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ランタスの発がんリスク?

一番目の論文は、glargine治療群で癌リスクが優に増加したが、インスリン投与量補正後はみられず、割り付けバイアス(allocation bias)ではないかというのが、一般的な見方のようである。
二番目は、glargine使用の乳がんリスク増加したが他のタイプではなかった。
三番目は、癌リスクの包括的な増加は認められなかったが、サブグループ解析では、glargineのみが全てのがん、乳がんでのリスク増加が示された。


年齢補正後、適切なら、性別、glargine単剤とそれ以外のインスリン使用者と比較し、乳がん相対リスク 1.99(95%CI 1.31-3.03)、消化管癌 0.93(95%CI 0.61-1.40)、前立腺癌 1.27(95% CI 0.89-1.82)、多剤悪性疾患 1.07(95% CI 0.91-1.27)
年齢、喫煙、BMI、糖尿病発症年齢、第1子誕生年齢、心血管・エストロゲン使用補正後乳がんは1.97(95%CI 1.29-3.00)
相対リスクの95%信頼区間は他のインスリン併用解析でも横断的傾向であった。


スウェーデンにおいて、2006-2007年、インスリン glargine使用女性は、他のタイプのインスリンより乳がんリスク増加する。
これはrandam fluctuationによる可能性がある。
possibilities for examining validityに限界があり、他の部位の癌や全悪性疾患アウトカムでは統計的に有意な結果ではなかった。はっきりしたcausal relationshipの可能性についての結論は引き出せない



Hemkens LG, et al "Risk of malignancies in patients with diabetes treated with human insulin or insulin analogs: a cohort study" Diabetologia 2009; DOI:10.1007/s00125-009-1418-4.  <pdf>


Jonasson JM, et al "Insulin glargine use and short-term incidence of malignancies -- a population-based follow-up study in Sweden" Diabetologia 2009(pdf


Currie CJ, et al "The influence of glucose-lowering therapies on cancer risk in type 2 diabetes" Diabetologia 2009; DOI:10.1007/s00125-009-1440-6. (pdf)

by internalmedicine | 2009-06-30 16:46 | 動脈硬化/循環器  

結核菌北京遺伝子型の再発リスク


アジア太平洋諸国の結核北京種再発リスク
Relapse Associated with Active Disease Caused by Beijing Strain of Mycobacterium tuberculosis
EID Journal Home > Volume 15, Number 7–July 2009
Volume 15, Number 7–July 2009

結核治療アウトカムの細菌要素は研究が十分とは言えない。症例対照研究にて、北京種と結核治療アウトカムに関して評価。
培養陽性治療不全 (n = 8)と再発 (n = 54)の患者をランダム選択対象からの対照 (n = 296)分離菌と比較
北京種患者はリラぷすりすくが高い (odds ratio [OR] 2.0, 95% confidence interval [CI] 1.0–4.0, p = 0.04)が、治療不全例が多いとは言えない。

再発関連要素補正後、北京種と再発に軽度影響のこる
北京種は、Asian–Pacific Islandersの再発と強く関連し (OR 11, 95% CI 1.1–108, p = 0.04)、 (OR 11, 95% CI 1.1–108, p = 0.04)の再発リスクと特に関連する




薬剤耐性獲得や一部の酵素の活性による点突然変異を除き、遺伝子型が同一で有れば表現系も類似すると考えられています。地域の有力株としてEndemicな結核菌株の遺伝子型も流行を維持するリスク因子の一つとして興味が持たれています。その一つが北京遺伝子型で、感染伝播が強く、結核病態も重症であることが判ってきています。また、他の遺伝子型を解析する方法としてIS6110 ,dnaA-dnaN部位のIS6110挿入の有無、あるいはSpoligotypingがあります。種々遺伝子型は世界的な結核菌株の遺伝子型の比較研究プロジェクトであるGlobal characterization)の中で注目されています。その内の遺伝子型のひとつが北京ファミリー(北京遺伝子型)と呼ばれるものである。北京遺伝子型の結核菌は抗結核薬の静菌作用に対して有意な高頻度の抵抗性であることが示されている。この遺伝子型は1990年代初頭の北アメリカにおけるおおくの多剤耐性結核の院内・施設内感染を引き起こしたW株とよく一致しています。このW株は 北京ファミリーの進化的な分枝といえるものであり、北京遺伝子型と比較するとIS6110のパターンは類似点を持ちIS6110をA1(3.36Kbp)とB2(1.14Kbp)領域内に保有しています。さらに、Spoligotypingパターンは特徴のあるスペーサー配列35-43のみを保有するパターンを示すことが知られています。
http://www.jata.or.jp/rit/rj/kenkyu%20lower.htm

