降圧剤ARBと肺がんとの関係:25%増加?
2010年 06月 16日
ARB使用が、肺がんに関して、25%もの有意な増加をもたらし、他の乳がん・前立腺癌では認められなかった関連である。
ARBに関しては、マーケッティング過剰なため"overprescription”が生じているのではないかとNissen (Cleveland Clinic, OH) (Cleveland Clinic, OH) らのような批評も以前からある。
Angiotensin-receptor blockade and risk of cancer: meta-analysis of randomised controlled trials
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 14 June 2010
doi:10.1016/S1470-2045(10)70106-6
RAS、特に、angiotensin II type-1・type 2受容体の細胞増殖、血管新生、腫瘍発症に関わる影響が示唆され、RCTのメタアナリシスにて、ARB使用が新規癌発症との関連が示唆された。
・ARB患者の85.7%がTelmisartanを対象
ARBにランダム割り付け患者では有意に新規癌発症のリスク増加 (7·2% vs 対照 6·0%, リスク比 [RR] 1·08, 95% CI 1·01—1·15; p=0·016).
癌を事前分類エンドポイントとした場合、リスク比は1.11 (95% CI 1·04—1·18, p=0·001).
特異的固形がん検討した場合において、新規癌発症率は有意にARB割り付け群が高い(0·9% vs 0·7%, RR 1·25, 1·05—1·49; p=0·01).
・がん死において統計学的な有意差なし(1·8% vs 1·6%, RR 1·07, 0·97—1·18; p=0·183)
軽度増加で、受動喫煙程度で、かなり増加するわけではない。しかし、超過癌発生が、4年間に105名に一人という計算がなりたつ。
Dr Michael D Peake (Glenfield Hospital, Leicester, UK)は、肺がんリスクの増加としては"fairly small"と表現、非喫煙 vs 喫煙者の200%から300%増加として、そのインパクトを比較
また、癌家族歴では60%増加としている
米国FDAが動きを見せているので何らかのアクションがなされるだろう(http://www.theheart.org/article/1087349.do)
さて、日本にある各ARBメーカー、どのように、説明責任を果たす?
by internalmedicine | 2010-06-16 10:04 | 動脈硬化/循環器