男性更年期診断の厳格化によりその疾病はわずか2%となる ・・・ 疾患存在への疑問
2010年 06月 17日
にもかかわらず、この値を過剰評価し、”いわゆる男性更年期”などという概念を大衆化させ、商用上利用使用とする向きもある。症状と関連した血中値なのか評価がなされておらず、概念の暴走につながっている。概念の乱用は、その後の非必要な薬物使用や医療コスト増大、サプリメント販促やインチキ商売市場増加などにつながる可能性がある。それどころか、テストステロン値など前提である男性ホルモンを測定をせず、”男性更年期”と言い放つ馬鹿どもが跋扈する事態になっている。
40-79歳において、late-onset hypogonadism、時に”男性更年期”と呼ばれる病態の厳格な診断による疾病比率はわずか約2%程度である
以前は、もっと多く、頻回に目にする病態であると、米国医者たちは、”Low T"(テストステロン低値)を米国数百万人罹患と述べていた。
ヨーロッパ、イギリス3000名の調査で、3つの症状” fewer morning erections, fewer sexual thoughts, and erectile dysfunction”と男性ホルモン低値と一致した病態という厳格な定義による診断だとずいぶんその頻度は減少した。
Identification of Late-Onset Hypogonadism in Middle-Aged and Elderly Men
EMAS Group
www.nejm.org June 16, 2010 (10.1056/NEJMoa0911101)
Late-onset hypogonadism(男性更年期)の定義:1)3つの性的症状:朝の勃起減少、性的思考の減少、ED)
2)テストステロン < 11 nmol/l(3.2 ng/ml) と 遊離テストステロン < 220 pmol/L(65 pg/mL)
3つの性的活動性症状確率増加と身体的vigor制限は、総テストステロン値(range, 8.0-13.0 nmol/l)、遊離テストステロン 160-280 pmol/Lに相当
しかし、3つの性的活動性症状のみがテストステロン値低下と相関
性的活動性症状とテストステロン値減少の逆相関がみられる
各大学医学部泌尿器科教室のWebに、ごくありふれた病態で、ホルモン補充療法を必要とするという旨の記載がある。・・・見識が問われる問題である。PSA検診でも泌尿器系教授の見識には問題がある。
ロイターからも報道(http://www.reuters.com/article/idUSTRE65F6PZ20100616)されているので、普通なら各メディア取り上げるはずだが・・・きっと日本では報道されないだろう・・・無煙たばこの有害性もそうだったが・・・情報の非対称性を現実に目にすることができる。
by internalmedicine | 2010-06-17 10:52 | 医療一般