クリニック血圧との関連で見た診断・治療のための持続血圧目標値

Geoffrey Headらの前向きコホート

日中の持続血圧測定値の閾値はクリニックでの値より若干低く、医師測定の血圧は、訓練されたスタッフより若干高い。
故に、現在の血圧測定閾値は不適切なものとなっているのではないかと・・・

Definition of ambulatory blood pressure targets for diagnosis and treatment of hypertension in relation to clinic blood pressure: prospective cohort study
BMJ 2010;340:c1104, doi: 10.1136/bmj.c1104 (Published 14 April 2010)

【背景】 24時間持続血圧閾値は、軽症高血圧診断の定義に用いられているが、治療目的には用いられず、また、中等症・重症高血圧診断時の他の血圧閾値には用いられない。
高血圧診断・治療の診療所血圧閾値に相当する、適切な年齢・性別関連持続血圧閾値を導く目的

【方法】オーストラリアの11のセンターからの、 24時間ABPデータで、信頼できるデバイスを用いたもの (n=8575)
これらの測定値と熟練スタッフとそれより少ない医師コホートにおけるクリニックの血圧測定値の相関評価のため最小2乗regressionを用いた(n=1693)

【結果】 患者の平均年齢は56(SD 15)歳、平均BMI 28.9(5.5)、平均クリニック収縮期/拡張期血圧 142/82 mmHg(19/12); 4626(54%)は女性
熟練スタッフによる平均クリニック測定値は、昼間ABPより6/3 mmHg高く、24時間ABPより10/5 mmHg高い。クリニックでの医師測定より9/7 mm Hg高い
熟練スタッフクリニック測定値からの昼間ABPは、高血圧下限値である、140/90 mm Hgという閾値より 4/3 mm Hg低い
そして、関連疾患合併のある患者の上限値130/80 mmHg閾値より 2/2 mmHg低く、125/75 mmHg閾値より1/2 mmHg低い

相当値は、女性で 1/2 mm Hg低く、老人では 3/1 mmHg低い


横:クリニック収縮期血圧、クリニック拡張時血圧
縦:24時間、昼、夜持続血圧測定値

波線:least squares linear regression (LSR) linear regression
実線:ordinary least product (OLP) linear regression

【結論】 研究では、昼間の血圧閾値は、クリニックの測定値より若干低い
医師により行われたクリニック血圧測定は、熟練スタッフにより行われた推定は不適切で、故に持続血圧閾値は不適切と考えられる。
これらの結果は、持続血圧値を用いた診断・マネージメントのフレームワークに寄与する。

by internalmedicine | 2010-04-16 10:21 | 動脈硬化/循環器  

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