by internalmedicine | 2009-06-30 14:55 | 感染症  

糖尿病網膜症における、(Pro)renin受容体シグナルの重要性

糖尿病網膜症における、(Pro)renin受容体シグナルの重要性・・・たんなるACE阻害+ARB以上の効果があるという話

AT1-R(angiotensin II type 1 receptor )欠損マウスでストレプトゾトシン誘発糖尿病に(pro)renin receptor blocker (PRRB)治療の結果、糖尿病誘発性のVEGF、ICAM-1網膜発現を減少させた。
糖尿病網膜の(pro)renin受容体誘導の役割を明らかにするため、AT1-R欠損マウスでRASを非活動化させたマウスを用いた。AT-1R欠損乏尿病マウスでの網膜接着白血球は有意にPRRBで抑制された。PRRBはEPK活動化を抑制し、VEGF産生を抑制するが、ICAM-1を抑制せず。

(Pro)renin Receptor–Mediated Signal Transduction and Tissue Renin-Angiotensin System Contribute to Diabetes-Induced Retinal Inflammation
Diabetes July 2009, 58 (7)



腎に関しては・・・もっと前から・・・

Activated prorenin as a therapeutic target for diabetic nephropathy.
Diabetes Res Clin Pract. 2008 Nov 13;82 Suppl 1:S63-6. Epub 2008 Oct 14.


Regression of nephropathy developed in diabetes by (Pro)renin receptor blockade.
J Am Soc Nephrol. 2007 Jul;18(7):2054-61. Epub 2007 May 30.


"アリスキレン"発売が近い・・・そのうち、いくらでも宣伝が・・・・


http://www.medscape.com/viewarticle/569336_2

by internalmedicine | 2009-06-30 11:33 | 動脈硬化/循環器  

NEJM新型インフルエンザAサイト情報

新型インフルエンザA(豚由来)のタミフル耐性のマスコミ報道
・Roche Holding AGが確認
・低用量のため耐性ができた?
・リレンザは有効だった?
Swine flu 'shows drug resistance'
Experts have reported the first case of swine flu that is resistant to tamiflu - the main drug being used to fight the pandemic.
Page last updated at 16:15 GMT, Monday, 29 June 2009 17:15 UK

Roche Holding AG confirmed a patient with H1N1 influenza in Denmark showed resistance to the antiviral drug.



Drug-Resistant Flu Strain Turns Up in Denmark but Doesn’t Last Long

http://www.nytimes.com/2009/06/30/health/30glob.html?hpw
An executive of Roche, the Swiss maker of Tamiflu, held a telephone news conference to describe the progress of the Danish patient, who apparently developed the resistant strain while being protectively treated with a low Tamiflu dose because a close contact had the swine flu. Doctors switched treatment to a different but related drug, Relenza, and the patient recovered.



以下の新しい研究報告とコメンタリーがH1N1インフルエンザセンター(http://h1n1.nejm.org/)にポストされ、ニュースアップデート、ポリシー情報、過去のインフルエンザ流行の文献、H1N1インフルエンザケースの世界インタラクティブ・マップなどが掲載されている。
Severe Respiratory Disease Concurrent with the Circulation of H1N1 Influenza
June 29, 2009 (10.1056/NEJMoa0904023)
インフルエンザ・パンデミックの初期、重症肺炎立の急激な増加があり、重症疾患の年齢分布の偏りがあり、1957年パンデミック以前子供であった時代のH1N1種暴露世代の相対的防御的影響を示唆する。
これらの結果から、ワクチン資源・配布が制限されたら、若年世代の予防効果に対して集中的予防のrationaleがあることが示唆される。



Pneumonia and Respiratory Failure from Swine-Origin Influenza A (H1N1) in Mexico
June 29, 2009 (10.1056/NEJMoa0904252)

臨床経過




死亡事例:レントゲン写真では、両側肺胞性陰影が両肺のベースに広がり、進行し融合的となっている。組織では、細気管支壁の壊死(上矢印)、好中球浸潤(真ん中矢印)、著明な硝子膜を伴うdiffuse alveolar damage(下矢印).


