術後合併症予防のためのSurgical Care Improvement Project (SCIP)はうまくいっているか?


Surgical Care Improvement Project (SCIP)
http://www.premierinc.com/safety/topics/scip/



手術合併症率減少をめざす、米国内のquality partnershipのこと

Surgical Care Improvement Project (SCIP) は2006年2010年1月までに手術合併症を25%減らす目的で設立され、9つのパフォーマンス測定のうち6つが術創創部感染予防についてである。この合併症が重要でリソース使用についても影響を与える。予防的抗生剤投与、血糖コントロール関連、術創部位の脱毛、術内体温正常化などである。

導入はうまくいっているようだが、果たして、その目的が果たされているか・・・


このプロジェクト・アドヒアランス自己報告と術後合併症率の関連について調査、398集約的地域病院を退院した405720名の患者で、SCIPアドヒアランスと術後感染症確率減少との相関が見られた。しかし、ここのSCIP測定項目へのアドヒアランス各要素や中核構成要素は、必ずしも感染確率低下と相関せず。


すなわち、SCIPパフォーマンス報告の Premier Inc Perspective Database reportingにおいて、all-or-noneと全体的に評価する場合ではその後感染予測可能だった。しかし、個別的な要素アドヒアランスに関しては有意差無しであった。



Adherence to Surgical Care Improvement Project Measures and the Association With Postoperative Infections
JAMA. 2010;303(24):2479-2485.


後顧的コホートで、”Premier Inc's Perspective Database”(2006年7月1日から2008年3月31日、405720名のうち、312008例、白人 69%、黒人11% 46%メディケア、68%待期手術)を用いたもので、398の病院で、SCIPパフォーマンスを記録し、Hospital Compare Web siteに登録する。
3つの infection-prevention measures (S-INF-Core) と全 6つの infection-prevention measures (S-INF) を集積する。
Hierarchical logistical modelで患者レベルでのprocess-of-care relationshipを評価

SCIP感染予防 process-of-careへのアドヒアランス記録(S-INF、S-INFスコアの2構成要素)にて術後感染予測可能かどうか?

3996名の術後感染記録、S-INF Core 複合process-of-care測定値は、その後の術後感染率減少を14.2→6.8/1000退院あたり減少予測(補正オッズ比, 0.85; 95% 信頼区間, 0.76-0.95)

S-INF複合process-of-careの術後感染は11.5→5.3/1000退院あたりと予測(補正オッズ比, 0.86; 95% 信頼区間, 0.74-1.01)、感染予測上の統計学的有意差認めない

個別SCIP測定値のどれも有意に感染予測と相関せず


なんだか、すっきりしない結論なのだが?・・・どの要素が一番働いたかどうかわからないし、共役要素の影響もすっきりしない・・・と感じるのは私だけだろうか?

by internalmedicine | 2010-06-23 11:49 | 医療一般  

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