都市部レベルの一酸化炭素濃度で健康ラットに心臓リモデリングや不整脈発生

都市部の一酸化炭素濃度で、ラットの心臓に対する影響をみたもので、恐るべきことに、健康モデルのラットでも、心臓のリモデリングや心室性不整脈を引き起こすことが示された。アドレナリン過剰作動状態が大元にあるようだ。

喫煙者はもっと・・・

Carbon Monoxide Pollution Promotes Cardiac Remodeling and Ventricular Arrhythmia in Healthy Rats
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 181. pp. 587-595, (2010)



Wistar rats に4週間フィルター化空気(CO<1 ppm)もしくは 30 ppm で100 ppmのピーク5回の24時間暴露(都市部空気と一致)
心筋機能はエコーと体表面ECG、in vitroの単一左室心筋細胞のECカップリング測定


慢性CO汚染は、左室間質および血管周囲繊維かを促進し、心筋細胞のサイズに変化なし、弱いが、有意ある影響を、 in vivo心機能の変化で認めた。

しかし、単一心筋細胞の収縮・弛緩はともに、著明に変化。

心筋フィラメントのCa2+一過性電位とCa2+ sensitivity減少、拡張期の細胞内Ca2+増加にともなうSERCA-2a発現減少、Ca2+再とりこみ減少を含むいくつかの変化が認められた。

CO汚染は不整脈イベント数を増加。

Ca2+ handling、sarcomeric proteinの過リン酸化、β-アドレナリン作用への反応性減少が認められ、COによるアドレナリン過剰作動状態が示唆される。





ref.)
不全心における収縮障害の細胞内メカニズム −SERCA2aを中心として−
http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/123/2/123_87/_article/-char/ja

心筋細胞内Ca2+handlingの調節には多くのタンパク質が関わっているが,中でも筋小胞体のCa2+ポンプであるSERCA2a(心筋筋小胞体Ca2+-ATPase)が中心的な役割を果たしている.
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心筋では,Ca2+電流として細胞内に流入したCa2+が筋小胞体Ca2+放出チャネルを開口させるCa2+誘発性Ca2+遊離機構(CICR)が生理的に働いていると考えられている.細胞膜の脱分極をT 管上のジヒドロピリジン受容体である電位センサーが感知する.電位変化によってL 型Ca2+チャネルが開き,細胞外Ca2+が流入し,流入したCa2+がトリガーとなって筋小胞体のリアノジン受容体を開口させCa2+放出を起こす.放出されたCa2+は前述のメカニズムによって筋収縮を誘起し,その後ただちに筋小胞体Ca2+ポンプ(SERCA)によって筋小胞体に取り込まれるか,Na+/Ca2+交換系によって細胞外に排出される.細胞内Ca2+は,これらの機構の他に細胞膜のCa2+-ATPase やミトコンドリアのCa2+トランスポーターによっても処理されることが報告されているが,1拍ごとの心臓の拍動には大きな影響を与えていないと考えられている・・・SERCA は筋小胞体上に多数存在し,リアノジン受容体から放出されたCa2+を筋小胞体内に能動的に取り込み,細胞内Ca2+濃度を低下させる.SERCA 遺伝子の3つのアイソフォームのうちSERCA2遺伝子からは,選択的スプライシングにより4種類のmRNA が存在する

by internalmedicine | 2010-03-09 10:26 | 動脈硬化/循環器  

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