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なぜ心臓リハビリテーションはベネフィットの割に普及しない?

心イベント後の心臓リハビリテーションプログラムは、心・非心死亡率減少とともに、合併症、心臓疾患リスク減少にベネフィットがあることは確立している。

しかし、このサービス取り入れの状況は今のところ低率であり、その障壁除去の動きも国によってはきわめて緩徐である。リハビリテーション(rehab service)は薬剤や医療行為以外にと医師が考えたときだけしかこの効用は発揮されてない現実がある。これらのプログラムの普及、そして、医師への啓発が重要。
国毎に、そして、国内でもばらつきが大きい。

掲載 → http://www.theheart.org/article/1257713.do



PCI後心臓リハビリテーションで、死亡率の改善

Goel K, Lennon RJ, Tilbury RT, et al. Impact of cardiac rehabilitation on mortality and cardiovascular events after percutaneous coronary intervention in the community. Circulation 2011; 123:2344-2352.


リハビリテーションってのは、結局、国策だと思うのだけど・・・ 


ACCF/AHA/AMA–PCPI Performance Measures

ACCF/AHA/AMA–PCPI 2011 Performance Measures for Adults With Coronary Artery Disease and Hypertension
A Report of the American College of Cardiology Foundation/American Heart Association Task Force on Performance Measures and the American Medical Association–Physician Consortium for Performance Improvement
Circulation. 2011; 124: 248-270 Published online before print June 13, 2011, doi: 10.1161/​CIR.0b013e31821d9ef2

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by internalmedicine | 2011-07-30 09:03 | 動脈硬化/循環器  

福島県立大野病院・産科医逮捕”事件”

医師会FAXニュース(平成23年7月29日(金))から・・・

医療界にとっても、司法にとっても、行政にとっても・・・忘れてはならない”逮捕事件”

◆無罪までの2年半「まるで異国」
 大野病院事件の加藤医師

 福島県立大野病院事件で逮捕、起訴され、無罪判決を受けた加藤克彦氏(国立病院機構福島病院産婦人科部長)は24日、日本医師会が東京・本駒込の日医会館で開いたシンポジウムに出席し、逮捕時の心境を語った。
加藤氏は無罪判決までの2年半について「とても長く、知らないことが次から次へと起こり、現実味が薄くて異国の地で過ごしているような状態だった。無罪になって、ほっとした」と振り返った。
無罪判決の会見の後、加藤氏が事件について公の場で話すのは初めて。

 加藤氏はまず亡くなった患者にお悔やみを述べた後、関係者に感謝の言葉を述べた。
現在は産婦人科医として診療を再開しており「臨床現場に復帰して3年目になった。臨床の感覚が戻るまでには多少時間がかかったが、現在は地域周産期医療を頑張らせてもらっている」と現状を報告した。

 事件については「経験したことを話すのは初めて」とし「実際は思い出したくもないというのが本音」と述べながらも、事の発端から丁寧に説明した。
手術中に患者が亡くなったことは「主治医として大変つらい出来事だった」と振り返った。
2005年3月に福島県が公表した医療ミスを認める報告書を見た際には「これでは自分が逮捕されてしまう」と主張した。
しかし「遺族が補償を受けられるようにこの書き方になった」との理由で受け入れられなかった。

 家宅捜索の後に事情聴取を受けるため移動した警察署内で突然、逮捕状を執行された。
「逮捕になると医療界が大変なことになると話したが、無視された」。
検事の取り調べは「精神的につらいものがあった。寿命が縮むというのは、こういうことなのだと感じた」。
拘留中は署内で提供される新聞は1面から3面まで切り抜かれ、時には1面がないときもあった。
事件の反響の大きさを感じたという。

 保釈後は県から、休暇を取るか、別の県立病院で勤務するか選択を迫られたが、保釈条件などの理由から「休暇を取ることを選ぶしかなかった」と振り返った。
「裁判が終わるまでは一切診療ができない状況だった。裁判中は不安で、いつまで続くのか本当に心配だった。このまま続けば産婦人科医として臨床の場には戻れないと感じた」。
事件当時の指導教授で昨年6月に亡くなった福島県立医科大の佐藤章名誉教授に対しては「命懸けで守ってくれた。感謝の気持ちは言葉で言い尽くすことはできない」と述べ、他の数多くの医療関係者にも感謝の言葉を連ねた。


