スターシス・ファスティック:糖代謝異常症における糖尿病発生抑制効果なし

IGT患者において、5年程度の経過で、インスリン速効型インスリン分泌促進であるnateglinideは糖尿病発症頻度に影響を与えない。Nateglinideはまた、心血管リスク減少をもたらさなかった。
ゆえに、IGTマネージメントに使用するには不適切という話


Effect of Nateglinide on the Incidence of Diabetes and Cardiovascular Events
The NAVIGATOR Study Group
NEJM Vol. 362:(16) 1463-1476 April 22, 2010

2×2区分トライアル(プラセボに負けたValsartan・・・NAVIGATOR研究・・・ 2010-04-22 09:23 )の片割れ

身体運動を増やし、体重を減らすことなどのライフスタイル介入により糖尿病リスクは減少し、薬剤として、metformin、 acarbose、 rosiglitazoneも減少させるが、心血管アウトカムまで影響をあたえるという報告はない。糖代謝異常では、2型糖尿病と心血管疾患のリスク増加はあるが、結果、糖尿病と、心血管疾患へ影響を与えるはずなのだが、やはり、latent timeの問題があるのだろう。
空腹時血統より食後血糖値が心血管疾患に影響をあたえるだろうという知見(Lancet 1999;354:617-621

まずは、糖尿病発症の頻度を減少させることを示してから・・・という話になるのだが、その俎上にものらなかった。



あらためて、IGTに関するアカルボースの報告(STOP-NIDDM研究)を見るとなんだかなぁ・・・と思う

αGIであるacarboseによる食後血糖低下で、IGT患者の心筋梗塞リスクを減少させたという報告(JAMA 2003;290:486-494.)がある。



今思うと、突出した報告が・・・

2型糖尿病治療薬として、外国のガイドラインでは無視されるほど評価の低い薬剤であるαGIにIGTにおけるCVDイベント減少効果があるほどの力があることになる。


スターシス・ファスティック:糖代謝異常症における糖尿病発生抑制効果なし_a0007242_108599.gif

((The Lancet, Volume 359, Issue 9323, Pages 2072 - 2077

あらためてこの図譜をみると、CVDイベントは一年後に集中的に発生していることになる・・・IGT患者の糖尿病発症という次元を超えて・・・直接動脈硬化関連イベントが発症していることになる!


これって信用できるの?

糖尿病専門医師たちの講演を多く聴いたが、その矛盾(あるいは、アカルボースの直接動脈硬化イベント抑制作用という新発見!)にはだれも触れていなかった!・・・食後血糖の重要性という話でごまかして、この論文を掘り下げようとしてなかったかのように見える。

参照:Voglibose Ph-3 Study: ベイスンのIGTからの糖尿病発症抑制効果 2009-04-24

by internalmedicine | 2010-04-22 10:15 | 糖尿病・肥満  

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