福島産婦人科医逮捕を想起させる帝京大学捜査
2010年 09月 07日
帝京大学病院におけるアウトブレイクの報道に思うこと
自治医科大学附属病院・感染制御部長、感染症科科長 森澤雄司
2010年9月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
いろいろ取り上げられている: http://bit.ly/cadQOq
福島の産婦人科逮捕事件を想起される強圧的捜査・司法の介入である。
【帝京大院内感染】警視庁、業務上過失致死容疑で捜査へ
2010.9.4 01:45
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100904/crm1009040145003-n1.htm
医師たちからいえば、産科、外科を敬遠する要因の一つは、この強圧的刑事・民事責任追及である。国・行政は施策の誤りを反省することなく、医療崩壊へまた一歩踏み出した。
薬剤耐性出現は、まっとうな日常の診療していてもどうしても生じる。結果責任を医師・病院に強いる警察・行政の考えは現場の実態にそぐわない。
MRSAが社会問題化してどうなったか・・・施設側に一方的に管理責任やさらなるコストを強いることによる、入院・入所拒否が、潜行下に行われた。介護施設から利用者自費にてMRSAの有無検査の上の情報提供を要求されていた時代があったが、確かに、そのようなことはさすがに無くなったが、この状況を行政は一方的に施設側の問題としている。
だが、政府が大好きな”市場主義経済”に従えば、難癖をつけて、入所拒否する施設は自然な話である。それを、人権問題だ・・・なんだと、高圧的に行えば、施設側は別理由でそのような患者を忌避するようになる。
行政側の強圧的対応がこのまま進めば、感染症を専門的に扱う施設はなくなり、易感染性患者を引き受ける施設もなくなるだろう。
”官(管)は強し、民は弱し”・・・医療は滅びていくだけ・・・
by internalmedicine | 2010-09-07 09:13 | くそ役人