抑肝散:間質性肺炎リスクも考えるべき
2010年 07月 31日
むしろ、最近、認知症関連で多く推奨されている”抑肝散”の副作用の方が私には気になる。
重大な副作用項目を追記 ― 安全性情報 ―
厚生労働省は7月28日、医薬品・医療機器等安全性情報・271号でARBの「オルメサルタン」「テルミサルタン」「バルサルタン」とその配合剤の計7製剤について、重大な副作用の項目に「横紋筋融解症」を追記したことを示した。
オルメサルタンの年間使用者数(2009年度)は約181万人で、直近の約3年間で因果関係が否定できない副作用報告に横紋筋融解症1例が確認された。テルミサルタンは年間使用者数が約190万人で、同様の副作用報告は3例。また、年間使用者数が約 410万人のバルサルタンについては、4例の副作用報告があった。いずれも死者は出ていない。
このほか、漢方製剤「抑肝散」の重大な副作用の項目に「間質性肺炎」と「肝機能障害、黄疸」を加えた。直近3年間の副作用報告として間質性肺炎が4例、肝機能障害・黄疸が3例あり、国内で症例が集積したことに対する措置。
【メディファクス】(日医白クマ通信 新着1161 日医インターネットニュース)
「ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)」
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス3.25gを含有する。
日局ソウジュツ 4.0g
日局ブクリョウ 4.0g
日局センキュウ 3.0g
日局チョウトウコウ 3.0g
日局トウキ 3.0g
日局サイコ 2.0g
日局カンゾウ 1.5g
「ツムラ小柴胡湯エキス顆粒(医療用)」
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.5gを含有する。
日局サイコ 7.0g
日局ハンゲ 5.0g
日局オウゴン 3.0g
日局タイソウ 3.0g
日局ニンジン 3.0g
日局カンゾウ 2.0g
日局ショウキョウ 1.0g
漢方では、生物学的な免疫モジュレーターとしての働きがあることを忘れてはならない。
The influence of traditional herbal formulas on cytokine activity
Toxicology, In Press, Corrected Proof, Available online 8 October 2009,
J.J. Burns, Lijun Zhao, Ethan Will Taylor and Kevin Spelman
Effect of saikosaponin on the immune responses in mice.
Int J Immunopharmacol. 1991;13(5):501-8.
saikosaponin-d may stimulate in vivo immunological lymphocyte functions, partly by activating some macrophage functions.
古くから、このような作用(副作用)の可能性があることが示唆されているのに、臨床家も、漢方の副事象に対してあまりに無関心なのではないか?
まさかと思うが、医者にも、”漢方には副作用が少ない、あるいはない”などという妄想をもっているのがいる?
いづれにせよ、抑肝散処方のおりには、自覚症状、理学所見、レントゲン、呼吸機能などの確認をできるだけ行うべきであろう。
漢方の専門家なら、本来の弁証的方法でもない「ためしてガッテン」で紹介したような安直な使い方は、批判するだろう。・・・ほんとにNHKってつぶれてしまえ!と思う
by internalmedicine | 2010-07-31 08:55 | 精神・認知