Historical Perspective — Emergence of Influenza A (H1N1) Viruses
June 29, 2009 (10.1056/NEJMra0904322)

The Persistent Legacy of the 1918 Influenza Virus
www.nejm.org June 29, 2009 (10.1056/NEJMp0904819)

Spread of a Novel Influenza A (H1N1) Virus via Global Airline Transportation
www.nejm.org June 29, 2009 (10.1056/NEJMc0904559)
International Air Transport Association (IATA)のデータを用いた分析で、5月29日までのデータ



Rapid-Test Sensitivity for Novel Swine-Origin Influenza A (H1N1) Virus in Humans
June 29, 2009 (10.1056/NEJMc0904264
767名のインフルエンザシーズンで、迅速検査(QuickVue Influenza A+B (Quidel))は、RT-PCR分析のS-OIVの陽性例に対して20/39(感度51%、95%CI 35-67%)、RT-PCRのH1N1季節型インフルエンザ陽性に対して12/19(感度 63%、95%CI 39-81%)。RT-PCRのH3N2インフルエンザ陽性へは6/19(感度 31%;95% CI、14-57%)。RT-PCRに対する特異性は99%


こんな感度の悪いものを検疫でつかってたとは?・・・今更ながら、厚労省のバカぶりに・・・

Results of RT-PCR Analyses of 3066 Specimens, According to Influenza A Subtype.

by internalmedicine | 2009-06-30 09:50 | インフルエンザ  

安定狭心症に対するインターベンション治療適応

“「なんちゃって」ステント”(http://www.asahi.com/national/update/0624/OSK200906240135.html :魚拓)とよばれる詐欺行為・・・これはやってない診療行為で診療報酬を請求するのは詐欺行為で、この報道が真実なら断罪すべき。
(富士見産婦人科問題のような事例があるから、報道をそのまま信じるわけにもいかない悲しさ ref.) 特別寄稿 捏造された「富士見産婦人科病院事件」の顛末  第一医院・院長 神津康雄

大多数のまじめな循環器医療を行っている医者にとって不幸なことで、潜在的な過剰診療があるのではないかと・・・常々疑念がもたれる分野であることはたしか。

急性冠症候群などの切迫した状況での冠動脈インターベンション(PCI)施行に関しては議論の余地がないのかもしれない。だが、ある報告では、
米国に比べ日本の対象施設ではより積極的に経皮的冠動脈形成術を中心としたハイテク治療が実施されており、日米両国においてハイテク治療は患者のクオリティー・オブ・ライフ(死亡率と再入院率の減少)の向上に大きな役割を果たしている一方、医療支出増加への影響が大きいことが示された。(pdf)と日本のPCI偏重を問題視する。



さらに、PCI適応に関して、安定狭心症には、さらに、問題点が深まる。

安定狭心症の管理アンケート結果からみた日本の特殊性 2007-11-29で、事例での医師態度をみると、やはり日本の“PCI”偏重がある。

日本の”冠動脈疾患インターベンション治療の適応ガイドライン”(http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/kandomyaku.html)の要旨には、”適応”と思われる項目が記載されていない。ただ単に、安全性・合併症・成績・経費の説明だけなのである。・・・この記載で済ました人たちの見識に疑問を感じざる得ない!・・・他の医療従事者や一般の人に疑念を抱くのも当たり前だと思う(怒りに満ちて・・・)。




