ACCORD Eye研究:強化血糖コントロール・脂質異常治療は網膜症減少させるが、強化血圧治療は悪化の可能性
2010年 06月 30日
強化治療による心血管疾患に関わる影響は未だ減少せず、しかし、網膜・腎臓・神経に好影響はあった・・・とのこと。故に、 "No one clinical trial tells you how to treat the patient sitting in front of you." という発言が出てくる。
一つの治験アームが中止になった”ACCORD”研究(参照:ACCORD糖コントロール強化群中止の波紋(アメリカ家庭医学会:aafp) 2008-02-26)・・・こういう途中中断の研究トライアルの評価って難しいと思うのだが・・・
一応、示唆として、重大な内容を含む
・強化的血圧治療による網膜症進展悪化の可能性
・脂質異常治療の重要性
・血糖コントロールの重要性
Effects of Medical Therapies on Retinopathy Progression in Type 2 Diabetes
The ACCORD Study Group and ACCORD Eye Study Group
www.nejm.org June 29, 2010 (10.1056/NEJMoa1001288)
【背景】 2型糖尿病患者で、強化血糖コントロール、脂質異常症治療との組み合わせ、強化血圧コントロールとの組み合わせが糖尿病性網膜症発症を抑制できるか?
以前のデータでは、全身性要素が糖尿病網膜症の発症・進展に重要かしれないというものであった
【方法】 ランダム化トライアル、10,251名の心血管疾患高リスクの2型糖尿病患者で、血糖に対する強化・標準治療 (それぞれ、目標糖化ヘモグロビン値, <6.0% or 7.0 to 7.9%) で、脂質異常 (160 mg daily of fenofibrate plus simvastatin or placebo plus simvastatin) 、もしくは、収縮血圧コントロール (target, <120 or <140 mm Hg)
2856名のサブグループで、糖尿病性網膜症の発症への影響を評価
具体的には、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study Severity Scale (as assessed from seven-field stereoscopic fundus photographs, with 17 possible steps and a higher number of steps indicating greater severity) 、もしくは、レーザー光凝固療法もしくはvitrectomy必要な糖尿病性網膜症
【結果】 4年時、糖尿病性網膜症発症比率は、強化群 7.3%、標準治療群 10.4% (補正オッズ比, 0.67; 95% 信頼区間 [CI], 0.51 ~ 0.87; P=0.003)
強化脂質治療に対し、fenofibrate群 6.5%、プラセボ群 10.2%(補正オッズ比, 0.60; 95% CI, 0.42 ~ 0.87; P=0.006)
強化血圧治療群 10.4% 、標準治療群 8.8%(補正オッズ比, 1.23; 95% CI, 0.84 ~ 1.79; P=0.29)
【結論】 血糖強化治療群・脂質異常治療併用群では糖尿病発症を減少させるが、降圧強化治療群では減少せず
Editorial
Reduction in Risk of Progression of Diabetic Retinopathy
B.E.K. Klein
www.nejm.org June 29, 2010 (10.1056/NEJMe1005667)
ACCORDサブグループ:強化2型糖尿病強化降圧治療でな致死的・非致死的心血管イベントを減少認めず 2010-03-15
http://intmed.exblog.jp/10190415/
ACCORD サブグループ:2型糖尿病フィブラート+スタチン併用ルーチン使用はスタチン単独比較で価値認めず 2010/03/15
http://intmed.exblog.jp/10190258
ACCORDトライアル AHA ステートメント 2008-02-22
http://intmed.exblog.jp/6822142/
ACCORD BP:高リスク糖尿病患者:;<120 未満群と ;<140mm水銀柱で・・・差はない
2010/04/30
http://intmed.exblog.jp/10520016
”#ADA2010” というハッシュタグで、twitter検索すると、リアルタイムでおもしろい反応が見られる・・・こういうのが新しい楽しみ方なのかもしれない。
by internalmedicine | 2010-06-30 08:44 | 糖尿病・肥満