医学生の悩み・うつに 注目した 2つの報告

医学生の悩み・うつに 注目した 2つの報告

Dyrbye らは、7つのメディカルスクール学生にて、 distress ("burnout") が、患者ケアに関連する非職業的ふるまいと、利他的職業的価値の少なさと関連することを報告
Relationship Between Burnout and Professional Conduct and Attitudes Among US Medical Students
Liselotte N. Dyrbye, MD, MHPE; F. Stanford Massie Jr, MD; Anne Eacker, MD; William Harper, MD; David Power, MD, MPH; Steven J. Durning, MD; Matthew R. Thomas, MD; Christine Moutier, MD; Daniel Satele, BA; Jeff Sloan, PhD; Tait D. Shanafelt, MD


JAMA. 2010;304(11):1173-1180. doi:10.1001/jama.2010.1318

横断的研究で、回答率 2682/4400
the Maslach Burnout Inventory (MBI)、 PRIME–MD depression screening instrument、 SF-8 quality of life (QOL) をツールとして用いた

不正・不誠実なアカデミック行為は、非職業的行為に比べれば、稀(<10% vs 43%)
6つのシナリオに対して、ガイドラインに一致した職業的関連意見を有したのはわずか14%
バーンアウト医学生は、それのない医学生に比較して少なくとも1回の非職業的行為が多いt (35.0% vs 21.9%; odds ratio [OR], 1.89; 95% confidence interval [CI], 1.59-2.24)
バーンアウトなしの学生は、社会への医師の期待の表れである利他的観点を有することが少ない。
たとえば、バーンアウトした医学生は、医学的に不十分な恩恵を得られない患者を診たがらない(79.3% vs 85.0%; OR, 0.68; 95% CI, 0.55-0.83)
個人・職業特性補正多変量補正後、バーンアウトは、非職業的行為の少なくとも1回以上の報告 (OR, 1.76; 95% CI, 1.45-2.13)、少なくとも1つ以上の医師に求められる職業的利他的観点を有することが少ないこと(OR, 1.65; 95% CI, 1.35-2.01)と関連する。


Schwenk らは、1つのメディカルスクールで、うつの医学生は、非うつ医学生に比較して、うつてきなstigma altitudeが目立つ。
Depression, Stigma, and Suicidal Ideation in Medical Students
Thomas L. Schwenk, MD; Lindsay Davis, BS; Leslie A. Wimsatt, PhD


JAMA. 2010;304(11):1181-1190. doi:10.1001/jama.2010.1300

2009年9月から11月のミシガン メディカル スクール大学の769名の学生

調査回答率は65.7%(505/769)

中等度・重度うつ頻度は 14.3% (95% confidence interval [CI], 11.3%-17.3%)
女性の方が中等度・重度うつになりやすい (18.0% vs 9.0%; 95% CI for difference, –14.8% to –3.1%; P = .001)
3-4年次学生は1-2年次より自殺念慮多し(7.9% vs 1.4%; 95% CI for difference, 2.7%-10.3%; P = .001)

中等度・重度うつ医学生は、うつがないか、うつ傾向の少ない医学生に比べて、”もし私がうつなら、フェロー医学生は自分の意見をあまり尊重してくれない”(56.0% vs 23.7%; 95% CI for difference, 17.3%-47.3%; P < .001)と返答する傾向が多くなる。そして、”科のメンバーは、彼らの責任を果たしてない”と返答する傾向も多くなる (83.1% vs 55.1%; 95% CI for difference, 16.1%-39.8%; P < .001).

抑うつ状態の医学生では、女性より男性が、患者を危険にさらす可能性が高い(36.3% vs 20.1%; 95% CI for difference, 6.1%-26.3%; P = .002)

1,2年次学生は3,4年次より、うつに対して手助けを求めることが自分自身がインテリジェンスがないと考える(34.1% vs 22.9%; 95% CI for difference, 2.3%-20.1%; P < .01).




現役の医者を、うつにするようなことばかりの・・・今の現状

その卵である医学生において、これだけ、うつ、distressが蔓延している現実。それがひいては患者のケアに悪影響を及ぼしている。

なんでも、”医者が悪い”では・・・かえって医療の質を落とす

by internalmedicine | 2010-09-15 09:33 | 医学  

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