別に目新しいトライアルがあったわけではないが、自分なりに、慢性安定狭心症についての治療、まとめてみた。

COURAGE トライアルではPCIは確かに症状の急激な改善効果をもたらした、機能試験もその根拠の裏打ちをした。だが、同時に、”"PCI-first" strategy for stable coronary artery disease”への批判にもつながっている。

Weintraub らの(2008年8月14日のNEJM論文:Weintraub WS, Spertus JA, Kolm P, et al. Effect of PCI on quality of life in patients with stable coronary disease. N Engl J Med 2008;359:677-687.):Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation (COURAGE) トライアル

PCIの効果を薬物治療単独と比較し、安定狭心症へのQoLについての比較をおこなったもの



Seattle Angina Questionnaire (SAQ)や他の測定項目は健康状態の治療効果評価に用いられ、著者らはPCIに小さいが、有意なベネフィット増加を認めることを示した。しかし、その効果も、36ヶ月後に消失した。、35539名スクリーンして2あずか2287名のみの検討という変な特性、性別偏在、薬剤を無料提供しているというバイアスなどこの研究結果に議論がある。



女性を28%含むリアルワールドに近い検討でも、COURAGEコホートと同様の結果という報告(Beltrame et al. 359 (21): 2289, Nov. 20, 2008



安定冠動脈疾患へのPCIベース戦略と保存的薬物治療比較メタアナリシスでは、前者の長期生存予後について優位性が示されている。
CLINICAL RESEARCH: INTERVENTIONAL CARDIOLOGY
A Meta-Analysis of 17 Randomized Trials of a Percutaneous Coronary Intervention-Based Strategy in Patients With Stable Coronary Artery Disease
J Am Coll Cardiol, 2008; 52:894-904, doi:10.1016/j.jacc.2008.05.051


2004年慢性安定狭心症へのCABGとPCI適応のガイドライン
Indications for Coronary Artery Bypass Surgery and Percutaneous Coronary Intervention in Chronic Stable Angina
Review of the Evidence and Methodological Considerations
(Circulation. 2003;108:2439.)
Summary of Considerations for Myocardial Revascularization for Chronic Stable Angina Based on Currently Available Evidence
CABG Surgery Versus Medical Therapy
1. Mortality benefits of CABG surgery are proportional to baseline patient risk.
2. CABG surgery does not reduce the overall incidence of nonfatal myocardial infarction.
3. CABG is effective for symptom improvement.


Balloon Angioplasty Versus Medical Therapy
1. Balloon angioplasty is indicated for symptom improvement but not merely for the presence of an anatomic stenosis.
2. Balloon angioplasty does not prevent death or myocardial infarction.
3. Balloon angioplasty is associated with a greater need for subsequent CABG surgery.


Stents Versus Balloon Angioplasty
1. Stents are indicated for the treatment of arterial dissections with abrupt or threatened vessel closure after balloon angioplasty.
2. Stents decrease rates of angiographic restenosis repeat procedures but not those of death or myocardial infarction.


PCI Versus CABG
1. CABG surgery is likely preferred for high-risk patients such as those with left main, severe 3-vessel, or diffuse disease, severe ventricular dysfunction, or diabetes mellitus.
2. Both PCI and CABG provide good symptom relief.
3. Repeat procedures are required more frequently after PCI
.




そもそも、虚血性心疾患死亡率が圧倒的に少ない日本(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2120.html)である。・・・その施行適応が、天地神明に誓って正しく行われているという施設だけ残り、症例の集約化がなされてほしいと、願う。そして、”PTCAカテーテル日本15万円、米国2万5000円。ペースメーカー日本127万円、米国62万円。骨折治療用ボルト日本7万円、米国4万円”という膨大な日米価格差!・・・この差額を解消し、その差額を、まじめにやっている医療機関・医師たちのペイにすべきだろう。

