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米国・準都市部においてARDSは経年的に減少

準都市部の住民ベース研究において、最近8年間、ARDS減少傾向らしい

Eight-Year Trend of Acute Respiratory Distress Syndrome
A Population-based Study in Olmsted County, Minnesota
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 183. pp. 59-66, (2011)


ミネソタのOlmsted Countyという地区らしいが、10万人年対 82.4 → 38.9と減少
ARDS・死亡自体は変わらないが、死亡率・入院・ICU滞在期間は減少しており、急性期治療の改善によるものと思われるとのこと


ARDS数にてその地域の急性期医療の質の指数になるのかもしれない。

by internalmedicine | 2010-12-31 11:37 | 呼吸器系  

肺気腫感受性遺伝子: BICD1 ・・・テロメア長と関連

ノルウェー・コホート、ECLIPSE研究、NETT研究被験者からの肺気腫のgenome-wide association study (GWAS)において、BICD1 のSNPsの相関(P = 5.2 x 10–7 with at least mild emphysema vs. control subjects; P = 4.8 x 10–8 with moderate and more severe emphysema vs. control subjects)報告

BICD1はテロメア長と関連あるそうで今後この病的意味づけが話題になりそう。

Genome-wide Association Study Identifies BICD1 as a Susceptibility Gene for Emphysema
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 183. pp. 43-49, (2011)

by internalmedicine | 2010-12-31 11:32 | 呼吸器系  

シスタチンCは、駆出率温存心不全患者の予後指標となりえる

シスタチンCといえば、腎機能指標として使用されているわけだが・・・心不全の予後指標となるらしい。

Prognostic Value of Cystatin C on Admission in Heart Failure With Preserved Ejection Fraction
Journal of Cardiac Failure Volume 17, Issue 1, Pages 31-38 (January 2011)
218名の連続心不全・LVEV>45%入院患者の1年後死亡and/or再入院検討

Cox比例ハザードモデルハザード比にて、比例ハザードプライマリエンドポイントにおける、cystatin C値の4分位・増加リスクハザード比は 3.40; 95% 信頼区間 [CI] 1.86–6.21; P < .0001) で、全原因死亡率ハザード比は HR 8.14; 95% CI 1.21–23.26; P < .01)

さらに、血中cystatin C高値は、正常・軽度腎機能障害あっても、予後不良と相関する



シスタチンC (cystatin C) は、
シスタチンスーパーファミリーの2に属し、全身の有核細胞から cystein protease として産生され、生体内での酵素による細胞および組織の障害を抑制している。また、シスタチン C は分子量 13kD の塩基性低分子蛋白であり、他の血清蛋白と複合体を形成しないので、血中のシスタチンCは腎糸球体から濾過され、近位尿細管で再吸収される。遺伝子は housekeeping type であり、炎症時に増加する急性相反応蛋白としての性質は持ちあわせていないため、細胞内外の環境変化に影響を受けずに、一定の割合で産生される。 http://www.higo.ne.jp/anal-bio-sci13/NewFiles/saitou.html

by internalmedicine | 2010-12-30 09:35 | 動脈硬化/循環器  

ディアハンター関連パラポウィルス (not パルボウィルス)

Novel Deer-Associated Parapoxvirus Infection in Deer Hunters
N Engl J Med 2010; 363:2621-2627December 30, 2010



Parapoxvirusは、”ポックスウイルス(poxvirus)科の感染細胞の細胞質で増殖する巨大な二本鎖DNAを遺伝子に持つエンベロープウイルス”の中の一つ。反すう類に感染し、人畜共通感染症として人に感染し、しばしば職業性暴露により発症する。ヒトのParapoxvirus感染は、3-7日の潜伏期を経て、紅斑性、丘疹性病変発症し、数週間で結節となる。
2009年、2名の鹿漁師(ディアハンター)診断例hの報告がなされ、詳細


日本にも類似ウィルスはあると思うが・・

それにしても、パルボウィルス(Parvoviridae に属する直鎖一本鎖DNAウイルス)と間違いやすい・・・パラポウィルスという名前

パラポックスウイルス感染症としている記載もあるようだが・・・ますます名前に混乱

by internalmedicine | 2010-12-30 09:17 | 感染症  

肥満と理学所見

Reexamining the Physical Examination for Obese Patients
Ann Willman Silk, MD, MA; Kathleen M. McTigue, MD, MPH, MS
JAMA. Published online December 29, 2010. doi: 10.1001/jama.2010.1950

