受診毎の収縮期血圧変動が卒中リスク、他、治療中患者でも・・・episodic 高血圧の問題も
2010年 03月 12日
診断治療ガイドラインでは、平均血圧にのみ関心が置かれているが、受診毎のの変動、最大血圧到達値、未治療エピソード的高血圧、治療患者に関する別の変数に関する有用性について着眼して検討。
結論から言えば、SBP(収縮期血圧)の受診毎の変動と最大SBPが卒中の強い予測因子となり、平均SBPと独立した因子となり得た。
血圧治療中の残存的SBP変動は、心血管イベントの高いリスクとなり得た。
受診毎の血圧変動に影響をおよぼすものは、元々の日差変動があり、そのほか、年齢、女性、喫煙、糖尿病、末梢動脈疾患との関連が考察されている。
この変動は、年齢とともに増加するが、影響としては若年者が大きい、おそらく、卒中や死亡、目標臓器障害の感受が大きい共役的要素が少ないからだと思われる。
収縮期血圧の受診毎の変動および最大収縮期血圧が卒中の予測因子となり、平均血圧の変動とは独立した要素であるという結論、そして、治療中高血圧患者ではSBPの変動がやはり血管性疾患イベントの高リスク因子であることが判明した。
episodic hypertensionの問題も触れられている・・・盛りだくさん過ぎる論文
Prognostic significance of visit-to-visit variability, maximum systolic blood pressure, and episodic hypertension
The Lancet, Volume 375, Issue 9718, Pages 895 - 905, 13 March 2010
以前のTIA発作既往をもつ患者 (TIA; UK-TIA trial and three validation cohorts) と高血圧治療患者 [ASCOT-BPLA]で、受診毎の血圧変動と最大血圧に関連した卒中リスクについて決定する目的
ASCOT-BPLAでは、24時間ABPMが研究されている。
TIAコホートで、受診毎の収縮期血圧変動は、その後の卒中の強い予後因子(eg, 最大10分位ハザード比 [HR] for SD SBP over seven visits in UK-TIA trial: 6·22, 95% CI 4·16—9·29, p<0·0001)であり、平均血圧と独立した要素で、測定の正確性に依存する(10回受診の最大10分位ハザード比: 12·08, 7·40—19·72, p<0·0001)
最大SBP到達値は、また、強い卒中予測因子である(7回受診の最大10分位ハザード比: 15·01, 6·56—34·38, p<0·0001, 平均血圧補正).
ASCOT-BPLA、治療によるSBPの受診後との残余変動がまた、卒中と冠動脈イベントの強い予測因子(eg, top-decile HR for stroke: 3·25, 2·32—4·54, p<0·0001)で、クリニック・ABPMの平均SBPから独立した因子であることが示された。
ASCOT-BPLA治療群
左:SD, VIM, and ASV of SBP10分位
中央:卒中リスクとの相関
右:冠動脈リスク
中央、右は卒中、急性冠動脈イベントのリスクハザード比(95%CI)で、10分位毎の表示
第一10分位を参照カテゴリーとする
10分位毎の、治療群毎のアウトカムイベント数を下に示す
SBP=systolic blood pressure. VIM=variation independent of mean. ASV=average successive variability.
ABPMの変動は弱い予測因子であるが、変動に関する測定項目はすべて若年者や平均SBP低値(<median)値の場合でもすべてのコホートでほぼ予測的に働く。
各受診時(ベースライン、6週間後、3ヶ月後、6ヶ月後、それ以上6ヶ月毎)5分安静後座位で、半自動 oscillometric device (Omron HEM-705CP, OMRON Healthcare, Kyoto, Japan)で測定
4つのセンターで、24-h ABPM (SpaceLabs 90207, SpaceLabs, Hertford, UK)を30分ごと測定。
時間比重平均:日中、夜間、24時間SBPとDBPを計算
by internalmedicine | 2010-03-12 15:24 | 動脈硬化/循環器