やっぱり経験数の多い病院で手術は受けた方がよい
2004年 03月 26日
やはりそのとおりで、しかもある種の手術後の死亡例はその手術手技の種類に特定した者ではなく、別の手術数にも・・・簡単に言えば手術全体の経験数が多いほど、ほかの手術による死亡率も少ない。だから、手術は一極集中しちゃえってことになります。
日本の外科医は優秀と思いますが、一医師の技量より一極集中的な設備・スタッフがこと外科手術に関しては重要で、ぱらぱらと少ない症例を経験してもしかたがない。
このへんはこの国の外科手術に方向性をどうするかだとおもうのですが・・
“hospital volume”ってのは、簡単に言えばその病院での症例経験数です。前々回医療報酬改訂の時、経験数で医療報酬を規定するという項目ができたのですが、地域医療の情勢にあわないということなどいろいろあったようです。
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/SinryouHousyuSenmoni.shtml
利用者側からいわせると、「過疎地などでは基準に達する病院がない」や「医師の移動に伴う新設施設」の問題などは各論的であり、やはり症例数の少ないところは多いところに淘汰され、結果的に効率の良い医療がなされるべきだと私は個人的に思います。
民間であれ、公的病院であれ、ちまちま症例をこなすのではなく、一定規模以上の病院に収斂させるような方向性が必要なのではないでしょうか?
医療機関合併促進法のような・・・ちと言い過ぎかな
医師会は反対でしょうか?違うと思いますが・・・
Does it matter what a hospital is “high volume” for? Specificity of
hospital volume-outcome associations for surgical procedures:
analysis of administrative data
BMJ, doi:10.1136/bmj.38030.642963.AE (published 12 March 2004)
手術死亡率は忙しい病院のほうが少ない。手術件数(high volumes of the procedure)は多い方がいくつかの複雑な手術では良好であり、ほかの手術も多い病院の方が良好であるとカナダの31632名の5つのメジャーな手術の解析で判明。。
直腸結腸切除をのぞいて、30日死亡率は同じ手術方法のhospital volumeだけでなく、ほかの手術のhospital volumeでも逆相関(要するにその手術手技の施設内経験数だけでなくほかの手術手技の経験数も治療成績の関与する)
異なる手術のvolumeの影響は同じ手術volumeより大きかったりする例もある。
たとえば、膵管切除の死亡率はその手術手技のvolumeより肺切除のvolumeに相関している。
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日本では、“日本では一般病院のベッド100床に対して医師数は13人、看護師は44人以上が施設基準ですが、アメリカでは医師は72人、看護師は221人にもなり、アメリカでは日本の5.5倍の医師と、5倍の看護師がいると言うわけです(1998年OECD統計)。”(かかりつけ医通信から引用させていただきました)。手術を主体とする急性期病院だと、看護師数の比率が上がると思いますので、この場合の検討には当たらないのかもしれません。
日本では諸外国に比べこの施設内の手術数、経験数が少ない、というのは病院数が多すぎ、特に地方では200床以下の病院が多く、このレベルの病院が地域の中核となっているところがほとんどではないでしょうか?このレベルだと、収益性が悪く、結局、地域住民の囲い込みすべく、サテライトクリニックや隣接地に同一法人の外来棟だけつくったり、地域医療機関との連携どころか、単なる競争相手となっているところをみます。
肝心の急性期医療は中途半端なところが多い・・かも
by internalmedicine | 2004-03-26 12:05 | 医療一般