ニコチン依存症治療実態調査:治療完遂3割5分、ただ、中断にかかわらず半数禁煙継続

ニコチン依存症管理料算定5回完全に算定できた事例は全体の35.5%
1回目で中断 16.0%、2回目 16.3%
途中で中断した事例は治療中断にかかわらず43.8%が禁煙していた。
しかし、治療回数(算定回数)が多いほど、中止でも禁煙していた比率は多い。

年齢が高いほど、喫煙年数・本数が少ないほど、TDS点数が低いほど禁煙継続の割合が高い。



診療報酬改定結果検証に係る特別調査(平成21 年度調査)
ニコチン依存症管理料算定保険医療機関における禁煙成功率の実態調査 報告書
H22.6.2
(pdf)

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(1)施設の状況
・ ニコチン依存症管理料の施設基準の届出時期は、病院、診療所ともに、当該管理料が創設された初年度の「平成18 年4 月~19 年3 月」が最も多かった(病院の66.7%、診療所の70.4%)(図表8)。
・ 自由診療による禁煙治療の状況については、ニコチン依存症管理料の「施設基準届出よりも前から行っている」施設が25.8%、「施設基準届出以降行っている」施設が16.7%であり、両者を併せると42.5%の施設が実施している(図表9)。自由診療のケースとしては、「患者要件等のため保険が適用されない場合に実施」が(自由診療による禁煙治療実施施設の)57.1%、「保険による禁煙治療後に追加治療として実施」が29.7%であった(図表10)。
・ 禁煙治療に携わる医師の人数は、病院、診療所ともに、各施設「1 人」が最も多かった(病院の51.1%、診療所の81.3%)。一方で、複数の医師で取り組んでいる施設は、病院の45.9%、診療所の18.3%であった(図表11)。
・ 医師の禁煙治療に携わっている年数は、病院医師の平均が4.88 年、診療所医師の平均が5.04 年であった(図表18)。
・ 禁煙治療の体制として、「専門外来を設置するなど、特別の体制で禁煙治療を実施している」施設は、病院では41.5%であったが、診療所では3.6%にとどまった。病院の48.1%、診療所の89.1%が「通常の診療体制の中で禁煙治療を実施している」という回答であった(図表19)。
・ 禁煙指導の実施者として、「医師のみで行っている」という施設が全体の39.0%、「医師に加えて他の医療職種も指導している」という施設が60.3%であった(図表20)。「他の医療職種」の内容としては、「看護師」(他の医療職種も指導している施設の93.5%)が多かったが、病院の場合、「薬剤師」(同22.5%)、「保健師」(同11.3%)という回答もあった(図表21)。
・ 患者に対する1 回あたりの医師の指導時間は、初回と2 回目以降では異なり、初回が平均19.1 分(中央値15.0)、2 回目以降が平均10.4 分(中央値10.0)であった(図表23、図表29)。同様に、医師以外の他の医療職種の指導時間もみると、初回が平均10.3 分(中央値10.0)、2 回目以降が平均6.2 分(中央値5.0)であった(図表27、図表33)。
・ 禁煙治療の内容としては、「標準手順書に従った禁煙治療を行っている」という施設は、病院の76.3%、診療所の86.8%であった。また、「標準手順書に加えて独自の禁煙治療手順書を作成し、禁煙治療を行っている」という施設が、病院の17.8%、診療所の12.1%であった(図表34)。




