アルコールは果たして百薬の長か・・・
2004年 09月 13日
“朝日新聞:油断禁物、「やせ形」も飲酒で糖尿病の危険 厚労省調査
http://www.asahi.com/national/update/0912/017.html(著作権でうるさいから直接リンクせず)”という記事をみたのですが、これは結構大事な記事だと思います。
おりからの焼酎ブームは健康ブームから発生したときいてます。
酒をのめばなんでも体に良いのかというとやはり疑問が・・・
アルコールがブドウ糖刺激による血中インスリン濃度を減少を促進する可能性は以前から指摘されてます。
<Effect on Plasma Insulin and Plasma Glucose of Consuming White Wine Alone After a Meal. Alcoholism: Clinical & Experimental Research. 27(11):1718-1723, November 2003. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=14634486>
“Soneら(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=retrieve&db=pubmed&list_uids=12384828&dopt=Abstract)は、アルコール摂取とCHD頻度の相関がないと報告していた。この予備的検討から、人種・民族的な相違が冠動脈疾患頻度の未測定下の役割が示唆される。しかし、Soneらの患者の約半数は学校欠席を含むライフスタイルの変化をもたらすことを割り当てられた患者であった”<Alcohol Use and Diabetes Mellitus Ann Int Med 7 September 2004 | Volume 141 Issue 5| Page 409 http://www.annals.org/cgi/content/full/141/5/409-a>
ということで、米国の定義のobesityまでの肥満が少ないこと、日本では非肥満患者の糖尿病患者が多いことなどから、民族的・人種的特異性があるのではないかと考えられているわけです。
“アルコール中等量はCRP減少をもたらす”という利点は、肥満者によりウェイトがあるわけで・・
<Alcohol Consumption and Plasma Concentration of C-Reactive Protein
Circulation. 2003;107:443.
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/full/107/3/443>
すくなくとも 現時点では 非肥満者のアルコール摂取は確かに発表者のいうところに合理性があるという印象をわたしは持ちます。
ところで、アルコールの許容量というのは一人歩きしているのです。
少量のアルコールは健康増進につながるという明確な根拠はないという意見もあります。
Alcohol and health: A drink a day won’t keep the doctor away(クリーブランドクリニック・ジャーナル)
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このまとめには、日本人男性の少量のビールと直腸癌増加の関係・ウィスキーと肺癌の関係がかかれており、少量のアルコールでもリスクのある可能性があり、“閾値も決めがたいもので、性別、人種、遺伝素因、個体差があり、社会的に医学的な許容範囲として個々人で決められるべきものだが、そのエビデンスが無い以上、少量のアルコールでも許容できない”という主張がされております。
アルコール摂取のベネフィットに関する人に対する研究は飲めない人を対照にするわけにいかないし、ALDH2 genotype の多い日本人ではより慎重に取り扱う必要があるわけです。しかし、現在アルコール摂取が大量でなければ糖尿病患者にアルコール摂取を禁止する根拠はないということでしょうか(C型肝炎など肝疾患、膵臓疾患などをのぞき)。
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健康のため酒を飲めとは、言うべきでない!
by internalmedicine | 2004-09-13 18:17 | 内科全般