日常臨床で頻回に遭遇するデパス依存症

”デパス”依存・・・臨床の現場では、かなり目立つ

”デパス etizolam”はベンゾジアゼピン系で、おそらく、ベンゾジアゼピン依存症の一形態ということになるのだが・・・

薬剤依存は、withdrwal syndrome(離脱症候群)とともに問題で、"The benzodiazepine withdrawal syndrome seen in chronic high dose benzodiazepine abusers is similar to that seen in therapeutic low dose users but of a more severe nature. Extreme antisocial behaviours in obtaining continued supplies and severe drug-seeking behaviour when withdrawing occurs. "

安易に、薬剤処方を行う医療機関側にも問題がある。

当方の地域は、看護師供給地域であり、自らがデパス服用後、親御さんの不定愁訴に、デパス処方を勧めたり、自らの薬剤を与えたりするという話も聞く。やっかいなことに、これを指摘すると、他の薬物依存と同様、conflictを生じることがあり、それを医療機関側が恐れ、言われるがままに処方するという実態が存在する。

デパスは、”健康成人にデパス2mgを食後30分に経口投与した場合,吸収は良好で,最高血漿中濃度は約3時間後に得られ,血漿中濃度の半減期は約6時間であった”という薬剤動態記載。


”脳内ベンゾジアゼピン受容体に対して高い親和性”ということとともに、“ストレス負荷による脳内アミン(ドパミン,ノルアドレナリン,セロトニン)の代謝回転の亢進を強く抑制”(添付文書)ということで、この機序と薬物依存の関連が示唆される。

デパスはpubmed検索(http://eutils.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/eutils/erss.cgi?rss_guid=1D73V0aa8O87K8kjHVGoIOehBfw9jpEIxYOXThCNEItydtfESj) 60件程度と、ほとんど、世界的には科学的検討されてない薬剤で、目立たぬ存在

triazolamと同様、薬剤中断後、離脱症状すなわち、睡眠障害が生じやすく、薬剤依存となりやすいことが示唆される(European Journal of Pharmacology
Volume 597, Issues 1-3, 12 November 2008, Pages 46-50
)。

タンドスピロン(tandospirone;セディール)は、睡眠障害としての離脱症候群を認めないことが上記論文で記載されている。ラットで、ハルシオンやデパスに関して、離脱症候群としての睡眠障害リバウンドが認められ、依存しやすい薬剤であることは確実

by internalmedicine | 2010-04-09 10:29 | 精神・認知  

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