糖尿病性腎症:ACE阻害 vs ARB ?
2004年 10月 01日
エビデンスレベルという面からは、まだ限られている文献ですので、まだまだという印象で、少なくとも単剤比較では、ACE阻害剤>AIIRAです。
Effects of angiotensin converting enzyme inhibitors and angiotensin II receptor antagonists on mortality and renal outcomes in diabetic nephropathy: systematic review
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/bmj.38237.585000.7Cv1
BMJ, doi:10.1136/bmj.38237.585000.7C (published 30 September 2004)
43のトライアルのうち36で
ACE阻害剤+プラセボ(4008名の患者)対AIIRA+プラセボ対ACE阻害剤(3331名)3つの論文で、AIIRAとACE阻害剤を比較(206名)
未発表論文11トライアルを入手
ベースラインの死亡率はトライアルで同等だが、
ACE阻害剤はプラセボに比較して有意に全原因死亡率を下げる(相対リスク 0.79, 95% CI 0.63 ~ 0.99) が、AIIRAでは有意でない (0.99, 0.85 ~ 1.17)
AIIRAと比較した、ACE阻害剤との、混乱なしの、相対的効果を信頼性を具有できる推定はサンプルが少数のため得られなかった。
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こういうときに、実地医家というのは悩むのです・・・
最先端の少数対象のインパクトファクターの高い雑誌の内容を評価するのか
エビデンスレベルの高いシステム・レビューを評価するのか
後者は10年以上遅れることもありますので、現在進行形の患者さんたちにはどうするかは悩ましいことになります。
さらに利尿剤併用を促すコマーシャルサイトもあるようです。
マスゴミからしたり顔で、薬漬けと批判されるという心理的プレッシャーも開業医にはありますので、そういう要因もあり、患者さんとの関係で処方はケースバイケースにならざるえませんね。
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最近、公立病院で、一人常勤医+週5日連続当直+70名の入院患者+1日100名の外来患者さんを強いられて、悲鳴をあげてやめたところ、医者がわるいと、そこの地方自治団体の首長をはじめ、住民が医師を一方的に批判した記事が新聞に載った事例があり・・・多忙をきわめるとエビデンスレベルの診療どころじゃなくなりますねぇ。(Google検索)
ワークシェアしようにも医師がいないところではどうしようもありませんものね・・・
結果的には、医師の人権を剥奪するだけじゃなく、診療レベル自体も下げざるえず、医療過誤を誘発する元となるのですが・・・何の反省もなければ、互いの不幸だと思うのですが・・・
by internalmedicine | 2004-10-01 09:56 | 内科全般