◆刑事裁判の無罪事例から学ぶ
 日医総研シンポ

 24日の日医総研シンポジウムでは、福島県立大野病院事件だけでなく、刑事訴追された後に無罪判決を得た他の事件の当事者らも登壇し、医療事故での刑事裁判の問題点などを指摘した。

 東京女子医科大病院で心臓手術を受けた12歳の女児が死亡した事故では、人工心肺装置の操作ミスによる脱血不良が原因として、装置を操作した佐藤一樹医師(現・いつき会ハートクリニック)が業務上過失致死罪に問われ、2002年6月に逮捕された。
この事件で検察側は、心臓外科の専門医を除く非専門医で構成した大学の内部委員会が作成した報告書の内容に基づいて佐藤医師を起訴。
弁護側が医学水準に基づいた事実認定を求めた結果、検察側の主張は退けられ、09年4月に佐藤医師の無罪が確定した。

○「医学的観点より患者側の説得が優先」

 佐藤医師は院内事故調査報告書の問題点として「医学的観点からの原因分析よりも患者側を説得させる説明が優先される」と指摘し、病院開設者側の都合で作成されるとの懸念を示した。
その上で報告書を発表する絶対条件として、委員会は調査終了前に当事者から意見を聞き、同意拒否権を担保する必要があるとした。
委員会と当事者の意見が異なる場合には、当事者意見の要旨を報告書に添付することも必要と提言した。

善意の結果「刑事責任問うべきでない」

 杏林大の「割りばし事件」について、当時、患児を診察した耳鼻咽喉科医を指導していた長谷川誠・元杏林大耳鼻咽喉科教授は、無罪判決までの事実認定の過程を説明。
医学的には世界的にも前例がない極めて難しいケースだったと振り返り「善意に基づいた医療行為の結果については、刑事責任を問うべきではない」と繰り返した。
また、マスメディアによる強力なバッシングが担当医の人生を棒に振る結果に追い込んだと悔しさをにじませた。

 シンポは「さらなる医療の信頼に向けて―無罪事件から学ぶ」をテーマに、東京都内の日本医師会館で開かれた。
47都道府県から参加があり、会場に入り切らない参加者のために特設会場も用意された。
日医はシンポで「医療事故調査に関する検討委員会」がまとめた医療事故調査制度創設の提言を説明した。


◆院内調査委と第三者機関は併存で
 東京大・樋口教授

 東京大大学院法学政治学研究科の樋口範雄教授は24日、医療事故調査制度の在り方について「第三者機関をつくって院内事故調査委員会と協調し、競争させるべきだ」と述べた。
東京・本駒込の日本医師会館で開かれた日医総研シンポジウムで、医師法21条をテーマに基調講演した。

 厚生労働省「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」運営委員会の座長を務める樋口氏は、院内で発生した事故を院内で調査できないようでは困るとして院内事故調査委の必要性をとなえた。
ただ、院内調査委の調査は身内に甘くなることも考えられるため、第三者機関の創設は必須だとした。
院内調査委と第三者機関で見解が分かれることがあるが、医学の進歩で将来的に正解が導かれることもあると説明した。

 第三者機関については「日本全体をカバーすることは難しいが、小さなものを1つつくり安全弁とする。ただし、そのコストはかけざるを得ない」と述べた。

(メディファクスより)

by internalmedicine | 2011-07-30 08:07 | 医療一般  

オマリズマブの重症慢性喘息治療

かなり高価な薬剤なので・・・経験症例の蓄積がなかなかいかず、イメージがわきにくい。

Adding anti-IgE treatment to inhaled corticosteroids plus long-acting beta 2 agonists plus either leukotriene antagonists, theophylline, or oral corticosteroids, alone or in any combination, in people with severe, chronic asthma
http://clinicalevidence.bmj.com/ceweb/conditions/rdc/1512/1512_I1273764526605.jsp?rss=true

Anti-IgE treatment (omalizumab) は吸入ステロイド・経口ステロイドに付加して症状改善・急性増悪改善、吸入ステロイドの減量・中止効果も認める。
経口ステロイド重症喘息患者において、その使用の減少は期待できないようだ。
さらに、現行技量ガイドライン上の他の治療オプション(吸入ステロイド+長時間持続β2アゴニスト+アンタゴニスト or テオフィリン、それぞれの単独・併用)と比べて臨床的にベネフィットがあるか、コスト効果の面はいまだはっきりしない。
対照トライアルと未発表観察研究で、まれだが、オマリズマブ使用関連した動脈血栓イベントの増加が示されているが現時点では統計学的に有意でなく、かかる危険性の場合に使用控えるよう助言がなされている(http://www.mhra.gov.uk/home/groups/dsu/documents/publication/con108718.pdf).

