BADGERトライアル:喘息:子供のステップアップ治療にもっとも反応するのは吸入ステロイド+LABA

3つのステップアップ治療交差比較トライアルで、多くの患児はLABAによく反応するが、吸入ステロイド増量や、LTRAに反応する子供もいる・・・という結論で、6-17歳においては、フルチカゾン100μg×2回/日でコントロール不良な場合、多くはLABA合剤を用いるのが基本。しかし、症例においてはLTRAやICS増量が有用な場合もあるという話


Uncontrolled asthma は、多くの低用量ICSで生じる。 Pediatric Asthma Controller Trial (PACT)では、フルチカゾン 100 µg 1日2回がもっとも効果的治療とされているが、50%超にuncontrolledの状態を残している。39%の子供は経口ステロイドを必要とする急性増悪を少なくとも1回は48週間中に経験している。
低用量ICSでのコントロール不良群での喘息児の治療についてガイドするデータは少なく、報告にばらつきがあった。ピー不フロー流速などの単純なアウトカム測定で行われていたことや、治療期間のばらつき、クライテリアのばらつき、比較群のばらつきなど、評価方法を準備し直してベストなstep-up治療比較を行うべき状況であった。また、phenotypeやgenotypeで、子供がどのような反応を持つかの推定も行いたい
・・・というもの

Best Add-on Therapy Giving Effective Responses (BADGER)トライアル

Step-up Therapy for Children with Uncontrolled Asthma Receiving Inhaled Corticosteroids
N Engl. J Med. Vo. 362: (11) 975-985 Mar. 18, 2010
Childhood Asthma Research and Education (CARE) Network of the National Heart, Lung, and Blood Institute
Published Online March 2, 2010 (DOI: 10.1056/NEJMoa1001278)

182名の患児(6-17歳)をランダムに、1日2回のフルチカゾン投与してもuncontrolledな喘息患児に16週間ランダムな順番でstep-up治療を割り付け
・ フルチカゾン 250 µg 1日2回 (ICS step-up)
・ フルチカゾン100 µg + long-acting beta-agonist 1日2回(LABA step-up)
・ フルチカゾン 100 µg 2回+ leukotriene-receptor antagonist 5 or 10 mg (LTRA step-up)

トリプル交差デザインで、3つのアウトカム(急性増悪、喘息コントロール日数、FEV1)構成デザイン

25%超のstep-upレジメンによる反応頻度差を決定するようデザイン

165名中 161名で異なる反応を評価(P<0.001)
LABA step-up治療反応は多くはbest responseが最も多く、LTRA step-up群に比べて (relative probability, 1.6; 95% 信頼区間l [CI], 1.1 to 2.3; P=0.004) も、LTRA step-upに比べて (relative probability, 1.7; 95% CI, 1.2 to 2.4; P=0.002)も良好

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Pairwise Comparison of Three Step-up Therapies and the Overall Probability of Best Response.



ランダム化前のACT最高スコア(=ベースラインでの良好なコントロールを示唆するもの)は、LABA step-up群の良好性を推定できる(P=0.009)

白人はLABA step-upでよく反応し、黒人はLTRA step upへの反応性は少ない (P=0.005)

by internalmedicine | 2010-03-18 08:19 | 呼吸器系  

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