2008年中国乳幼児の死因 ・・・ 

The Lancetが取り扱うべき内容なのか不思議で、中国厚労省(そんなのがあるか知らないが・・・)の統計局あたりが公表すればよいことで・・・・・・不思議

Causes of deaths in children younger than 5 years in China in 2008
The Lancet, Volume 375, Issue 9720, Pages 1083 - 1089, 27 March 2010

1990年から2008年において、死亡率は以下のごとく低下、新生児死亡率 70% ( 34·0 → 10·2/年間出生数1000あたり、新生児後乳児72% ( 53·5 → 14·9 /年間出生数1000あたり)、小児の死亡率 71% ( 64·6 → 18·5 /年間出生数1000あたり)となり、 Millennium Development Goal 4に合致

2008年死亡原因は、肺炎、出生時仮死、早産合併症で、それぞれ全死因原因の15-17%に相当

先天性異常や事故はこの期間増加していることが目立ち、全死亡原因の11%、10%に相当
乳幼児突然死症候群は子供の5%




国際比較だが、公共機関などが公開している統計データを視覚化して提示するツール「Google Public Data Explorer」にはこの項目がない。

かわりに・・
http://www.kisc.meiji.ac.jp/cgi-isc/cgiwrap/~kenjisuz/table.cgi?LG=j&TP=po06-02
(”1歳未満の児童”等と書かれており、学術レベルを疑う)


日本の乳幼児分野での躍進ぶりにあらためて驚く・・・韓国も後追いで改善している現状のようだ。中国も、この後を追うのだろう・・・すると、人口分布に関して、日本と同じ悩みを東アジア各国が持つのは必然。

日本では、出生10万対 H20 : 256.4 , H19 : 259.5死亡率

周産期に関連した病態 : 26.6 %、 先天奇形,変形及び染色体異常: 35.7%、 乳幼児突然死症候群 5.5%、肺炎: 2.1%と比率が異なる。

中国も、将来、現在の日本と類似した死因比率となるのだろう・・・

日本の現状:乳児死亡数・乳児死亡率(出生10万対),乳児死因簡単分類別・対前年比較
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2008/xls/12-5.xls

新生児死亡数・新生児死亡率(出生10万対),乳児死因簡単分類別
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2008/xls/12-17.xls





ところで、日本に関しては・・・ご存じ朝日の「日本の乳幼児死亡率は先進国トップ」という記事
「日本の乳幼児死亡率は先進国トップ」(朝日新聞5月28日夕刊(4版))
長寿命を誇る日本だが、1~4歳児の死亡率は先進国の平均より3割高く、実質的に「最悪」なことが厚生労働省の研究班の調査でわかった。原因ははっきりしないが、主任研究者の田中哲郎・国立保健医療科学院生涯保健部長は「小児救急体制が十分に機能していないのかもしれない。医師の教育研修なども含め、幼児を救う医療を強化する必要がある」と指摘する。

国内総生産(GDP)上位20カ国のうち、世界保健機関(WHO)の統計資料がない中国、韓国、保健医療面で遅れるメキシコ、ブラジルなどを除いた14カ国で主に99年のデータを比べた。年間の死亡率を10万人当たりで見ると、日本の1~4歳児は33.0人で、ほかの13カ国平均より3割多く、米国(34.7人)の次に高い。米国は他殺(2.44人)の占める割合が大きく、この分を除くと、日本が最悪になる。最も低いスウェーデンは14.3人。病気別には、先天奇形や肺炎、心疾患、インフルエンザ、敗血症などが13カ国平均に比べ高い。不慮の事故は、平均とほとんど変わらなかった。ほかの年齢層の死亡率は、すべての層で13カ国平均より低く、全体では10万人当たり783人で、13カ国平均より15%低い。0歳児については340人で、13カ国平均の約3分の2で、スウェーデン(337人)に次いで低い。新生児医療の整備が大きいとされる。



日本において、”1~4歳”は1歳未満の世界最高水準の死亡率のおかげで、統計上、見過ごされていたが、先進国中最悪レベルの健康状態となっていたというセンセーショナルな報告

1~4歳児の死因トップは「不慮の事故」で、誤飲による窒息、お風呂での溺死、転倒・転落などがある。
故に、医療体制の問題というより、”幼児にとって、家庭内・外の安全環境が世界最悪”ということとなるだろう。もちろん、事故後の対応、救急体制の不備なども問題だろう。それに、麻疹などの予防可能なのに一部変わった人たちやメディアのせいで行われないワクチン接種行政の不備も1~4歳の生命に危機を与えている。

参考:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2008/12.html

by internalmedicine | 2010-04-02 08:53 | 医学  

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