by internalmedicine | 2011-07-30 06:42 | 呼吸器系  

ADA:インスリン抵抗性・糖尿病・心血管疾患ワールドコングレス

World Congress on Insulin Resistance, Diabetes, and Cardiovascular Disease
Part 1
Diabetes Care July 2011 vol. 34 no. 7 e115-120

World Congress on Insulin Resistance, Diabetes, and Cardiovascular Disease
Part 2
Diabetes Care August 2011 vol. 34 no. 8 e126-e131

by internalmedicine | 2011-07-29 17:15 | 糖尿病・肥満  

胸水中の細菌検査は血液培養ボトルを用いた方が良い


Blood culture bottle culture of pleural fluid in pleural infection
Thorax 2011;66:658-662 doi:10.1136/thx.2010.157842


血液培養ボトルは標準培養より病原菌培養比率増加  20.8% (20/53 (37.7%) → 31/53 (58.5%) (difference 20.8%, 95% CI 差 8.9% - 20.8%, p<0.001))

標準培養2度めの培養の改善効果は認めず 19/49 (38.8%) →  22/49 (44.9%) (difference 6.1%, 95% CI 差 −2.5% - 6.1%, p=0.08))

培養採取料は分離回数に影響与えず



コストが上がるから、保険点数を上げてもらわないと困るけど・・・

by internalmedicine | 2011-07-29 16:58 | 呼吸器系  

COPDは田舎ほど予後が悪い

表題ほど単純ではないようだが、孤立した集落居住のCOPD患者はやはり予後が悪いようだ。病院があっても諸規模だから?・・・と考えがちだが、因子を考えると、COPD患者にとっては病院へのアクセスしやすさが問題のようだ。

Geographic Isolation and the Risk for Chronic Obstructive Pulmonary Disease–Related Mortality A Cohort Study
Ann. Int. Med. July 19, 2011 vol. 155 no. 2 80-86



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18 809 名 (71%)が都市部、   5671 (21%)が田舎、 1919 (7%)が孤立化した田舎。

死亡率は孤立した田舎で、都市部に比べると、死亡率増加  (5.0% vs. 3.8%; P = 0.002)

孤立した田舎での死亡率増加は、患者特性・病院の田舎度・病院の大きさ補正後も持続  (odds ratio [OR], 1.42 [95% CI, 1.07 to 1.89]; P = 0.016)

補正死亡率は、非孤立化田舎で暮らす場合は高くない (OR, 1.09 [CI, 0.90 to 1.32]; P = 0.47)

結果は、推定される他の因子補正後も変わらず


「他地域から孤立化した田舎での居住は、急性心筋梗塞になっても血管インターべーションまで時間がかかり、小規模病院に受診せざる得ないなど、臨床的アウトカム悪化が考えられる。医師偏在などで医療的アドバンテージに恵まれず・・・」と序文。

田舎開業医の私には耳の痛い話が・・・

論文中に書かれているが、病院規模と死亡率の逆相関は心筋梗塞、肺炎、心不全において一定の閾値を持って、認められている。ある程度規模以上なら変わらないので、あまり巨大規模な必要はないとのこと。
この論文では、 小規模 35 ~ 235 床、中規模  236 ~ 399床 、大規模 400床以上としている。

COPDでは、病院規模と関連はっきりしていない。むしろ、病院までの距離、孤立してないことが大事なようだ。COPD急性増悪は初期対応が重要なのでそういうことが関係しているのだろうか?

by internalmedicine | 2011-07-29 16:44 | 呼吸器系  

食事性繊維分増加するほど乳がんリスク低下

Dietary fiber intake and risk of breast cancer: a meta-analysis of prospective cohort studies
Am J Clin Nutr August 2011 ajcn.015578

11%ほどの違いが出てくるそうな・・・毎日15gの繊維をとりましょう・・と著者ら。

日本人の食事摂取基準(2010年版)では、食物繊維の目標量は、18歳以上では1日あたり男性19 g以上、女性17g以上( 「日本人の食事摂取基準」(2010年版) http://www.ishiyaku.co.jp/download/kanei-khp/data/info_pdf/shokuji_kijun_2010.pdf  炭水化物の項目)

・・・だから、これを守ること・・・

by internalmedicine | 2011-07-29 15:25 | がん  

マンモグラフィー検診って実は役立ってない?

