JUPITERトライアル結論づけにバイアスあり: 脂質正常・炎症マーカー高値例スタチン一次予防効果の否定
2010年 06月 29日
landmarkとなった心臓疾患低リスク者へのコレステロール低下トライアルである”JUPITER トライアル”の再解析により、一次予防ベネフィットを予防を支持できないという報告があった。
再解析により、ほぼ18000名の低・正常コレステロール血症で、炎症バイオマーカーであるCRP高値である人々を対象にして、冠動脈疾患合併症の劇的低下を示すというエビデンスは存在しなかった。
かわりに、臨床トライアルにおける製薬会社の関与に再び疑問が生じた。
Statins and All-Cause Mortality in High-Risk Primary Prevention
A Meta-analysis of 11 Randomized Controlled Trials Involving 65 229 Participants
Kausik K. Ray, MD, MPhil, FACC, FESC; Sreenivasa Rao Kondapally Seshasai, MD, MPhil; Sebhat Erqou, MD, MPhil, PhD; Peter Sever, PhD, FRCP, FESC; J. Wouter Jukema, MD, PhD; Ian Ford, PhD; Naveed Sattar, FRCPath
Arch Intern Med. 2010;170(12):1024-1031.
このJUPITERトライアルに対して、当時のJournal Watch誌は、
”JUPITERにて、スタチン治療は有意な心血管イベントの相対的リスク減少をもたらした。しかし、コスト・ベネフィットを考え、絶対的差が重要である。JUPITERの結果はhsCRP値にかかわらず結論的でないことを重視したい”という慎重なJournal Watch誌の概要コメントである。とコメントし、その見識の高さを証明したことになる。
一方、クレストールの一次予防効果を早々に承認したEU諸国や米国FDAは・・・
FDA、クレストールの適応拡大を承認
~心筋梗塞などの一次予防が新たに追加される~
承認は、クレストール20mg/日による心血管イベントの一次予防効果を検討した大規模臨床試験JUPITER試験の結果に基づくものです。
ソース:http://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/2010/10_02_12.html(魚拓)
JUPITER性別解析:LDL正常・CRP高値女性に対するスタチン使用で心血管リスク半減 2009-11-26
JUPITERトライアルをいかに解釈するか? 2008-11-20
CRPは虚血性血管疾患の原因ではない:mendelian randomization法による解析 2008年 10月 30日
JUPITER:非高脂血症・hsCRP高値例でのスタチン使用で、心血管イベント予防効果あり 2008-11-11
・random-effects model meta-analysis
・ I2 statistic。
Assessing heterogeneity in meta-analysis: Q statistic or I2 index?
by internalmedicine | 2010-06-29 08:32 | 動脈硬化/循環器