新型インフルエンザ2009:WHOコンサルテーション原稿

主題のテーマで、NEJMに記載された。



こうやってみると、新型インフルエンザは変異も少なく与しやすいウィルスだったのでは?・・・ただ、今後、再集合Reassortment)なり変異で性状が変化することは否定はできないため、明言する人はいない。

それと、遺伝子由来はブタに集中しており、当初から疑われたような・・・問題があったのでは?

Clinical Aspects of Pandemic 2009 Influenza A (H1N1) Virus Infection
Writing Committee of the WHO Consultation on Clinical Aspects of Pandemic (H1N1) 2009 Influenza
N Engl. J Med. Vol. 362:1(18)708-1719 May 6, 2010


2009年4月から、メキシコで始まったヒトへ感染および急性呼吸器疾患を生じたブタ由来の新型インフルエンザA(H1N1)ウィルス。アメリカ・カナダにいおいてまずヒト同士で広がり、世界的に流布された。北半球の通常のインフルエンザシーズン外に流行した広がりで、1968年から初めてのインフルエンザパンデミック。
2010年3月までにほぼ全部の国で感染例が報告され、検査室確認死亡例は17700名であるとWHOは報告。この検査確認数はパンデミックのインパクトを過小評価していると思われる。
米国では590万の感染者、26万5千の入院、1万2千名が2010年2月中旬までで推定されている。


ウィルスの性質
North American ブタウィルスの三種再集合体(triple reassortant)からの6つの遺伝子と二つの Eurasian swineウィルス種からの由来
ヒト・ブタインフルエンザ(H1N1)と抗原的には区別されるが、抗原的に均質で、 A/California/7/2009 種は、現在まで検査されたほぼすべてのサンプルに抗原的に類似
最近まで優性だったlineageを含み、多くの遺伝子グループが認識されており、このlineageの違いが臨床的違いに関連するかは未だ不明。
再集合Reassortment)は未だ確認されていない。

動物感染モデルでの、2009 H1N1 ウィルスの肺でのreplicationレベルは季節型より盛んで、2009年pandemic strainは他のインフルエンザウィルスの病原性と関連する変異を一般に欠いている。


リスク要素:年齢<5歳、妊娠、慢性心血管疾患(うっ血性心不全、動脈硬化性疾患、高血圧は独立した因子とはいえない)、慢性肺疾患(喘息、COPD、嚢胞性線維症)、代謝性疾患(糖尿病)、神経学的合併症、免疫抑制、合併症有りの肥満、血液疾患(鎌状赤血球症)、慢性腎疾患(腎透析、移植)、慢性肝疾患(肝硬変)、長い喫煙歴(示唆はあるが、単独リスクとはいえない)、ながいアスピリン投与小児、65歳以上(死亡率は高いが、感染率は低い)


潜伏期間:1.5-3日間、7日間という少数例もある
臨床的症状:


発熱の国毎のばらつきが目立つ:中国 36%、初期メキシコ43%~他国は軒並み80~90%以上
咳嗽はいづれも軽症から重症で増加


oseltamivir耐性はまだ限局的、その耐性株も地域限定的




先週、地方自治体行政との懇談会に参加する機会があったが、行政側は、このインフルエンザに関しては過ぎたことで総括する気全くないので、吠えてしまった。・・・政府はもっとやる気なしなので、末端がこうなのも仕方ないか・・・と、あきらめ

ワクチンに関して各医療機関に在庫多数という報告があげられているのに、引き受けた側の責任と・・・全く対応する気も見せない・・・アホ厚労省。次回ホントのパンデミックが起きたときに、これでは、各医療機関は二の足を踏むだろう。

by internalmedicine | 2010-05-06 09:28 | インフルエンザ  

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