日本心血管インターベンション治療学会専門医の上限数を制限するという報道(http://www.asahi.com/science/update/0626/TKY200906250397.html、魚拓)がなされた。で、これで解決かというと、日本の法曹界によりもたらされた新たなリスク、すなわち、同じ診療報酬で期待に応じられなかったという罰だけ被る資格になり得る。そして、地域偏在性の問題がさらに顕在化することになるだろう。・・・PCIを医療制度の中でどうさばいていくか・・・日本の医療制度作りの上で重要な話である。・・・他分野のごとく、現場をしらない官僚や政治家・経団連・市民団体が雑音を発してさらなる窮地に・・・という事にならなければよいが・・・

by internalmedicine | 2009-06-29 09:09 | 動脈硬化/循環器  

食事由来抗酸化ビタミンと喘息アウトカムの関係

以下のビタミンについては、あくまでもサプリメントでなく食事由来
あくまでも横断的検討であり、いろんな要素が含まれているだろう


Association between antioxidant vitamins and asthma outcome measures: systematic review and meta-analysis
Thorax 2009; 64: 610-619.
食餌性ビタミンA摂食は有意に喘息のひとで、喘息でない人より少ない(MD –182 µg/day, 95% CI –288 to –75; 3 研究数)
軽症より重症の人で少ない(MD –344 µg/day; 2 研究数)

最小4分位食事摂取 (OR 1.12, 95% CI 1.04 ~ 1.21; 9 研究数)とビタミンCの値は喘息オッズ増加と相関

ビタミンE摂食は一般的に喘息状態と無関連だが、軽症喘息より重症喘息で有意に低下していた (MD –1.20 µg/day, 95% CI –2.3 to –0.1; 2 研究数)



フリーラジカル説は良いとしても、スカベンジャーそのものが悪者としてホスト組織にも悪影響を与える可能性を考える研究者たちもいる(BBC)。サプリメントのような高用量な純化したビタミンEだけだと身体への悪影響の可能性は高い。食事としてならスカベンジャー以外の相互作用によりその悪影響が打ち消される。
下記悪評は食餌性の物にはなく、サプリメントにのみ当てはまる。

ビタミンE使用は・・・心不全悪化、入院増加  2005-03-16

寿命を短くしたければビタミンE大量サプリメントをどうぞ  2004-11-11
高用量ビタミンEは寿命を短くする 続編  2004-11-17

“あなたが、メタボ・糖尿病予防のため運動するなら、ビタミンCとビタミンEは避けてほしい”  2009-05-13

by internalmedicine | 2009-06-27 10:29 | 呼吸器系  

線維筋痛症に対するカイロプラクティス治療のエビデンスは乏しい

カイロプラクチックの世界のガイドライン(http://www.ccp-guidelines.org/など)に従った世界での臨床的効果のエビデンス・・・まだまだ乏しいらしい

Chiropractic treatment for fibromyalgia: A systematic review
Clinical Rheumatology, 06/26/09
・線維性筋痛へのカイロプラクティックケアのランダム化臨床トライアルのシステミック・レビュー
・6つの電子文献
・2名のレビューアー
・クライテリア3つ合致のみ
・方法論がプア
・有効性を支持するエビデンスは見いだせず


Chiropractic management of fibromyalgia syndrome: a systematic review of the literature.
J Manipulative Physiol Ther. 2009 Jan;32(1):25-40.
Manual, Alternative, and Natural Therapy Index System and Index to Chiropractic Literatureのデータベースレビューで38の文献、それにはカイロプラクティック、鍼、栄養・ハーブサプリメント、マッサージなどを検討。

強いエビデンス:好気的運動や認知行動療法
中等度エビデンス:マッサージ、筋肉強化トレーニング、鍼、温泉治療(balneotherapy)

エビデンスに乏しいのはspinal manipulation、movement/body awareness、ビタミン、ハーブ、食事変容である。

by internalmedicine | 2009-06-27 09:56 | 運動系  

ビスフォスフォネート治療後の骨塩測定は必要ない

確実に増えるのだから、わざわざその治療効果を測定しなくても・・・というごもっともなご意見

Value of routine monitoring of bone mineral density after starting bisphosphonate treatment: secondary analysis of trial data
Katy J L Bell, Andrew Hayen, Petra Macaskill, Les Irwig, Jonathan C Craig, Kristine Ensrud, Douglas C Bauer
BMJ 2009;338:b2266 (Published )

