老人患者特異的入院リハビリテーション

リハビリテーション医学は比較的若年者の神経学的、筋骨格筋、整形、呼吸、循環器疾患といった臓器特異的な区分けが一般になされている。
認知機能や多くの合併症、polypharmacy、終末期問題などの加齢問題と関連した特異的なニーズが老人患者にはある。しかし、この問題はまだ明らかでなく、リハビリテーションへのインパクト、医療アウトカムへの影響、再入院率、医療コスト/ベネフィットの問題などは議論中の問題である。
急性期病院入院老人患者は、死亡リスクが高く、加齢という側面は未だ標準的方法となってない。
老人特異的な入院・外来治療は、医療上のアウトカムを至適化し、機能状態を改善するかもしれない。

WHO framework rehabilitation cycleに従う入院患者リハビリテーションにベネフィットありという仮説にもとづいた介入

多次元的老人医学評価、厳格な治療割り付け、患者のケアに関わる全医療職種定期的チームミーティング、個別的テーラー化ゴールの設定、患者のニーズにテーラー化された介入、ケアチームと患者の定期的治療評価

結論から言えば、老人患者に対して特異的にデザインされた入院リハビリテーションは、機能面でも、ナーシングホーム入所や死亡に対しても良好なアウトカムが認められた。
ただ、特性の明確化やコスト効果に関してはデータ不十分


Inpatient rehabilitation specifically designed for geriatric patients: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ 2010;340:c1718, doi: 10.1136/bmj.c1718 (Published 20 April 2010)
【目的】 老人患者に特化した入院リハビリテーションは通常のケアと比較した、機能状態、ナーシングホーム入所、死亡率の評価
【結果】 4780名の一般・整形疾患老人リハビリテーションと通常ケアを比較した17トライアル
退院時のアウトカムにおける包括的ベネフィットはメタアナリシスを示唆
(オッズ比 機能: 1.75 (95% 信頼区間 1.31 ~ 2.35), ナーシングホーム入所相対リスク  0.64 (0.51 ~ 0.81), 死亡率:相対リスク 0.72 (0.55 ~ 0.95))
フォローアップ終了時はそれぞれ、1.36 (1.07 ~ 1.71)、 0.84 (0.72 ~ 0.99)、 0.87 (0.77 ~ 0.97))

Effect of inpatient rehabilitation specifically designed for geriatric patients on functional improvement at hospital discharge and at follow-up



Effect of inpatient rehabilitation specifically designed for geriatric patients on admissions to nursing homes at hospital discharge and at follow-up




Effect of inpatient rehabilitation specifically designed for geriatric patients on mortality at hospital discharge and at follow-up

医療およびコストへのインパクトはデータ数が限られていた。

対象患者に比較して、ランダム化後の加重平均入院期間は一般的老人リハビリテーション割り付け群より長かった(24.5 v 15.1 days) 。そして、整形リハビリテーション割りつけ患者では短かった (24.6 v 28.9 days)

by internalmedicine | 2010-04-23 09:06 | 運動系  

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