”薬だけ外来”に関する裁判:診療報酬協議・制度と司法との矛盾

薬だけ外来 の 存在  2010-02-12 を是認するような、今度の診療報酬改訂の協議とその後の報酬改定

そもそも、我が国は法治国家である。行政の判断より、法律の方の判断が上位にくるのが当然・・・以下の裁判のやりとりを見ても、・安易に”薬だけ外来”行えば、診察処方として、保険医取り消しなどの行政処分をくらうこととなるだろう

この国の行政は、”多忙等の理由により、投薬のみの要請があり、 簡単な症状の確認等を行ったのみで継続処方を行った場合にあっては、外来管理加算は算定できない”という文面で、違法な診療行為を一部是認するよう報酬改定で認めてしまっている。

なんというちぐはぐな行政・・・


本日の裁判で、この「薬だけ外来の違法性」はあらためて司法が認めることとなった。そして、行政処分の対象であることも司法判断としてなされた!


読売(http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamanashi/news/20100331-OYT8T01147.htm)
保険医取り消し「違法」不正請求「患者のための行為」地裁判決

 診療報酬を不正請求したとして2005年、当時の山梨社会保険事務局から保険医療機関指定と保険医登録の取り消し処分を受けた甲府市の小児科「みぞべこどもクリニック」の溝部達子医師(54)が国を相手取り、処分の取り消しを求めた訴訟の判決が甲府地裁であった。太田武聖裁判長は「処分は国の裁量権の範囲を逸脱し、違法」として処分の取り消しを命じた。

 同事務局は05年11月、溝部医師が患者に接していないのに家族から状況を聞いて診察し初診料を不正請求したなどとして、溝部医師と同クリニックを処分した。判決では、「溝部医師の行為は保険診療上、許されるべきものではなかったが、患者のためを思っての行為」と判断。「指定を取り消される医療機関の不利益を考えると、国の裁量にも限度があり、個別指導を行った上で経過を観察することも可能だった」とした。。

・・・・(略)・・・

(2010年4月1日 読売新聞)


読売では、裁判長が「(無診察投薬が)保険診療上、許されるべきものではなかった」と述べた記載している



朝日
http://mytown.asahi.com/yamanashi/news.php?k_id=20000001004010003
保険医解消は「不当」

2010年04月01日

   ■「国、裁量権を逸脱」 医師の訴え地裁認める

 診療報酬を不正に請求したとして保険医登録などを取り消された甲府市の小児科医が、国を相手取って処分の取り消しを求めた民事裁判の判決が31日、甲府地裁であった。太田武聖裁判長は、不正があったことは認めたものの、「ほかに取り得る措置があった」として、処分は妥当性を欠いていたと判断。取り消しを命じた。

 訴えていたのは、「みぞべこどもクリニック」(甲府市塩部4丁目)の溝部達子院長。

 同クリニックと溝部院長は、診療報酬を不正に請求したとして、山梨社会保険事務局(現関東信越厚生局)から2005年12月、保険医療機関の指定と保険医の登録の取り消し処分を受けた。翌年、判決確定まで取り消し処分の執行停止決定が出ていた。

 判決は、患者の家族などから症状を間接的に聞くだけで、診療報酬を「対面」として請求したなどの過失があり、取り消し処分の要件は満たしているとした。その上で、今回の処分は社会通念上、重すぎたとして、社会保険事務局長の「裁量権の範囲を逸脱していた」と結論づけた。

 裁判後、溝部院長の代理人は「法律を前提としながら、裁量に限度があるとしたことに意義がある」と話した。一方、関東信越厚生局山梨事務所は「内容を確認し、(控訴について)判断する」している。


朝日は読売より、あきらかで、「患者の家族などから症状を間接的に聞くだけで、診療報酬を「対面」として請求したなどの過失があり、取り消し処分の要件は満たしている」と、無診察投薬が取消処分の対象であると裁判長が述べたことを明確に記載している。



毎日新聞(魚拓
甲府・保険医登録取り消し:処分取り消し命じる 地裁「裁量権を逸脱」 /山梨

 甲府市の小児科医院「みぞべこどもクリニック」(同市塩部4)の保険医療機関指定と溝部達子院長(54)の保険医登録を5年間取り消した行政処分を不服として、クリニック側が国に処分の取り消しを求めた訴訟で、甲府地裁(太田武聖裁判長)は31日、原告の訴えを認め、処分の取り消しを命じた。

 判決によると、山梨社会保険事務局(現厚生労働省関東信越厚生局山梨事務所)は05年11月、対面診察をせずに薬を処方するなどして、診療報酬を不正に請求したことを理由に処分を行った。

 一方、クリニック側は、患者の立場を考えてのことであり、金額も少額だったとして、処分は重すぎるなどと主張していた。

 判決は診察なしの処方などについて「患者のための行為」と原告の主張を認め「処分は著しく妥当性を欠き、(行政の)裁量権を逸脱している」と判断した。また、裁量権については「医療機関や医師の不利益を考えると限度があり、処分が社会通念上著しく妥当性を欠く場合は逸脱、乱用にあたる」との判断基準を示した。

 同日の法廷には、同クリニックを利用する親子約30人が傍聴に集まった。判決後の記者会見で溝部院長は「支援してくれた皆さんに感謝したい。保険制度の審査や指導の問題を知ってもらうきっかけになってほしい」と話した。

 長女(6)がかかりつけという同市山宮町、主婦、平沢明子さん(42)は「体の弱い子で先生にはとてもよくしてもらっている。安心しました」と喜んでいた。

 同事務所は今後の対応について「厚生局と協議して検討したい」と話した。【水脇友輔】



毎日新聞らしい、情緒的なだけで、意味のない報道・・・




共同通信
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010033101001168.html

保険医取り消しは違法 「裁量権逸脱」と甲府地裁

 非対面診療を理由に社会保険事務局から保険医の登録を取り消された甲府市の医師溝部達子さん(54)が、国に処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決で、甲府地裁(太田武聖裁判長)は31日、「裁量権の範囲を逸脱しており違法」として、処分を取り消した。

 判決によると、溝部さんは2005年1月ごろ、非対面診療の診療報酬を請求したことについて山梨社会保険事務局(現関東信越厚生局山梨事務所)から指導を受け、「実際には診療しておらず、不正な請求」として同年11月、保険医療機関指定と保険医の登録取り消し処分を受けた。

 判決理由で太田裁判長は、溝部さんの非対面診療を「保険診療上、許容されない」としたが、「再登録は原則5年間できず、取り消し処分は社会通念上、著しく妥当性を欠くことが明らか」と指摘した。

 判決後、溝部さんは「保険医療の指導・監査には、明確で合理的な基準がなく、多くの医療事業者が基準を作ってほしいと思っている。皆さんに現状を知って、考えてもらいたい」と話した。

 関東信越厚生局山梨事務所は「本局と協議して対応したい」としている。
2010/03/31 21:07 【共同通信】



非対面診療を「保険診療上、許容されない」と記載。

by internalmedicine | 2010-04-01 14:24 | くそ役人  

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