股・椎体骨塩の個体同士の変動・個体内変動にて、ビスフォスフォネート治療の反応性の評価
アレンドロネート3年間治療による平均効果は股骨塩にて0.030 g/cm2増加と関連
個体差はあったが、ごく小さく、アレンドロネート治療は股骨塩≥0.019 g/cm2の増加が97.5%で認められ、治療後の骨塩測定は必要ないようだ。


これで、“まっとうな骨塩測定機器”の費用回収ますます困難になります・・・ご愁傷様でした・・・ご同輩たち

公正取引委員会が全く機能してない、医療機器の分野・・・この辺にメスをいれてほしいものだ・・・

by internalmedicine | 2009-06-26 10:57 | 運動系  

ヨーロッパ13ヶ国:急性咳嗽への抗生剤処方比率は症状改善に影響与えず

13ヶ国のプライマリケアにおける急性咳嗽外来患者での抗生剤処方と回復へのインパクト調査

百日咳とかマイコプラズマなどが混在している場合を想定してないし、不完全な研究だと思うのだが、抗生剤不要という結論は、欧米での報告ではacceptされやすいようだ。

抗生剤薬剤耐性は急激に世界中に広がり、2007年に30ヶ国で肺炎球菌の10%でペニシリン感受性無しとなっている。ヨーロッパの通常患者への抗生剤使用頻度にはばらつきがある。急性咳嗽はもっとも受診理由の多い病気の一つで、下気道感染でのGP受診患者での比率は、オランダ約27%、UK75%などばらつきが大きい。抗生剤処方が多くても回復速度に変化がないということがトライアルエビデンスで示唆されるが、その根拠となるデータベースの大きさが小さく、case mixのインパクトとしては不明

処方レベルの高いところは疾患重症度のばらつきで説明されるかもしれないし、そのばらつきが常に不適切処方というわけでもないだろう。
横断的観察研究、14のプライマリケア研究ネットワークで、13ヶ国におよぶ受診時記録の検討で28日フォローアップ



Variation in antibiotic prescribing and its impact on recovery in patients with acute cough in primary care: prospective study in 13 countries
C C Butler, K Hood, T Verheij, P Little, H Melbye, J Nuttall, M J Kelly, S Molstad, M Godycki-Cwirko, J Almirall, A Torres, D Gillespie, U Rautakorpi, S Coenen, H Goossens
BMJ 2009;338:b2242 (Published )




ARIMAモデルから推定回復カーブ


3402名で回収(ケースレポート完遂99%、症状日記80%)
平均症状重症度スコアは、スペイン・イタリアの19からスウェーデンの38まで分布
ネットワーク毎の抗生剤処方比率は20%から90%近くまで分布(全体平均は53%)

アモキシシリンは全体的にもっとも処方されているが、ネットワーク毎に、ノルウェーの3%からイギリスの83%まで分布はばらつく

フルオロキノロンは3つのネットワークすべてで処方されてないが、Milan ネットワークでは18%が処方されていた。
臨床症状・人的統計学的指標補正後、抗生剤処方はノルウェー(オッズ比 0.18, 95% 信頼区間 0.11 ~ 0.30) からスロバキア (11.2, 6.20 ~ 20.27)までばらつき、全体平均は0.53
回復速度は、臨床症状斟酌k後、処方・無処方で同様 (coefficient –0.01, P<0.01)



この種の報告は、抗生剤処方批判に傾くに決まってるわけで・・・予想通りの結論

症状重症度を日記から計算し、13の症状の合計で、0-100までスコア化したもの

ARMA model を処方に関連したアウトカム変数評価に利用
ARMA (1,1) model は、2つの組み合わせとしての自己回帰部分と、変動平均部分・観察結果発現部位からなる


Xtt+Xt–1+εt–1


Xttの時の症状重症度
εt :error termすなわち 誤差項

個々の患者の症状重症度スコアと事前期間に関連する関連する誤差項を示す



現実の、日常臨床では、早期にマイコプラズマなどを除外することが必要だろう・・・百日咳も?

