入院するほどの肺炎は起炎菌同定なんていってられない・・・4時間以内抗生剤投与すべし

“Empiric thrapy”:本来,化学療法は細菌培養検査にて起炎菌を同定してから,最も適した抗菌剤を用いるべきである.しかし,起炎菌の培養,同定には2日以上を要し,止むをえず起炎菌を同定しないまま化学療法を開始する場合がある.”という教え方をするWebサイトもgoogle検索するとあるようです。


たしかに軽症の気管支炎などは抗生剤そのものの投与の是非が問われておりますが、どうもこの方面との混同があるのではないかと考えております。


特に入院を必要とする肺炎の場合は“起炎菌同定のため治療を遅れさせてはならない”という原則もあるのです。“initiated promptly and should not be delayed in an attempt decisions based on the identification of microbial pathogens to obtain pretreatment specimens from microbiological studies.”

ということで、抗生剤投与が遅れると死亡率を高め、入院期間も延長するという考えれば当たり前の結論ですが、めやすが4時間とかなり短いということが驚きでした。

市中肺炎のメディケア入院の抗生剤投与のタイミングとアウトカム
Timing of Antibiotic Administration and Outcomes for Medicare Patients Hospitalized With Community-Acquired Pneumonia
Arch Intern Med. 2004;164:637-644.
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肺炎でのメディケア入院は60万件以上がある。ガイドラインは入院8時間以内の抗生剤投与を推奨している。
市中肺炎で入院した65歳以上のメディケア患者18209人のサンプルをランダム化サンプルで後顧的に検討。アウトカムは重症度による補正死亡率、30日以内の再入院、入院期間
外来にて抗生剤投与を受けていない13771名の患者のうち、入院後4時間以内の抗生剤投与は院内死亡率、30日以内の入院時死亡率、入院滞在期間の短縮につながる。
(6.8% vs 7.4%; 補正オッズ比 [AOR], 0.85; 95%CI, 0.74-0.98)、(11.6% vs 12.7%; AOR, 0.85; 95% CI, 0.76-0.95)、(42.1% vs 45.1%; AOR, 0.90; 95% CI, 0.83-0.96)
4時間以内の抗生剤投与は遅れた場合より0.4日入院期間短縮。タイミングは再入院と相関しない。入院後4時間以内の抗生剤投与は全患者の60.9%、病院の特徴にかかわらず50%以上であった。
入院後4時間以内の抗生剤投与は死亡率減少、入院滞在期間と関連し、4時間以内の抗生剤投与がメディケア対象者の死亡を予防し、入院のコストを下げ、多くの入院患者にとってうけいれやすい。
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感染症治療に関してはどうもいくつかのピットフォールがあるようで、近隣疾患との混同や、かつて先輩に教わったからといってそれ以降知識をアップデートせずにいることがとても危険だと考えます。

by internalmedicine | 2004-03-25 10:16 | 医学  

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