心肺蘇生:心疾患原因・電気ショック適応リズム異常では胸骨圧迫のみが望ましい

指令補助bystander心肺蘇生(CPR)臨床トライアルで、胸部圧迫のみと、胸骨圧迫+人工呼吸(rescue breathing)の臨床トライアル

心停止が心疾患原因である場合、電気ショック適応の心拍異常であれば、胸骨圧迫のみの心肺蘇生の方が良好

CPR with Chest Compression Alone or with Rescue Breathing

Thomas D. Rea, M.D., Carol Fahrenbruch, M.S.P.H., Linda Culley, B.A., Rachael T. Donohoe, Ph.D., Cindy Hambly, E.M.T., Jennifer Innes, B.A., Megan Bloomingdale, E.M.T., Cleo Subido, Steven Romines, M.S.P.H. and Mickey S. Eisenberg, M.D., Ph.D.

N Engl J Med 2010; 363:423-433

dispatcher instructionによる多施設、ランダム化トライアルで、bystander CPR施行

患者は、18歳以上の院外心肺停止で、bystanderにCPR導入指導割り付け

”胸骨圧迫” or ”胸骨圧迫+人工呼吸(rescue breathing)” の 割り付け

プライマリアウトカムは、生存退院
セカンダリアウトカムは、退院時良好な神経学的アウトカム

1941名の参入クライテリア合致例のうち、981名を胸骨圧迫単独、960名を胸骨圧迫+人工呼吸

退院生存に関して2群に有意差なし (12.5% with chest compression alone and 11.0% with chest compression plus rescue breathing, P=0.31)

セカンダリアウトカム割り付けの2部位の神経学的アウトカムに関しても有意差なし
(14.4% and 11.5%, respectively; P=0.13)

事前特異化サブグループ解析では、心停止心疾患原因と、電気ショック適応心拍異常群では、胸骨圧迫による方が、退院時生存比率高い (15.5% vs. 12.3%, P=0.09、31.9% vs. 25.7%, P=0.09).



同様論文
emergency medical dispatcherは、電話で心肺停止疑い者の助けを求めているcallerに心肺蘇生方法のinstructionを行う。
standard CPRに比べ、単独胸骨圧迫方法によるCPR施行instructionは同等もしくは優越性があったという報告があり、このことを前向きランダム化研究で評価しようというもの
Compression-Only CPR or Standard CPR in Out-of-Hospital Cardiac Arrest

Leif Svensson, M.D., Ph.D., Katarina Bohm, R.N., Ph.D., Maaret Castrèn, M.D., Ph.D., Hans Pettersson, Ph.D., Lars Engerström, M.D., Johan Herlitz, M.D., Ph.D. and Mårten Rosenqvist, M.D., Ph.D.

N Engl J Med 2010; 363:434-442July 29, 2010

プライマリアウトカムは30日生存率

プライマリ解析データを2005年2月から2009年1月まで1276名の総計患者で検討
うち、620名が胸骨圧迫CPR、656名が標準CPR割り付け

30日生存率は2群同等
: 8.7% (54 of 620 patients) v 7.0% (46 of 656 patients)
(絶対差, 1.7 %ポイント; 95% 信頼区間, −1.2 - 4.6; P=0.29).




心肺蘇生:心疾患原因・電気ショック適応リズム異常では胸骨圧迫のみが望ましい
...心肺蘇生(CPR)臨床トライアルで、胸部圧迫のみと、胸骨圧迫+人工呼吸(rescue breathing)の臨床トライアル 心停止が心疾患原因である場合、電気ショック適応の心拍異常であれば、胸骨圧迫のみの心肺蘇生の方が良好 CP...
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