COPDは心血管疾患合併症・死亡リスクであり、吸入ステロイドが全身性炎症を抑える
2004年 09月 27日
Effects of Fluticasone on Systemic Markers of Inflammation in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/170/7/760
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 170. pp. 760-765, (2004)
COPDでは全身性炎症が存在し、心血管合併症、死亡率と関連する。
経口ステロイドや吸入ステロイドの、軽症・中等症COPDでの血中炎症マーカーへの影響をしらべたもの。41名の軽症・中等症COPDで、4週間吸入ステロイド中止後、フルチカゾン(500mcg×2/日)、経口プレドニゾロン(30mg/day)、プラセボ2週間投与。その後、8週間フルチカゾン500mcg×2回/日と8週間1000mcg×2回/日
吸入ステロイド中止後、CRP基礎値は71%増加(95%CI 16–152%)
※と書いてあるのだが、有意差なしじゃないか!
吸入フルチカゾン2週にてCRP50%低下(95% CI, 9–73%)
プレドニゾロンは63%低下(95% CI, 29–81%)
プラセボと有意差が見られない。
追加フルチカゾン8週投与でC基礎値より有意に下がったRP値は相関(29% 減少; 95% CI, 7–46%). 吸入ステロイドはCOPDにおけるCRP値減少に対して効果的で、COPDにおける心血管アウトカム改善に有効な可能性がある。
─────────────────────────────────
最後の考察はほんとかいな・・・・という論文です・・・
最近は、吸入ステロイドの悪しき全身作用(副腎抑制、骨塩、成長・・・)への影響がふたたび注目を浴びているわけですが、こういうふうにポジティブに考えて良いものか?
たしかに、
Are Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease at Increased Risk of Cardiovascular Morbidity and Mortality?
Don D. Sin, MD, MPH; S.F. Paul Man, MD
Cardiovasc Rev Rep 25(4):168-170, 2004
https://profreg.medscape.com/px/getlogin.do?urlCache=aHR0cDovL3d3dy5tZWRzY2FwZS5jb20vdmlld2FydGljbGUvNDg3OTM4“COPDは重要な心血管疾患・死亡率の重要なリスクファクターであり、FEV1減少は虚血性心疾患、卒中、不整脈、と突然死の、年齢、性別、喫煙歴を含む他のリスク要因と独立した、約2倍ほどのリスク増加と思われる。これは肺気道炎症を含む全身性の炎症によるものではないかと思われ、動脈硬化の病因論に影響をあたえると思われる動物研究をふくむエビデンスの構築がある。COPDは交感神経緊張状態にあり、さらに、β2刺激剤や抗コリン剤などの使用によりさらに促進され、動脈硬化血栓および不整脈のリスク増加となると思われる。故に医師はCOPDは心血管リスクの独立したリスク要因であることを念頭に置いて気管支拡張剤の行き過ぎた使用は避けるべきである。”
という、レビューがなされておりまして、COPDを心血管リスク要因として考える方向性が示されつつあるようです。
by internalmedicine | 2004-09-27 10:02 | 呼吸器系