老人:せん妄と長期アウトカムの関連:システマティックレビュー・メタアナリシス
2010年 07月 28日
著者らは、せん妄が死亡リスク、施設収容性増加、認知症と関連
そして、このせん妄の関連は、年齢、性、合併症、重症度の存在、そしてベースラインの認知症の存在とは独立したものであった。
メンタル状態が急激に変動する状態で、変容も激しい。手術後、ICUでの、老人の約半数に、このせん妄が生じる。長期予後不良との関連が示唆され、基礎疾患との関連が疑われた。
Delirium in Elderly Patients and the Risk of Postdischarge Mortality, Institutionalization, and Dementia
A Meta-analysis
Joost Witlox, MSc; Lisa S. M. Eurelings, MSc; Jos F. M. de Jonghe, PhD; Kees J. Kalisvaart, MD, PhD; Piet Eikelenboom, MD, PhD; Willem A. van Gool, MD, PhD
JAMA. 2010;304(4):443-451. doi:10.1001/jama.2010.1013
年齢、性、合併症、疾患重症度、ベースライン認知症の統計学的コントロール後、質の高い研究のみを含めたプライマリ解析
pooled-effect推定をrandom-effects modelで計算
ハザード比補正プライマリ解析では、せん妄は、平均フォローアップ22.7ヶ月後、対照比較で、認知症リスク増加と関連
(7 studies; 271/714 patients [38.0%] with delirium, 616/2243 controls [27.5%]; HR, 1.95 [95% confidence interval {CI}, 1.51-2.52]; I2, 44.0%).
さらに、せん妄経験をもつ患者は施設利用性、認知症リスク増加と関連
・施設利用性 (7 studies; average follow-up, 14.6 months; 176/527 patients [33.4%] with delirium and 219/2052 controls [10.7%]; odds ratio [OR], 2.41 [95% CI, 1.77-3.29]; I2, 0%)
・認知症 (2 studies; average follow-up, 4.1 years; 35/56 patients [62.5%] with delirium and 15/185 controls [8.1%]; OR, 12.52 [95% CI, 1.86-84.21]; I2, 52.4%).
研究特性に応じた非補正高品質リスクsensitivity, trim-and-fill, secondary analyses でも、これらの結果を補強する結果であった。
せん妄というのは、とても悩ましい問題だが、この問題の共通認識が形成され、以前より、対処しやすくなったのは確か。
といっても、”ヒトでの少ない夜間、傘を武器に、立ち回りを・・・”という事態が生じる。これにCOPDなどの高炭酸ガス血症があると、さらに、やっかいであることは間違いない・・・対処困難例は、精神科医師との連携が必須となるのだが・・・一方、肺炎で低ナトリウム血症の状態のせん妄では、補正後急激に改善した。せん妄の原因により様々な対処が必要だろう。せん妄の原因に老人特有のホメオスタシス不全があると思う。
by internalmedicine | 2010-07-28 10:35 | 精神・認知