肥満管理に関するハンドブックは、どのような身体所見の検査をするかに比重は少なく、acanthosis nigricans やadiposis dolorosaなどの肥満関連疾患を検知することにのみ重点が置かれている。決定的にかけているのは、肥満および過剰脂肪により重大な身体所見が隠されていること。(最近の)技術的診断ツールにより、時折この限界を克服してくれるが、身体所見はやはり鑑別診断上重要。

肥満に関する疫学的注目にかかわらず、医学生や研修生にとって、肥満患者の理学所見とりに特化したフォーマルな指導がなされてないのが大多数。大動脈弁狭窄と肥大型非閉塞性心筋症の心音鑑別をスクワットや立位指示により行うと言った高度の知識とは別に、肥満における身体所見が低レベルの知識とされる悪しき傾向があると、著者ら。肥満の蔓延と医学教育における時間的ラグがある。

(話は、乳がんに関する身体所見にうつり)

肥満は乳がんのリスク要因である。しかし、肥満患者ほど定期的なマンモグラフィーやパパニコロー試験を受けることが少ない。この患者要素と理学所見上の発見困難さが肥満患者に関係する。BMIが大きいほど乳がん発見が遅れることの可能性があり、これがBMIと進行乳がんの関連性を説明となりえる。
肥満者でのマンモグラフィーのアドヘレンスの改善、臨床的理学所見の改善が乳がん早期発見に重要であるが、理学所見感度の向上するかは不明だが、特異的な技術(Barton MB, et. al. Does this patient have breast cancer? JAMA. 1999;282(13):1270–1280, pmid:10517431.Ferrante JM, et al. Family physicians' barriers to cancer screening in extremely obese patients. Obesity (Silver Spring). 2010;18(6):1153–1159, pmid:20019676.))により改善の報告がなされている。

(他臓器に話を広げている・・・)
他、心臓、腹部(Fink HA, et al. The accuracy of physical examination to detect abdominal aortic aneurysm. Arch Intern Med. 2000;160(6):833–836 Williams JW Jr., Simel DL. Does this patient have ascites? how to divine fluid in the abdomen. JAMA. 1992;267(19):2645–2648, pmid:1573754.)でも知見が得られている。
肥満患者での理学所見を特異化し検討するが重要。

by internalmedicine | 2010-12-30 08:29 | 糖尿病・肥満  

子宮頸がんワクチンで副作用、失神多発という記事に感じる メディアの反ワクチン思想

基本的には、私はワクチン推進すべきと思っている立場であり、行きすぎた政治的・直感的反ワクチン運動を苦々しく感じている。だが、日本のワクチン施策には、疑問を感じるところが多い。肺炎球菌ワクチンを肺炎ワクチンと称して過剰宣伝を繰り返す薬品会社や医師たちなどの卑小な話から、効用的発想のない日本の医療・医学の専門家たち、そして、子宮頚癌ワクチンに関して、日本におけるHPV血清型が諸外国と異なるということは以前から指摘されている。これに関して科学的反証がされているのだろうか?日本だと半数が効果のないHPVの可能性(http://www.gsic.jp/inspection/ins_05/02.html)については、メディアで追求されることもない。”HPV16型もしくは18型が関与する持続感染・前癌状態を92%-93%予防”ってのが誤解されているのでは・・・

ところで、インフルエンザワクチンなどを”ワクチン接種禍”とネーミングし、日本をワクチン後進国におとしめた当事者のひとつ、マスゴミさんたちは、現在は、ワクチン促進に、宗旨替えしたのだろうか・・・と思いきや・・・基本は、今でも、”反ワクチン”の要素が残ってるようで、奥歯に物の挟まった書き方・・・反ワクチン洗脳はかなり頑固というイメージ。

子宮頚癌ワクチンの副作用と記事で、内容をみると、"疼痛によるVasomotor and vasovagal syncope”ばかり・・・
(読売新聞は著作権にうるさいから・・・引用するだけでも気をつかうのだが・・・)

このワクチン、かなり痛いと評判だったので、事前の恐怖をあおる準備万端
そして、”子宮癌”ワクチンというおそろしげな名前も、神経運動性・迷走神経反射を起こすには事前準備できあがりすぎ・・・

