
また、窓口負担を払わない輩が増えている。そもそも、なぜ、診療側が代理徴収しなければならないのか?・・・以前から思っている疑問である。

こういう事例がでてきた。
   ↓
歯科無料診療 得をするのは誰なのか(12月28日)
北海道新聞 12月28日
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/137825.html
無料診療は一見、誰も損をしないようだが、過剰な診療や不要な診療が繰り返されると、国民健康保険をはじめ、ただでさえ財政が厳しい各種健康保険の運営に悪影響を及ぼすだろう。


診療側にとっては、窓口請求無しや勝手な減免はやってはいけないことは常識なのだが、残念ながら被保険者にとってはその常識さえないのだ。

医療保険制度-保険診療のしくみ-

http://www.ssk.or.jp/sikumi/iryou.html



役人も保険診療や自費診療・自由診療の枠を突き詰めてないのではないかという問答の一場面がある。質問に正確に答えてないのである。
  ↓
○福井専門委員 まず1つ目は、出産のために入院した人が同時に骨折などのけがをして、その治療を同じ病院で同時に行うということは適法か違法かということ。
 第2は、例えば自動車事故の治療を、当初損害保険の方で始めて、一連の治療の途中で医療保険の方に切り変えるということができるのかどうか。
 3つ目は、自由診療の健康診断という中で見つかったポリープについて、その検査の途上で切除してしまうという治療行為が混じるということができるのかどうかというのについて、適法・違法かという現行制度の枠組みでの評価をお聞きしたい。


○武田室長  自由診療と言いますか、保険外診療ですね。例えば健康診断で異変が見つかって、検診と言いますのは、あくまで診断行為ですが、病気を前提としていないものなので、途中で異常が見つかりまして、病変があるということで、そこから治療に切り変わった場合については、その時点から保険診療という整理が可能だろうと思っています。
いわゆる「混合診療」の解禁(保険診療と保険外診療の併用)について
http://www8.cao.go.jp/kisei/giji/02/wg/action/02/gaiyo1.html


アホ役人・馬鹿役人と書くとよく批判されるのだが、ほんとの事だから仕方がない。
現場での物事を追求することなく、机上で仕事をやってるからそうなるのだ・・・

by internalmedicine | 2008-12-29 09:15 | 医療一般  

ベースラインLDLが低いほど治療効果あり

ベザフィブラート治療に限ったことなのだろうか?・・・LDLコレステロール値の基礎値が低いほど予防効果があるという・・・私には意外な結果(フルテキストを手に入れて・・・補充しようと思う)なのだが、The Lesser, The Betterの一表現型なのかもしれない。

この高脂血症治療に関して、世間で、一次予防と二次予防の混同がなされてるが、この結果は冠動脈疾患二次予防の話・・・・

Relation of Clinical Benefit of Raising High-Density Lipoprotein Cholesterol to Serum Levels of Low-Density Lipoprotein Cholesterol in Patients With Coronary Heart Disease (from the Bezafibrate Infarction Prevention Trial)
American Journal of Cardiology Volume 103, Issue 1, Pages 41-45 (1 January 2009)
3020名のCADを持つ患者の、7.9年フォローアップ、非致命的心筋梗塞・心疾患死亡を定義とする主要心血管イベントが脂質レベル変化と関連した。
ベースラインLDL値をNCEP-ATPクライテリアに従いカテゴリー化
多変量解析にて、HDL値増加のベネフィットはベースラインLDL低値(≦129 mg/dl)では5mg/dlHDL増加毎に29%リスク減少)、中間LDL値(130-159 mg/dl)では5mg/dl毎に13%リスク減少し、高LDL値(≧160mg/dl)ではハザード比 0.94(95%信頼区間 0.75-1.17, p=0.14)で有意差認めず

同様の相関が、トリグリセリド減少でも見られるが、LDLコレステロール減少のベネフィットはベースラインLDL高値(≧130 mg/dl)例で特に特に大きい。。


結論は、このデータは、HDL・トリグリセリド治療改善による臨床的改善効果はベースラインのLDL値と逆相関することである。

ベースラインの脂質値とフォローアップ脂質値をともに評価することで、CAD二次予防患者の治療目標に新たな目標値が設定されることとなるだろう

by internalmedicine | 2008-12-27 10:49 | 動脈硬化/循環器  

脳の饑餓がアルツハイマー病の一原因となる可能性

意外に教訓的な話につながる・・・

Phosphorylation of the Translation Initiation Factor eIF2 Increases BACE1 Levels and Promotes Amyloidogenesis
Neuron, Volume 60, Issue 6, 988-1009, 26 December 2008

