CANOE研究:IGT: Rosiglitazone+メトホルミンにて2型糖尿病抑制効果

Rosiglitazone(商品名Avandia、アバンディア)は、すっかり、副作用で有名になってしまったが、食後高血糖(IGT)にてメトホルミン併用で良好な効果が示された。この種の薬剤は、心不全リスクのない、IGTではよい薬なのだろう。また、メトホルミンも量依存的に胃腸症状の副事象があり、単剤ではなかなか効果ある量で使えないことがある。

これら2つの薬剤を量を少なめに併用すれば・・・副作用が少なく、効果良好・・・という話。

Low-dose combination therapy with rosiglitazone and metformin to prevent type 2 diabetes mellitus (CANOE trial): a double-blind randomised controlled study
The Lancet, Early Online Publication, 3 June 2010
doi:10.1016/S0140-6736(10)60746-5Cite or Link Using DOI


二重盲検対照化トライアル:カナダ
207名のIGTをランダムに rosiglitazone (2 mg) ・ metformin (500 mg) ×2 ( b.i.d.) vs プラセボ
観察期間中央値3.9(IQR 3.0-4.6)年

合剤 103名(n=77)  vs プラセボ 104名
コンプライアンスは、78% vs 81% (n=80)

糖尿病発生は、積極群 n=14 (14%) vs 41(39%) p<0·0001

相対的リスク減少率(RRR)は、 66% (95% CI 41—80)で、絶対的リスク減少率(ARR)は 26% (14—37)、NNTは4(2.70-7.14)

積極治療群では 70(80%)で正常耐糖能に回復、プラセボ群ではその比率は、52(53%)(p=0·0002)

インスリン感受性はプラセボ群で減少 (中央値 −1·24, IQR −2·38 ~ −0·08)したが、治療群では変化認めず(−0·39, −1·30 ~ 0·84; p=0·0006 between groups)

β細胞機能の変化、 insulin secretion-sensitivity index-2測定にて、2群の差なし (placebo −252·3, −382·2 ~ −58·0 vs rosiglitazone and metformin −221·8, −330·4 to −87·8; p=0·28)
積極治療群では下痢増加 (16 [16%] vs 6 [6%]; p=0·0253)


Thiazolidinedione であるrosiglitazoneは、DREAM trial(Lancet 2006; 368: 1096-1105. )でIGT、IFG、IGT/IFGにおける2型糖尿病発祥抑制効果(RRR 60%)を認め、3年間の単剤治療トライアルADOPT study(N Engl J Med 2006; 355: 2427-2443. )でも同様。DREAM trailでは、β細胞機能の改善が認められた、しかし、体重増加、液貯留、心不全リスクの増加などとの関連があった。メトホルミンは日本以外では一般的な経口血糖降下剤で、2型糖尿病治療の第一選択とされているが、最大推奨量では胃腸障害が生じる。
Diabetes Prevention Program (DPP)(N Engl J Med 2002; 346: 393-403. )では2型糖尿病予防効果は中等度で、プラセボ比較 RRR 31%で、量とともに、胃腸障害増加を示す(100人年あたり77.8 vs 30.7)。

・・・ということで、合剤なら、2つの薬剤の副作用を最小化し、効果をもたらすのではないかというお話。

アクトスではどうなのだろう?

by internalmedicine | 2010-06-04 11:37 | 糖尿病・肥満  

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