シロスタゾール:アスピリン比較で、再発性卒中減少 :今後はコスト解析が問題

これも、ASA: American Stroke Association Meeting からの報告情報

”間欠性跛行の薬剤というイメージのシロスタゾールがアスピリンより再発性卒中に関して優れているとランダム化トライアルのデータ”。篠原幸人(国家公務員共済組合連合会立川病院)からの報告とされている。

ソース:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ASA/18713

1-5年継続連日治療後、虚血性卒中患者の再発リスクを、アスピリンに比べ、シロスタゾールで26%減少(HR 0.74, 95% CI 0.56 to 0.98)との報告

再発は 6.1% vs 8.9%

安全性はcilostazolで、ICH、SAH、入院を要する他の出血性イベントで優れている(HR 0.46, 95% CI 0.30 to 0.71)とのこと

Shinohara Y, et al "Cilostazol shows superiority to aspirin for secondary stroke prevention: results of CSPS II" ASA 2010; Abstract 194.


臨床的に問題となる、シロスタゾールの頻拍の問題を含め、頭痛・義理・めまい・動悸などが当然ながら、アスピリンより多かったが、出血リスクは少ない。高血圧、便秘がアスピリン投与で多い。
篠原先生は、非心原性卒中の二次予防オプションとしてシロスタゾールをアスピリン、clopidogrelや他の抗血小板剤とともに推奨しており、このことは日本の脳卒中治療ガイドラインで反映されていると書かれている。
コストが問題で、アスピリンの4倍で、今後コスト効果解析が進行中であると述べている。



脳卒中治療ガイドライン2009
非心原性TIAの脳梗塞発症予防には抗血小板療法が推奨され、本邦で使用可能なものはアスピリン75~150mg/日、クロピドグレル75mg/日(以上、グレードA)、シロスタゾール200mg/日、チクロピジン200mg/日(以上、グレードB)である。必要に応じて降圧薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬など)、スタチンの投与も推奨される(グレードA)。

シロスタゾールは、脳梗塞再発予防効果がアスピリンに優るとも劣らないとの大規模臨床試験もあり、また症候性頭蓋内主幹動脈狭窄性病変の進行抑制、糖尿病・高血圧合併例の再発予防に有効性を有することが示されている。しかし頭痛、頻脈の副作用がある。 
糖尿病その他高リスクを合併する脳梗塞症例の再発予防にはアスピリンよりもクロピドグレル、シロスタゾールが優れている可能性がある。



報告自体は問題ないと思うが・・・エビデンスレベルの高い報告に基づいて・・・ガイドラインは作成されているはずなのに、この流れって、権威づけされた人たちが閉鎖的にガイドラインを作り、それを報告で固めるという順番になってるのではないか?日本の医学ガイドライン作成の閉鎖性が露呈している気がする。

by internalmedicine | 2010-02-27 09:50 | 動脈硬化/循環器  

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