青年期・成人百日咳の診断所見

百日咳の3つの特徴的症状: paroxysmal cough(発作性の5~10回以上途切れなく続く連続的な咳込み), posttussive emesis(咳嗽後嘔吐), inspiratory whoop(吸気性笛声)

この3つの症状によるだけでは診断は、難しい

Does This Coughing Adolescent or Adult Patient Have Pertussis?

Paul B. Cornia, MD; Adam L. Hersh, MD; Benjamin A. Lipsky, MD; Thomas B. Newman, MD, MPH; Ralph Gonzales, MD, MSPH

JAMA. 2010;304(8):890-896. doi:10.1001/jama.2010.1181


5つの前向き研究で研究対象クライテリア合致すると判断し、3つを解析に用いた。

以下の存在による要約尤度比[LR]
咳嗽後嘔吐:1.8; 95%信頼区間[CI], 1.4-2.2
吸気性笛声: 1.9; 95% CI, 1.4-2.6


奇異性咳嗽がないこと:0.52; 95% CI, 0.27-1.0
咳嗽後嘔吐がないこと:0.58; 95% CI, 0.44-0.77

吸気性笛声のないことは、上記より役立たず:, 0.78; 95% CI, 0.66-0.93

所見組み合わせは評価されてない。




症状診断が難しいからといって、国際的に見てこっ恥ずかしい血清診断根拠の日本の百日咳診断の現状・・・

成人・百日咳は、遷延化咳嗽の原因としてクローズアップされているが、特異的治療が発症後1週間程度の時期に限られるので、その原因精査の勝ちは論理的に考えればかなり低いはず・・・にもかかわらず、臨床経過の長い”百日咳”を血清検査だけをたよりに診断し、”症状の出現後1週間以上経過したあとに抗菌薬は疑問”(N Engl J Med 2005; 352:1215-1222)とされるのに、抗生剤治療を行っている少々おつむのおかしい医者 や それを信じ込む患者さんたちがいて・・・呼吸器専門医を混乱に陥れている。・・・というか、呼吸器専門医の中にも・・・





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by internalmedicine | 2010-08-25 09:08 | 呼吸器系  

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