子宮頸がんワクチンで副作用、失神多発
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20101227-OYT1T01223.htm




「痛みを知ったうえで接種を受け、30分程度は医療機関にとどまって様子を見るなど、注意してほしい」というのが、官製アドバイスらしいが・・・
背景状況、風邪疾患後、運動後、シャワー・風呂後、早朝、乾燥時期、下肢血管拡張状況など生じやすく、警告サイン、すなわち、 lightheadedness、 ringing in the ears、 visual disturbances、 sweating and/or nauseaなど啓発すべきだと思う。



JAMAなどお休み体勢で・・・これといった論文が無い

by internalmedicine | 2010-12-29 11:51 | メディア問題  

メタアナリシス:慢性心不全へのスタチン治療の新機能への影響

Effects of Statin Treatment on Cardiac Function in Patients With Chronic Heart Failure: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
Clinical Cardiology, 12/28/2010

心機能、臨床症状、左室リモデリング緩和に改善効果という結論

左室駆出率(A)、左室拡張終末期容積(B)、左室収縮終末期容積(C)



BNP(A)、NYHA機能分類(B)


リモデリングに関して、 LVEFの改善は確定的ではない (WMD: 2.62%, 95% CI: 0.08–5.33, P = 0.06)が、検討によりリモデリング改善がみられた。


慢性心不全に対してスタチン治療は基本薬?補助薬?

by internalmedicine | 2010-12-29 08:25 | 動脈硬化/循環器  

医療ツーリズム:臓器略奪制度、皆保険制度崩壊?公的施設のみ善玉?

医療ツーリズム って、”地方の医療機関が地方の役場とともに、観光旅行のついでに、(がんの一発検査という夢のような検査がそうでないとあきらかになった)PET(検査の廃品活用)検診や胃カメラ・大腸検査いかがですか”というものから、噂される臓器略奪医療ツーリズムまで・・・いろんなのがある。反対理由も、臓器略奪反対から皆保険制度崩壊諸端説、利用者のおける制度矛盾(医学・医療エビデンス逸脱医療行為、術後や検査後フォローアップ不備・・・)などあるようだ。

日医の医療ツーリズム反対って、”利益企業参入”・”移植ツーリズム”反対に限定したものだけのようだ。後者はよくわかるが、前者の”公的医療施設はOKで、利益企業参入はだめってよく分からん。
皆保険制度崩壊につながると反対するなら、公的医療機関や公的法人も含め、私的・公的両方反対すべきではないか?

「医療滞在ビザの概要と問題点」定例記者会見 
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20101222_1.pdf

日医白クマ通信
 「医療滞在ビザ」の設置については、6月18日に「新成長戦略」等で閣議決
定されており、今回はその具体化として、在外公館における運用開始(2011年
1月から)が外務省より公表された。その中では、「従来、治療目的で来日す
る外国人には短期滞在ビザが適用されてきたが、『医療滞在ビザ』は、人道的
観点も踏まえ、治療等で来日を希望する外国人にとって一層利用しやすいもの
となる」としている。

 まず、同副会長は、「医療ツーリズム」に対する日医の見解として、

(1) 国籍を問わず、患者を診察、治療することは医師の当然の責務。
(2) 営利企業が関与する組織的な医療ツーリズムには反対。
(3) 「WHO の呼びかけ」や「イスタンブール宣言」を遵守し、移植ツーリズムに反対。

の3点を改めて主張。今般の「医療滞在ビザ」について、医療機関の格付けに
つながるおそれがある外国人患者受入医療機関の認証制度整備に向けて予算計
上されていること、同伴者について親戚関係や人数の制限がない等の問題点を
挙げた。

 さらに、今般の「医療滞在ビザ」には、身元保証機関として旅行会社等、民
間資本の関与が明示されており、営利企業が組織的に関与する医療ツーリズム
に発展する可能性があると指摘。医療への株式会社参入、混合診療全面解禁へ
の突破口にもなりかねないとして、強い遺憾の意を示した。政府、外務省に対
しては、「医療滞在ビザ」はあくまでも人道的措置に限定し、倫理面、安全面
等での厳格な対応を要望するとした。



医療ツーリズムに関して言えば、公的病院と地方公共団体がやっても、民間がやっても一緒だと思うのだが・・・なぜに、民間だけだめって?・・・日医の主張がよく分からない。


