経皮的ホルモン補充療法:卒中リスク軽減 ・・・ ただし症例対照研究です
2010年 07月 09日
これを正当化するにはせめて、まぎれもない証拠、せめて、正当に対照化された研究報告が必要だろう
果たして、この報告にその資格があるか?・・・議論が必要だろう
いくらHRT推奨団体でも、まともな神経の持ち主たちなら、卒中発症だけの判断で、Go! というわけにもいくまい!
UKでの50-79歳卒中診断既往無しの約400GPにおけるデータベース、15710名の症例と対照 59958名検討比較
Transdermal and oral hormone replacement therapy and the risk of stroke: a nested case-control study
Christel Renoux, Sophie Dell'Aniello, Edeltraut Garbe, Samy Suissa
BMJ 2010;340:c2519 (Published )
コホート卒中率は1000人年 2.85
補正rate ratioは経皮的HRTで、未使用比較 0.95(95% CI 0.75-1.20)
低用量エストロゲンパッチにて、未使用比較 0.81(0.62-1.05)
高用量パッチでは、rate ratio 1.89(1.15-3.11)
経口HRTは、低用量でも高用量でも、非使用者より卒中高率でrate ratio 1.28 (1.15 - 1.42))
ホルモン補充療法、閉経後女性の更年期症状改善のため、プロゲステロン単独、プロゲステロン併用は症状改善のため用いられてきた。多くの心血管疾患予防効果を示す観察研究とともにRCTの検討が行われてきた。いくつかのHRTによる卒中増加の知見、それにメタアナリシス(BMJ 2005;330:342.、 BJOG 2006;113:5-14.、 Eur Heart J 2008;29:2031-41.)により30%の増加をもたらすという報告がある。
HRTに関する臨床トライアル報告は、投与ルートによらないものであって、経皮的にはどうかはTIAのリスク減少報告に関する一つの観察研究があるが未だ断定的でなかった。
肝臓のfirst pass effectを避けることができるため経皮ルートでは異なる作用があるのではないかという可能性があった
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by internalmedicine | 2010-07-09 10:45 | 加齢