糖化ヘモグロビンは非糖尿病成人の糖尿病、心血管リスクの優れた予測因子だが・・・J字型現象あり

空腹時血糖とくらべて、糖化ヘモグロビンは、糖尿病リスクと同様に相関を示し、心血管リスク・全原因死亡に関しては優れている・・・という報告。

米国では未だに空腹時血糖が糖尿病診断の主流で、微小血管・大血管疾患リスクと糖化ヘモグロビン関係が明らかになり、糖化ヘモグロビンの診断時使用のadvocateが推奨されたばかり(Diabetes Care 2010;33:Suppl 1:S62-S69.)。


心血管リスクや全原因死亡リスクに関わる、糖化ヘモグロビン使用が優れていることが判明したが、J現象が気になる。

Glycated Hemoglobin, Diabetes, and Cardiovascular Risk in Nondiabetic Adults
N Engl. J Med. Vol. 362;(9) 800-811 Mar. 4, 2010

糖尿病リスクと心血管疾患に関して成人における、糖化ヘモグロビンと空腹時血糖の予後的価値の報告

11092名の黒人・白人の糖化ヘモグロビン全血試料で、糖尿病歴や心血管疾患歴を持たない人たちを対象に、2回目visit(1990-1992)を対象( Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) study)

ベースライン糖化ヘモグロビン値は新規糖尿病・心血管アウトカムと相関。
糖化ヘモグロビン<5.0に対して、5.0から<5.5%、5.5%から<6.0、6.0から<6.5%、6.9%以上で、多変量補正ハザード比は、 それぞれ、0.52 (0.40 ~ 0.69), 1.00 (reference), 1.86 (1.67 ~ 2.08), 4.48 (3.92 ~ 5.13), 16.47 (14.22 ~ 19.08)
冠動脈性疾患に対して、ハザード比は、 0.96 (0.74 ~ 1.24), 1.00 (reference), 1.23 (1.07 ~ 1.41), 1.78 (1.48 ~ 2.15), 1.95 (1.53 ~ 2.48)
卒中に対しても同様。

逆に、糖化ヘモグロビンと全原因死亡にはJ-字型相関が見られた。
これらの相関はベースライン血糖補正後も有意。

空腹時血糖値と心血管疾患・全原因死亡リスクは他の寄与因子や糖化ヘモグロビン補正後は有意ではなくなった。
冠動脈疾患に関して、糖化ヘモグロビンを空腹時毛糖測定に加えたとき、リスク判別測定は有意に改善を示した。



問題のJ-字型

糖化ヘモグロビンは非糖尿病成人の糖尿病、心血管リスクの優れた予測因子だが・・・J字型現象あり_a0007242_11225071.jpg

右上:糖尿病診断  左上:冠動脈疾患
右下:卒中  左下:全原因死亡



悪評高い、特定健診は、HbA1cのカットオフ値を5.1%としている・・・

by internalmedicine | 2010-03-04 11:24 | 動脈硬化/循環器  

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