糖尿病性腎症に対するビタミンB投与、腎症抑制どころか、腎機能低下させ、血管イベント増加させる

糖尿病性腎症はしばしば血中ホモシステイン濃度高値を示す。ランダム化プラセボ対照トライアルにおいて、Houseらは、ビタミンB治療高用量投与にて、ホモシステイン仮説にもとづく、糖尿病性腎症進展を緩徐化するかという仮説

結果は、フォローアップ31.9(SD 14.4)ヶ月にて、プラセボ比較で、ホモシステイン値は低下したが、腎不全急激悪化を示し、心筋梗塞や卒中発生率を増加させた・・・といういつもながらのビタミンBの健康有害性の証明の報告であった

ビタミンCに関しても糖尿病患者では有害性が報告(ビタミンCもサプリメントとして多く摂取すると有害?・・・今回は糖尿病患者のみ 2004/11/18 )されており、これで、B+C両方とも・・・有害性が認められたことになる

Effect of B-Vitamin Therapy on Progression of Diabetic Nephropathy

A Randomized Controlled Trial

Andrew A. House, MD; Misha Eliasziw, PhD; Daniel C. Cattran, MD; David N. Churchill, MD; Matthew J. Oliver, MD; Adrian Fine, MD; George K. Dresser, MD; J. David Spence, MD

JAMA. 2010;303(16):1603-1609.



多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照かトライアル (Diabetic Intervention with Vitamins to Improve Nephropathy [DIVINe]) で、5つのカナダの大学医療センターで、2001年5月から2007年7月まで施行した238名の1型・2型糖尿病性腎症診断済みの被験者

介入:ビタミンB単剤(葉酸 2.5mg/d、ビタミンB 6 25mg/d、ビタミンB12 1mg/d) vs プラセボ


主要アウトカム測定:放射性糸球体濾過率(GFR)の変化(ベースラインと36ヶ月後)
セカンダリ・アウトカムは、透析 と 心筋梗塞・卒中・血管再建術・全原因死亡率の組み合わせ
血中総ホモシステイン値も測定

トライアルフォローアップ中の平均(SD)は3.1.9814.4)ヶ月
36ヶ月時点で、放射性GFRは、ビタミンB群で 平均 16.5 (1.7) mL/min/1.73 m2、プラセボで 10.7 (1.7) mL/min/1.73 m2 (平均差, –5.8; 95%信頼区間 [CI], –10.6 to –1.1; P = .02)

透析必要性に関して差無し (ハザード比 [HR], 1.1; 95% CI, 0.4-2.6; P = .88)

組み合わせアウトカムにおいては、ビタミンB群で多い (HR, 2.0; 95% CI, 1.0-4.0; P = .04)

血中総ホモシステイン値は、ビタミンB群で 36ヶ月後 2.2 (0.4) µmol/Lで、平均(SE) 2.6 (0.4) µmol/L (平均差, –4.8; 95% CI, –6.1 ~ –3.7; P < .001, ビタミンBにて増加)



これほど、合成ビタミンの有害性の根拠がまたぞろ出現しているのに、有益性のみを信じているのは一般市民だけではない、医者や栄養士などもきわめて無関心。
結果、テレビラジオや巷に、有害なビタミン製剤情報があふれ、ドラッグストアには悪魔の製剤であるビタミン含有似非健康製品が並んでいる・・・多くのお金と健康被害が広まっている。

世の思い込みとは恐ろしいものである



葉酸+ビタミンB12により癌・死亡率増加をもたらす・・・葉酸が特に問題、肺がんとの関連 2009-11-18

床ずれ予防・治療のための亜鉛・ビタミンC投与に疑問有り、亜鉛過剰には臨床的に重大な副作用  2010-03-23

抗酸化ビタミンの有効性・・・でも・・・・ 2004/11/23

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by internalmedicine | 2010-04-28 08:15 | 動脈硬化/循環器  

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