(2)患者の状況①ニコチン依存症管理料算定開始時の状況
・ 本調査で分析対象とした患者は、男性2,463 人、女性989 人、性別不明19 人、合計3,471 人であった。患者の平均年齢は男性が54.1 歳、女性が49.0 歳であり、年齢分布でみても、男性のほうが高年齢層の患者が多かった(図表35、図表36)。
・ 禁煙治療開始時における喫煙年数は、「40 年以上」が31.2%で最も多く、次いで「20~30 年未満」が24.6%、「30~40 年未満」が22.2%、「20 年未満」が19.8%であった(図表37)。喫煙年数の平均は、男性が32.9 年、女性が25.4 年であった(図表38)。
・ 禁煙治療開始時における1 日あたりの喫煙本数は、「20~30 本未満」が44.2%で最も多く、次いで「40 本以上」が19.8%、「30~40 本未満」が18.6%であった(図表39)。全患者の平均喫煙本数は26.2 本であったが、「全体」と比較すると「30 歳未満」では29.7 本とやや多く、「70 歳以上」では20.8 本と少なかった(図表41)。
・ ブリンクマン指数(喫煙年数×1 日あたり喫煙本数)は、「500~1000 未満」が38.8%で最も多く、平均は789.1 であった(図表42、43)。年齢が高くなるほど、ブリンクマン指数が高くなる傾向がみられた(図表44)。
・ TDS 点数は、「9 点」が22.7%で最も多く、次いで「8 点」が22.6%、「7 点」が15.9%であった(図表45)。平均は7.8 点であるが、「30 歳未満」の平均は8.3 点、「30~39歳」は8.0 点とやや高かった(図表47)。
・ 保険再算定の状況が「あり」という患者が16.0%、「なし
・不明」という患者が80.5%であった(図表48)。
・ 禁煙治療開始時における合併症の状況について、合併症「あり」という患者は46.6%であった。年齢階級が高くなるほど、合併症「あり」の割合は高くなる傾向がみられ、「70 歳以上」では71.0%となった(図表53)。合併症の内容としては、男女ともに「高血圧」の割合が最も高く、次に、男性では「糖尿病」(22.0%)、「脂質異常」(21.0%)が、女性では「精神疾患」(21.8%)、「呼吸器疾患」(19.9%)が高かった(図表54)。

②保険適用期間中の経過と追加治療の有無
・ ニコチン依存症管理料算定回数(=治療回数)の状況については、「5 回目終了」した患者は全患者の35.5%であった。一方、「1 回目で中止」した患者が16.0%、「2回目で中止」した患者が16.3%であった(図表55)。年齢階級が高くなるほど「5回目終了」した患者の割合が高くなる傾向がみられた(図表57)。
・ 5 回の治療を終了した患者(1,231 人)の治療終了時の状況は、「4 週間禁煙」が78.5%5、「1 週間禁煙」が5.6%、「失敗」が15.0%であった(図表65)。
・ 5 回の治療を途中で中止した患者(2,240 人)では、「中止時に禁煙していた人」が43.8%であった。治療回数(=算定回数)が多いほど、中止時に禁煙していた人の割合が高くなる傾向がみられた(図表76)。
・ 保険適用中に使用した禁煙補助剤については、「バレニクリンのみ」(51.6%)が最も多く、次いで「ニコチンパッチのみ」(35.3%)となった(図表77)。


③保険治療終了後の状況
・ ニコチン依存症管理料による禁煙治療終了後に禁煙治療を追加した患者は3.1%であった(図表81)。
・ ニコチン依存症管理料の治療終了9 か月後の状況として、全対象患者(3,471 人)では9 か月後の「禁煙継続」の割合は29.7%となった6。算定回数(治療回数)が多いほど、9 か月後の「禁煙継続」の割合が高くなる傾向がみられた(図表101)。5 回の治療を全て終了した患者(1,231 人)の治療終了9 か月後の「禁煙継続」の割合は49.1%であった7(図表82、図表101)。
・ 多重ロジスティック回帰分析の結果、患者の属性については、「年齢」が高いほど、また「喫煙年数」「1 日あたりの喫煙本数」「TDS 点数」が低いほど、治療終了9 か月後の「禁煙継続」の割合が高いことが明らかとなった。また、「精神疾患」の合併症がある患者は、精神疾患のない患者と比較して、有意に「禁煙継続」の割合が低い結果となった。さらに、「保険再算定」が「あり」の患者は、初回治療(保険再算定なし)の患者と比較して「禁煙継続」の割合が低いことも明らかとなった。この他、「算定回数」(治療回数)が多いほど有意に「禁煙継続」の割合が高いこと、禁煙補助剤として「ニコチンパッチのみ」を使用した患者と比較して「バレニクリンのみ」を使用した患者において「禁煙継続」の割合が高いことが明らかとなった(図表126)。
・ マルチレベル分析の結果、上記に加え、治療終了9 か月後の「禁煙継続」の割合に影響を与える「禁煙治療体制(施設要因)」として有意な要因は、「禁煙治療に従事する医師の禁煙指導に携わっている年数(平均値)」であった。医師の禁煙治療に携わる経験年数が長いほど「禁煙継続」の割合が高いことが明らかとなった(図表133)。

by internalmedicine | 2010-06-02 14:21 | 喫煙禁煙  

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