臨床トライアル:組み合わせアウトカムの定義・報告・解釈 ・・・ そのいい加減さ

プライマリ・アウトカムに、組み合わせコンポーネントを用いることが多いが、取り扱いによってはミスリードにつながる

たとえば、日本の某トライアルのように”入院”という治療者側のバイアスがかかるイベントと、より重大な心血管死イベントを同等に組み合わせて数あわせで結果を出したと批判されることもある。日本のような貧相なトライアルだから起きたかというとそういうわけでもないらしい。

アウトカム組み合わせの論理性が認められないのはごく普通、論文内記載に自己矛盾・違いがあり論文の体をなしてない。結論だけ突然都合の良いように書き換えられているなど・・・製薬会社からの紹介される論文でよく見るインチキが多数

Definition, reporting, and interpretation of composite outcomes in clinical trials: systematic review
Gloria Cordoba, Lisa Schwartz, Steven Woloshin, Harold Bae, Peter C Gotzsche
BMJ 2010;341:c3920


40の臨床トライアル中、29(73%)が心血管トピックスで、24(60%)が、完全にあるいは部分的に資金提供は製造メーカー。
組み合わせアウトカムは、中央値3つ(2-9)のコンポーネント
死亡・心血管死がもっとも重要な組み合わせとして33トライアル(83%)
わずか1つのトライアルのみがコンポーネント選択の論理的根拠を示していた。
コンポーネントは28トライアル(70%)で類似した重要性はなかった
うち20では、死亡を入院と組み合わせていた。

組み合わせアウトカムの定義が要約・方法・結果の論文内セクション内で異なること(13トライアル)、記載なし・曖昧・解釈不能データ(9トライアル)、組み合わせをpost hocで行っている(4トライアル)ことは、もう一つの重大な問題である。

24トライアル(60%)のみ組み合わせおよびその構成コンポーネントに対して信頼できる推定がされていた。
わずか6つのトライアル(15%)のみで、同等、あるいはほぼ同等に臨床的重要性のあるコンポーネントで信頼できる推定であった。

統計学的に重要なコンポーネントを有する16トライアル中11で、要約結論に嘘があり、もっとも重要なコンポーネントにも影響が適応できるという報告がなされていた。

by internalmedicine | 2010-08-20 15:31 | 医学  

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