「55年通知」とドラッグ・ラグ

”通知の運用でドラッグ・ラグの解消を強く求めていた診療側は、トーンダウンせざるを得ない状況となった”(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/28745.html;jsessionid=7D03C1FBEC9F0659BC771F61A7A63EA7)と報じられている。

”新有効成分8年、オーファンドラッグ10年”は、”55年通知”適応されずと明言されたわけだが、”ドラッグ・ラグ”の問題は別の方法を考えるべきで、もともと、通知に基づくやり方は、”役人の通知”至上主義で、とても頼りないやり方だと思う。

記事の続きには
厚労省がこの日示した55年通知に関する資料によると、同通知で対象となるのは再審査期間を終えた適応外医薬品で、保険適用の判断は審査支払機関の各審査委員会とされている。同省保険局の磯部総一郎薬剤管理官は、「新薬品の再審査期間の場合、新有効成分は通常8年。オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)などは10年」とし、「最初に薬価収載されてから8年間は、この通知が事実上適用されない」と説明した。
とある。

逆手にとれば、再審査期間を終えた適応外医薬品においては、55年通知が生きており、薬効による常識的な範囲での適応外処方は認可が再確認されたということになる。


保発第51 号
昭和55年9月3日
社会保険診療報酬支払基金理事長殿
厚生省保険局長
保険診療における医薬品の取扱いについて保険診療における医薬品の取扱いについては、
別添昭和54年8月29日付書簡の主旨に基づき、下記によるものであるので通知する。
なお、医療用医薬品については、薬理作用を重視する観点から中央薬事審議会に薬効問題
小委員会が設置され、添付文書に記載されている薬理作用の内容等を充実する方向で検討
が続けられているところであるので申し添える。

1.保険診療における医薬品の取扱いについては、厚生大臣が承認した効能又は効果、用
法及び用量(以下「効能効果等」という。)によることとされているが、有効性及び安全
性の確認された医薬品(副作用報告義務期間又は再審査の終了した医薬品をいう。)を薬
理作用に基づいて処方した場合の取扱いについては、学術上誤りなきを期し一層の適正化
を図ること。
2.診療報酬明細書の医薬品の審査に当たっては、厚生大臣の承認した効能効果等を機械
的に適用することによって都道府県の間においてアンバランスを来すことのないようにす
ること。



昭和54年8月29日
日本医師会長
武見太郎殿
厚生大臣
橋本龍太郎
8月21日付の貴翰に次のとおり回答いたします。
1.薬効表示について、医学と医師の立場が全く無視され、製薬企業の資料のみによる病
名決定で用途が規定されることは誤りでありました。厚生大臣としては、薬理作用を重視
するものであり、能書については、薬理作用の記載内容を充実する方向で改善するよう、
薬務局に対し指示いたしました。従って、医師の処方は薬理作用に基づいて行われること
になります。
2.社会保険診療報酬支払基金においても、これを受けて学術上誤りなきを期して、審査
の一層の適正化を図ることとし、また、この点について、都道府県間のアンバランスを生
じないよう、保険局に対し指示いたしました。
3.以上により、医師の処方権の確立が保証されるものと考えます。
4.国民医療の効率化を図るためには、プライマリー・ケアの確立等地域医療の充実が必
要であり、また、これとともに、医学常識から極端にはずれた診療等に対して、その是正
を強力に進めてまいる所存であります。


http://www.sypis.jp/goui.pdf


遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授や白川修二委員(健保連常務理事)は、問題がわからないと述べている
http://lohasmedical.jp/news/2010/07/15020716.php?page=5

by internalmedicine | 2010-07-29 12:11 | 医療一般  

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