Breast cancer mortality in neighbouring European countries with different levels of screening but similar access to treatment: trend analysis of WHO mortality database
BMJ 2011; 343:d4411 doi: 10.1136/bmj.d4411 (Published 28 July 2011)



1989年から2006年に、乳がんによる死亡は、北アイルランド 29%、アイルランド共和国 26%減少し、オランダ 25%、ベルギー 20%、フランダース地方 25%、スウェーデン 16%、ノルウェー 24%。

時間トレンドと年毎の下降傾向は、 北アイルランド、アイルランド共和国、オランダ、フランドルの間に間に類似していた。
どのペアの国も同様な、医療サービスで、乳がんリスク要素頻度であるが、マンモグラフィー検診の導入にばらつきがあり約10-15年の開きがある。

すなわち、国別比較で、マンモグラフィー導入に開きがあるものの、それが死亡率に反映していない。



初回マンモグラフィー検診導入推奨後の年数と年齢補正乳がん死亡率(女性;スウェーデン、ノルウェー)



マンモグラフィー検診被験と年齢補正乳が院死亡率(オランダとベルギー)
各国それぞれ検診率(細い線)が上がってるのに、死亡率はほとんど他国の傾向と変わらない!




検診をうければすべて解決・・・って訳でもなさそう


”乳がん検診”だけでなく”検診”全般に共通するが、”検診”は決してすべてを解決する魔法ではない。”検診”することで”無用な検査”や”治療”がなされる危険性や心理的負担・金銭的負担もついてくる。
検診する前に、検診する側が主体的にインフォームド・コンセントをとる必要があるのだが・・・現実にやられているところは少ない。特に行政主体の検診において・・・

この報告が良いきっかけになればと思うのだが・・・ ”ピンクリボン運動”の強風下、検診リスクに関する意見は吹き飛ばされる・・・

by internalmedicine | 2011-07-29 15:02 | がん  

米国:出産に関わる卒中入院は増加  ・・・ 高血圧管理が重要

日本では、救急医療、特に、司法的な問題の方が注目を浴びていてるが、国際的にもより根本的問題である、”妊娠出産に関わる卒中”の合併症・死亡率は大きな問題となっている。

Trends in Pregnancy Hospitalizations That Included a Stroke in the United States From 1994 to 2007
Reasons for Concern?
Elena V. Kuklina et. al.
STROKEAHA.110.610592 Published online before print July 28, 2011
doi: 10.1161/​STROKEAHA.110.610592


1994-1995年から2006-2007年の間に、卒中(くも膜下出血、脳内出血、虚血性卒中、一過性脳虚血、脳血管血栓症、他)の出産前入院 47%増加(1000出産あたり0.15 → 0.22)、出産後入院増加 83%増加(1000出産あたり 0.12 → 0.22) だが、出産入院あたりでは 0.27と不変。

2006-2007年において卒中による出産前・後入院のそれぞれ ≈32% と 53%は、同時に高血圧・心疾患を有する。
1994-1995年 → 2006-2007年の2つの状況の変化は主に出産後の入院で増加していることが大きい。


修正しうる状況としては、”妊娠中、あるいは妊娠前の血圧管理”ということになる。

妊娠前後の高血圧治療って薬剤選択困難というのも、もう一つの課題なのだが・・・

妊娠中降圧剤と心血管奇形 :薬剤特異性無く、根本は原疾患としての高血圧が原因 2009年 05月 19日

製薬会社としては当然の行動だとは思うが、自社製品保護にてマーケット上少数の存在は無視の状況。
妊娠前後に関わる各種降圧剤安全性に関わる科学性追求を行うはずもなく
行政はいつもの通り無策で、責任はつねに現場へ押しつけ・・・という状況。

by internalmedicine | 2011-07-29 09:02 | 動脈硬化/循環器  

無計画妊娠児 3-5歳で言語・非言語・空間応力に問題

英国の18 818 名の子供の前向きコホート研究

Effect of pregnancy planning and fertility treatment on cognitive outcomes in children at ages 3 and 5: longitudinal cohort study
BMJ 2011; 343:d4473 doi: 10.1136/bmj.d4473 (Published 26 July 2011)
Cite this as: BMJ 2011; 343:d4473

by internalmedicine | 2011-07-29 08:16 | 医学