脳の慢性饑餓状態がアルツハイマー病の一病型の生化学的プロセスのトリガーに成り得る。
Northwestern University's Feinberg School of Medicineの研究者たちは、sugar glucoseを充分与えず、脳の動脈血流を制限し、蛋白のsticky clumpを生じるプロセスが始まる。著者であるRobert Vassarは、脳をエネルギー不足にさせると脳のキー蛋白が変化し、その変化した蛋白はelF2αであり、これが、sticky protein clumpを生じるスイッチを押すこととなると述べている。
この発見は、脳の血流改善がアルツハイマーの予防治療への効果的アプローチが成り得る可能性を提示していると主張している。



現在できることは、運動にて脳の血流を上げ、コレステロールを減らし、高血圧マネージメントをちゃんとすることが認知症予防に役立つということで、脳の血流が保てるということになる。

血管拡張にて、血流増加が酸素運搬・ブドウ糖運搬を改善することとなる可能性もあり、またelF2α蛋白のブロック創薬にてアミロイド斑のようなprotein clumpの合成阻害の可能性も出てくる。
 ↑
それまで、運動でもして時に血流を上げ、動脈硬化を予防して待っておこう・・・

by internalmedicine | 2008-12-27 09:34 | 精神・認知  

血小板減少治療薬:eltrombopag長期安全性・有効性

FDAで承認された、、コルチコステロイド、免疫グロブリン、脾臓摘出への反応が不十分な慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者へのeltrombopag (Promacta)は”orally active non-peptide agonist for the thrombopoietin receptor”ということで、

Eltrombopagによる通常の治療に反応しない慢性ITP治療  2007年 11月 29日
型肝炎ウィルス肝硬変血小板減少症への治療薬:Eltrombopag 2007年 11月 29日
で、このブログで言及した薬剤(私個人は、C型肝炎における血小板減少例への脾摘→インターフェロンより薬剤投与下でのインターフェロンに期待を持っている)


EXTEND (Eltrombopag Extended Dosing Study)
の長期解析の立場の発表らしい

2つのプラセボ対照研究がITP200名対象に行われ、6週間治療にて有意に血小板数改善し、臨床的な意義があったことが示された。長期安全性・有効性評価のため、血小板数を5万以上と目標を上げ、検討したもの



Oral Eltrombopag Treatment Reduces the Need for Concomitant Medications in Patients with Chronic Idiopathic Thrombocytopenic Purpura.
Blood (ASH Annual Meeting Abstracts) 2008 112: Abstract 3424

by internalmedicine | 2008-12-27 09:11 | 内科全般  

Apolipoprotein(a)の生理機能:炎症・血栓への作用

Lipoprotein(a) (Lp(a)) はLDLと類似するが、apolipoprotein、apo(a)を追加で含み、アポB-100とS-S結合して存在するのが特徴。いままで、無数の検討がこのLp(a)について、LDLと独立した心血管病態リスク要因として検討されてきた。このapo(a)の検討。ほぼヒト特異的なためなかなかin vivo研究が進まなかった分野。


A Physiological Function for Apolipoprotein(a): A Natural Regulator of the Inflammatory Response
Experimental Biology and Medicine 234:28-34 (2009)
Hoover-Plowらは、白血球apo(a)の役割として、in vivoにおけるnatural cell specific suppressorとして働くことを示した。
加えて、このapo(a)の新規役割として、サイトカイン産生の選択的調整を見いだし、Plgの分子擬態と独立した機能である。

Lp(a)はLDLと類似するが、Lp(a)はapoliporoteinであるapo(a)を付加的に含む。
無数の臨床研究が40年ほど行われており、心血管病態に広く、LDLと独立したリスク因子として取られられてきた。
apo(a)の病態活性の多くは、強力なプラスミノーゲン類似作用、プラスミンのzymogen、血栓退縮のプライマリ酵素というところの関心が向く。

この血栓溶解に加え、プラスミンは炎症における白血球動員に必要で、in vitro研究のいくつかでプラスミノーゲン白血球動員において、apo(a)の干渉が示されているが、in vivoでの研究ではこのエビデンスはない。

Lp(a)機能のin vivoの研究は小動物モデルがいまだ活用不能なため障害となっている。
Lp(a)はヒト、非ヒト霊長類、ヨーロッパハリネズミのみで発現する
のである。
Hoover-Plow研究グループは、プラスミノーゲン欠損あるいは補充apo(a)マウスモデルを用いて、炎症の3モデルで白血球動員を検討したもの