by internalmedicine | 2009-06-26 10:30 | 感染症  

腹部大動脈瘤検診プログラムの2つの相反する結論

日本ではやられてないが・・・ アメリカ・イギリスでの検診報告がある。

腹部大動脈瘤の悪化:そのリスク要因と時間的要因( 2004-07-08 )では、“毎年の、あるいは、それ未満の頻度のサーベイランス間隔で安全性が担保される”という結論であり、早期に見つけることの意義が強調されている。

"Legs for Life"プログラム(腹部大動脈検診プログラム 2004-04-09 16:54

腹部大動脈瘤の検診は有効で、コスト効果的のようであるというイギリスのMASS研究( Multicentre aneurysm screening study (MASS): cost effectiveness analysis of screening for abdominal aortic aneurysms based on four year results from randomised controlled trial Multicentre Aneurysm Screening Study Group BMJ 2002 325: 1

二つの研究で一見相反する2つの結論

最初のThompsonらの研究結果では65-74歳男性での検診の死亡率ベネフィットは10年持続し、コスト効果はより時間とともに大きくなるというもの
二つ目のEhlerらの研究では、腹部大動脈瘤の検診プログラムのリアルタイムモデリング研究を行い、コスト効果的でないと結論づけている。



Screening men for abdominal aortic aneurysm: 10 year mortality and cost effectiveness results from the randomised Multicentre Aneurysm Screening Study
S G Thompson, H A Ashton, L Gao, R A P Scott, on behalf of the Multicentre Aneurysm Screening Study Group
BMJ 2009;338:b2307 (Published )



Analysis of cost effectiveness of screening Danish men aged 65 for abdominal aortic aneurysm
Lars Ehlers, Kim Overvad, Jan Sorensen, Soren Christensen, Merete Bech, Mette Kjolby
BMJ 2009;338:b2243 (Published )





前者は、
後者は、ハイブリッド意思決定ツリー・Markovモデルを短期・長期的検診効果をシミュレートしたもの
Monte Carloシミュレーションを利用したProbabilistic sensitivity analysisを行い、コスト効果需要曲線を引き、完全情報カーブの期待値と、検診導入後の経時的腹部大動脈瘤予防ネット数を推定



日本での検診は、被験者に対して、そのコスト効果や、見落とし確率ちゃんと説明しているのであろうか?
被験者に聞くと、はなはだ疑問をもたざるえない、検針業務がなされているようである。
たとえば、“肺がん検診なども二割見逃しの可能性がある”という説明がされるだけで、随分、被験者側および家族の対応も違うと思うのだが・・・訴訟を誘発しているような、、不十分な検針業務があらゆるところでなされ、結果的に税金注入されている。

“見落とし確率”を過誤とするなら、その賠償リスクまで考慮されたコスト効果検討が必要だろう。検診プログラムを策定する連中はそこまで考えてないことが問題。
 ↓
乳がん検診見落とし訴訟
船橋市350万円支払い和解へ
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20090625-OYT8T00060.htm
 乳がんの早期治療ができなかったのは、船橋市の乳がん検診で精密検査が必要との診断結果が出なかったためとして、市内の女性が市に損害賠償を求めた訴訟があり、市は350万円を支払う方針を決めた。29日開会の6月市議会に関係する議案を提案する見通し。

 市によると、女性は2007年4月、市が中央保健センターで実施した集団の乳がん検診を受診し、視触診や乳房エックス線検査(マンモグラフィー)で「異常なし」と診断された。女性は08年3月に病院を受診した際、乳がんと診断され、手術を受けた。現在も治療を受けている。女性は08年12月、市を相手取り、慰謝料など約760万円を求めて東京地裁に提訴した。

 市は当初、精密検査までは必要なかったなどとして、争う構えを見せていたが、その後、マンモグラフィーの写真を確認した結果、精密検査が必要だったとも判断できるなどとして、原告の訴えを一部認め、地裁の和解勧告を受け入れることにした。

 市によると、今年4月から、乳がん検診について、集団から個別検診に切り替え、医師と受診者が話し合えるようにしたという。
(2009年6月25日 読売新聞)。

by internalmedicine | 2009-06-26 08:52 | 動脈硬化/循環器