ボトックス注射は、特定の感情体験に影響を与える可能性がある

顔面フィードバック仮説:情緒感情が表情を作り、表情が情緒・感情をつくる可能性

ボトックス注は、特定のそれを阻害する可能性がある

著者:Joshua Ian Davis, PhD(assistant professor in the department of psychology at Barnard College in New York City.)

The Effects of BOTOX Injections on Emotional Experience
journal Emotions Pages 433-440
Joshua Ian Davis, Ann Senghas, Fredric Brandt, Kevin N. Ochsner

Facial feedback hypothesis (FFH): 顔面フィードバック仮説とは、顔面の表情からくるフィードバックが感情体験に影響を与えるという仮説、この仮説は、equivocalである。
BOTOX注射の自己報告感情体験への影響を、顔面筋に影響を与えないRestylane注射を対照として検討

BOTOX群は、ポジティブ・ネガティブなビデオクリップによる感情反応としての治療前後変化を示さず
両群で、対照群比較で、BOTOXは、包括的に感情体験の強さの有意な減少を示した。


1)BOTOX群でのポジティブなビデオクリップの前後差の減少
2)Restlane群でのネガティブなビデオクリップの予想外の増加


これらのデータから、顔面表情からのフィードバックは情緒体験上必ずしも必要ないが、特定の状況では感情体験に影響を与える可能性が示唆


ボトックスについては以下のことが話題になっている。

【健康】しわ取りボトックス療法に注意 未承認薬も多く健康被害も  2010.6.22 08:05)・・・という報道があった

ボトックスは、添付文書をみるかぎり、”眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足”以外は、保険適応外使用で、“眼瞼痙攣及び片側顔面痙攣に対する投与は、講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が行うこと”となっている。

”しわとり注射”と、あまりに安直にとらえる報道をするのは差し控えるとともに、適応外使用のルールの明確化が必要だろう。

by internalmedicine | 2010-06-25 14:25 | 精神・認知  

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