鍼の局所的効果の作用:adenosine A1受容体の関与
2010年 05月 31日
Adenosine A1 receptors mediate local anti-nociceptive effects of acupuncture
Nature NeuroscienceYear published: (2010) doi:10.1038/nn.2562
16 March 2010 Accepted 27 April 2010 Published online 30 May 2010
鍼は、疼痛緩和に用いられる非侵襲的手段。世界的に行われているが、evidence-based medicineとして認識困難である。
マウスにおける鍼実験にて、anti-nociceptive propertyのneuromodulatorであるadenosine遊離、そして、anti-nociceptive actionにはadenosine A1 受容体発現が必要ということを示した報告
adenosine A1 受容体直接投与にて鎮痛作用を再現する。
adenosine degradationに関連する酵素阻害は鍼によるadenosine増加をもたらし、anti-nociceptive effectをもたらす。
これらの所見から、adenosineが鍼の効果に関与し、adenosine metabolismに関連して、鍼の効果を延長することが判明
鍼の歴史は紀元前2000年中国にさかのぼることができる。WHOは、少なくとも24のconditionで承認(Bonafede, M., Dick, A., Noyes, K., Klein, J.D. & Brown, T. The effect of acupuncture utilization on healthcare utilization. Med. Care 46, 41–48 (2008). )、US NIHはコンセンサスステートメントで、coplementary medicineとしての治療介入に関して触れられ、 U.S. Internal Revenue Service では、1973年 ”deductible medical expense”として承認されていることは承知の通り
鍼の鎮痛作用はよく記載されているが、biological basisが不明である。鍼の挿入自体は、疼痛改善につながらない。30分が一つのセッションというのが典型的で、間欠的に回転操作を加えたり、電気刺激、時には熱刺激などというのもある。疼痛閾値は徐々に増加し、治療後も継続する。
主要メカニズムは、anti-nociceptive effect(抗侵害受容作用)で、CNSにおけるオピオイドの遊離と関連し、間欠的刺激に対して下行感覚性に持続する。しかし、中枢性作用では説明できないのは、鍼の局所作用、ipsilateralの効果であった。
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by internalmedicine | 2010-05-31 09:07 | 医療一般