MrOS研究:老人肋骨骨折リスク:骨折既往、骨密度低値
2010年 03月 17日
肋骨骨折は、老人でももっとも頻度の多い骨折で、年齢、骨密度低値、骨折既往を含むいくつかの骨粗鬆症の古典的リスクマーカーと関連しており、肋骨骨折既往のある老人の2倍もの、その他の部位のの将来骨折リスクより多い。老人男性の将来の骨折予防治療に関して評価するとき、骨粗鬆症性の骨折を考えるべきであるという結論
肋骨骨折なしより、既往のある場合、骨密度低値の場合、骨折既往のある場合に注意が必要である。
Epidemiology of rib fractures in older men: Osteoporotic Fractures in Men (MrOS) prospective cohort study
BMJ 2010;340:c1069, doi: 10.1136/bmj.c1069 (Published 15 March 2010)
老人におけるレントゲン確認の肋骨骨折頻度は、1000人年 3.5で、24%(126/522)が非脊柱骨折
新規肋骨骨折の半数近く、48%;n=61が立位の高さからそれより低い程度で転倒
骨折の独立したリスク要因は、80歳以上、低骨密度、instrumental ADLの障害、肋骨・胸部骨折のベースラインの病歴
Cumulative incidence of rib fracture among men with and without baseline history of rib fracture (n=5879), MrOS Study
病歴を有する男性は少なくとも肋骨骨折リスクは二倍(補正ハザード比 2.71, 95% 信頼区間 1.86-3.95)、股関節骨折 (2.05, 1.33-3.15)、手首( 2.06, 1.14-3.70)
Adjusted hazard ratio and 95% confidence interval for baseline history of rib fracture (n=5879) in MrOS Study.
骨への特異的薬剤治療は14/82のみ使用
When and how to image a suspected broken rib
http://www.ccjm.org/content/76/5/309.full
斜位なしの単純レントゲンでは、50%程度のみ逃しがあり、さらに、肋骨軟骨やstress fractureには無力だが、気胸・血胸・肺挫傷・縦隔気腫の有無検討のため必要。
CTは詳細把握できる、超音波は有益だが利用は広まってない、bonescanは、感度が高いが特異的でない。MRIは役だたず。
Minor Emergencies Splinters to Fractures
軽度外傷で腹腔内損傷の疑いがない場合は,骨折が疑われる部位に間接的に圧力を加えることで肋骨痛の有無を調べ,骨折がないか確認する.側胸部に骨折が疑われる場合には,肋骨を前後方向に圧迫する.後胸部または前胸部に骨折が疑われる場合は,側胸部を内向ききに圧迫する.間接的に圧迫した際に,骨折が疑われる部位に痛みがあると,それは骨折または肋軟骨損傷の臨床的な証拠であり,カルテに"clinical rib fx(肋骨骨折の臨床所見あり)と記載すべきである。深吸気または咳に伴う術みがあり,肋骨の輪郭に沿ってこの痛みを再現する圧痛点が認められる場合にも,肋骨骨折を臨床診断できる.
肋骨ベルトについては、骨ベルトを試着して癌痛が緩和した場合は,伸縮性の肋骨ベルトを間欠的に使用するよう患者に指導する.ベルトのボタンを剣状突起の下端に当て、疼痛緩和効果が最大になるよう胸囲に締め付ける.肋骨ベルトは,最初の1~4日間はほぼ連続的に装着してもよいが,その後は疼痛がひどくなければ装着時間を減らしていくべきである.深呼吸や咳(肋骨ベルトなしで,枕で副子をして)が肺炎の予防上で重要であることを指導する.いつでも可能なときに咳や深呼吸ができるよう,十分量の鎮痛薬を服用するよう指示し,インセンティブ・スパイロメトリーを行う.
by internalmedicine | 2010-03-17 10:06 | 運動系