日本のメディアは相変わらず、金の亡者たちの主張やその騎兵隊である財務省の主張を垂れ流すだけだが、外国メディアは、問題点を報道している。
(http://www.cbc.ca/news/background/healthcare/medicaltourism.html)
・各国公的・基礎的医療保険や、特約的医療保険において、医療行為報酬が支払われず、患者自身が費用を現金で支払いすることとなる。
・フォローアップケアが考慮されず、患者は通常、病院に数日滞在だけで、大半は旅行へ、そして自宅へ向かう。合併症、副作用、術後ケアは、患者の自国の医療システムに依存することとなる。
・メディカルツーリズムを提供する国の大多数は、医療過誤法律が乏しく、患者は地域の裁判所やボードに申し出、償還を受けることが困難。
・収益性の高い、プライベートセクターのメディカルツーリズムは、地域サービス改善のステップとして主張する医療機構も存在するが、地域住民の医療資源や人的資源を引っぺがして行われている。



”医療ツーリズム”;ただでさえ少ない臓器を外国人にふりむける暴挙?
http://d.hatena.ne.jp/kshikuya/20101216/1292498151



World Health Assembly Resolution 57.18, Human organ and tissue transplantation, 22 May 2004,
http://www.who.int/gb/ebwha/pdf_files/WHA57/A57_R18-en.pdf


日本は心臓インターベンションなど優れていると思うけど、あれって、患者適応を厳格に守れば、旅行して治療するようなのんきな対象者ってどれほどいるのだろう?絶対、ビジネスとして存在し得ないと思う。単なる広告塔・・・公的医療システムの崩壊の広告塔か、その医療機関の広告塔かは・・・わからないが・・・

by internalmedicine | 2010-12-28 15:12 | くそ役人  

VITAL研究:ビタミンDサプリメント大規模研究

ビタミンDに関する話題が取り上げられることの多い近年・・・

ビタミンDと心疾患・・・大規模研究の必要性

ビタミンDサプリメントにおいて、ガン・心血管疾患、その他慢性疾患に関するベネフィット・リスク情報は少なく、現在ビタミンD・ω3トライアルである、Vitamin D and Omega-3 Trial (VITAL)が進行形(2010年1月から)

研究室レベルでは、細胞増殖・血管新生・転移・炎症抑制によるガンリスク低下作用は示唆されている。心血管疾患に関しては平滑筋増殖抑制、血圧調整・ブドウ糖代謝、炎症抑制

一方で、ビタミンD閾値を超えることで、ベネフィットをもたらさず、リスク増加という報告もある。

故に、VITALトライアルは、2万名の健康男女で、ビタミンD3(cholecalciferol)/日 2000単位とプラセボ、海産ω3脂肪酸1gとプラセボ 5年間比較トライアル

ビタミンDの合成と効果


"MORE MAY NOT BE BETTER"ということが大事で、魚介類摂取の多い日本では、サプリメントでさらに高値となる臨床例を一般医家でも時に経験する。


早くて、5年後の報告か・・・

by internalmedicine | 2010-12-28 11:40 | ビタミン  

臍帯血ビタミンD濃度と5歳時点喘息リスクは関連認めず、下気道感染・喘鳴には関連あり

臍帯血ビタミンD値は呼吸器感染、喘鳴と関連するが、喘息とは関連しなかった。

Cord-Blood 25-Hydroxyvitamin D Levels and Risk of Respiratory Infection, Wheezing, and Asthma
PEDIATRICS (doi:10.1542/peds.2010-0442)

誕生季節補正後、25(OH)D値と、3ヶ月齢時の気道感染リスクの逆相関認め、75 nmol/L以上値例比較で、25-74nmol/L例で39%の感染リスク増加、それ以下では倍のリスク増加(オッズ比:1.39-2.16、P=0.03 in a multivariate analysis)

加えて、15ヶ月齢、3歳時、5歳時喘鳴もリスク増加と臍帯血25(OH)D値と逆相関(P<0.05)

ロジスティック回帰分析にて、各10nmol/L増加毎5歳時点累積喘鳴リスクは低下;補正オッズ比 0.95

一方、5歳時点の医師診断喘息オッズ比は有意差無し

by internalmedicine | 2010-12-28 11:01 | 呼吸器系