Hoover-Plowは「apo(a)は炎症の2モデル、thioglycollate とlipopolysaccharide による腹膜炎モデルでは白血球動員を阻害する」と述べている。
Apo(a)は好中球chemoattranctantを抑制し、好中球chemoattractant投与マウスでは好中球動員は回復する。好中球動員阻害は、プラスミノーゲンのメカニズムと独立して生じている。
apo(a)の病態機能に注目する一方、Lp(a)の生理機能はわかりにくいが、ヒト・非ヒト霊長類で役割が斟酌すべき存在であろう。
この結果、apo(a)が、プラスミノーゲンの作用と独立して、好中球動員をin vivoで証明し、細胞特異的な抑制としての機能があるということが示されたはじめての研究であるという話



リポプロテイン(a)がなかなかメジャーになれない?・・・理由がわかる解説であった。
Lipoprotein(a) [Lp(a)] は2つの側面、atherogenesisにおける独立した影響を示すlipoproteinであること と LDLに類似した分子であることである。LDL分子がglycoprotein apolipoprotein(a)[apo(a)] にくっついてできあがるもの。
このapo(a)はapo(a) gene locusのkringle IV(K-IV) の他種のrepeat数からなるsize polymorphismを示す。このpolymorphismはLp(a)値の重要な決定因子で、1000倍超の個体差を示す。LMW(低分子)apo(a)発現型のK-IV反復数小数発現のひとは、反復数多数よりLp(a)濃度が著明に平均で高い。LDLコレステロールとLp(a)ともに心血管疾患のリスク要因である強いエビデンスがある。
LDLコレステロールはHMG-CoA reductase阻害剤(スタチン)により低下するが、Lp(a)はこの治療に抵抗する。(http://www.nature.com/ki/journal/v66/n1/full/4494593a.html




by internalmedicine | 2008-12-26 10:56 | 動脈硬化/循環器  

プロトコールと実際の文献との不一致:サンプルサイズ・データ解析

ランダム化トライアルがなされたとしても、正しくそのプロトコールがなされてなければ、その報告自体に疑念が生じる
 ↓
たとえば、武田製薬の愚行PROactive 10 ・・・エンドポイントをねじ曲げ後出しじゃんけん 2008年 03月 27日

Discrepancies in sample size calculations and data analyses reported in randomised trials: comparison of publications with protocols.
BMJ 2008;337:a2299, doi: 10.1136/bmj.a2299 (Published 4 December 2008)
【目的】サンプルサイズ計算がどのように行われ、統計解析が事前特異化しているか、変改しているか
【デザイン】後顧的コホート研究
【データソース】scientific-ethics委員会(デンマーク、Copenhagen と Frederiksberg)により出版されたランダム化平行群トライアルで1994-5年初回承認されたプロトコールとジャーナル出版(n=70)
【主要アウトカム測定】サンプルサイズ計算と統計方法に関する鍵となる情報を提示してないプロトコールと文献比率、プロトコール・文献における情報提示間の解離比率
【結果】サンプルサイズ計算を完全に記載し、プロトコール・文献とも完全に一致したのはトライアル中11/62のみ
プロトコール逸脱の取り扱い法を記載しているのは37プロトコール、43文献
消失データの取り扱い法を記載しているのは16プロトコール、49文献

プロトコール 39/49、文献 42/43は、プライマリアウトカム測定解析についての統計的結果を記載
プロトコール・文献の間の承認不能な解離がサンプルサイズで18/34トライアル、プロトコール逸脱例の取り扱い方法19/43トライアル、データ消失39/49、プライマリアウトカム解析補正23/28

Interim analyses(中間解析)は13プロトコールで記載しているが、呼応するトライアルにおいて、5つの文献でしかこれについて記載されてない。

【結論】文献報告されたとき、サンプルサイズ計算と統計学的手法はプロトコールと非事前特異化の明確な解離がしばしば認められる。
トライアル出版において、このような修正が認められることは稀。
トライアル報告の信頼性は、完全なプロトコールへのアクセスが無ければ、正当に評価できるものではない。





サンプルサイズ計算とデータ解析比較(プロトコールvs発表)



サンプルサイズ計算やデルタ(pre-specified minimum clinically important effect size)が変わってしまっては、発表者に都合の良い結果がプライマリアウトカム測定がなされてしまう可能性がある。回収率の低いトライアルでは、そのサンプルサイズが小さくなりその結果に影響が及ぶことともなる。
サンプルサイズ・パラメーターの変化がトライアル中間で現れているが、この方法に言及している報告は一つもなかった。



サンプルサイズ・計算のコンポーネント
・Name of outcome measure
・Minimum clinically important effect size (delta)
・Estimated event rate in each study arm
・Standard deviation for delta
・Alpha (type 1 error rate)
・Power
・Calculated sample size





絶対にふれておこうと思ってた論文だった・・・12月上旬の繁忙さのため・・・今になってしまった。

by internalmedicine | 2008-12-26 08:06 | 医学