レビュー:ニコチン依存
2010年 06月 17日
N Engl. J Med. Vol. 362:(24) 2295-2303 Jun. 17, 2010
ニコチンはたばこ依存を維持させて、disabilityや早死にをもたらす。その依存機序は、脳の nicotinic cholinergic receptorの働きによるもので、ドパミンや他のneurotransmitter遊離の引き金となる。
ドーパミン、グルタミン酸、GABA遊離は特にニコチン依存で重要で、CRFが離脱症状で重要な役割を果たす。
Neuroadaptation と tolerance は、ニコチン受容体とneural plasticityの変化と関連する
ニコチン依存は、喫煙者が気分変調時や目を覚ましたときや、離脱症状改善のために生じやすい
軽度や常時でない喫煙は、主にそれぞれの状況による強化によるのが理由
遺伝子研究で、ニコチン受容体subtypeとneuroplasticityやlearning に関わる遺伝子が依存症発症に関連していることがわかった。
精神疾患・薬物依存では、かなり喫煙率が高いが、たばこ依存感受性増加をもたらしている。
酵素としてはCYP2A6が主な代謝酵素で、たばこ依存の成りやすさ、禁煙治療反応性と関連する。
ニコチン依存のメカニズムの理解が深まることで、vareniclineのような、ニコチン受容体subtypeへ特異的な新しい薬剤開発が望める。
The Biology of Nicotine Addiction.
1)たばこ製品・環境的影響
2)喫煙習慣
3)体内ニコチン ← 4)代謝
5)ニコチン性コリン作動性受容体
6)神経伝達物質遊離
7)再強化, パフォーマンス改善, 気分変調, 体重減少 離脱症状改善, 自己治療 ← トレランス低下←5)6)7)
3)~7)←年齢、性別、遺伝的素因、心理的疾患、薬物使用
中脳辺縁系
側座核(nucleus accumbens)
腹側被蓋野(ventral tegmental area, ventral tegmentum、VTA)
ニコチンは、VTAにあるα4β2*を活性化し、側坐核shellのドパミン遊離を生じる
ニコチンはまた、グルタミン酸を遊離し、ドパミン、GABA遊離を促し、ニコチンの長期暴露により、nicotinic cholinergic receptorは脱感作を起こす場合がある。結果、GABAを介した抑制toneはグルタミン酸を介した興奮を持続させ、ドパミン作動性ニューロンやニコチン感受性を促進する。
ラットにおける報酬系の機能測定はmedial forebrainの自己電気刺激閾値測定によりなされるが、閾値低下は報酬系への反応増加を示すものである。
ニコチンは報酬系の閾値を低下させ、30日間もその影響は続く。
prefrontal cortex、視床下部、視覚系、corticobasal ganglia–thalamic brain circuit、線条体ドパミン遊離の活動性増加ももたらす。
by internalmedicine | 2010-06-17 10:18 | 喫煙禁煙