診断におけるアベイラビリティー・バイアス:レジデントで実験 ・・・症例解析考察で改善

Availability bias:利用バイアス:見聞きしたこと、以前経験した出来事が頭に浮かび、そのことで生じる過大評価バイアス ・・・ すぐに利用できるデータや文献・記載・記述があるときにそれに引きずられるなど・・・
メタアナリシス妥当性の時のavailability biasとは必ずしも同一ではないようだ・・・



Mamedeらは、臨床問題をレジデントに解かせて、次出題の症例問題を同じ診断とする尤度を過剰評価として検討し、頭に浮かびやすい診断によるバイアス、すなわち、"availability bias"のモデルとして検討した。

【序文】診断過誤は、臨床的理由付けにおいて、バイアスに関連して生じる。
存在するバイアスによる認知メカニズムと教育ストラテジー、その相互関係に関して経験的エビデンスが欠如している。

【目的】最近でくわした症例がバイアスを生じ、結果、診断過誤を生じ、reflection(症例所見のstructured reanalysis)でこれらのバイアスを打ち消せるか?

【デザイン・セッティング・被験者】Erasmus Medical Centre(レッテルダム)において、18名の1年次、2年次内科レジデントを対照
6つの臨床例をまず診断評価(phase 1)
続いて、8つの異なる症例をnonanalytical reasoningにて診断 。前回評価した症例と同様な所見を有するが、異なる診断である4症例(phase 2)
これら4症例は続いてreflective reasoningに基づき診断 (phase 3)

【主要アウトカム測定】nonanalytical(phase 2)、reflective(phase 3) reasoningによる同じ問題への事前暴露なしの問題解決症例についての平均診断正確スコア(パーフェクトの場合 4.0)と、潜在的バイアス化診断(i.e. phase 1)診断の頻度を主要アウトカム測定


【結果】メインな影響はなし。
しかし、トレーニング期間、直近の類似症例経験に有意な相互関連効果が見られる。

以前出くわした症例のスコアが低い2年次レジデントには、availbility baiasと一致した結果が生じたd(1.55; 95% confidence interval [CI], 1.15-1.96) than on the other cases (2.19; 95% CI, 1.73-2.66; P =.03) 

このパターンは1年次では見られない (2.03; 95% CI, 1.55-2.51 vs 1.42; 95% CI, 0.92-1.92; P =.046) 

2年次レジデントは、以前出くわしてない診断より、出くわしたphase2症例の方で、phase 1診断に多く行いやすい (mean frequency per resident, 1.44; 95% CI, 0.93-1.96 vs 0.72; 95% CI, 0.28-1.17; P =.04).


reasoning modeの有意なmain effectがみられ、nonanalytical reasoningに比較して、reflectionにて、2年次レジデント (2.03; 95% CI, 1.49-2.57) にとっても、1年次レジデントs (2.31; 95% CI, 1.89-2.73; P =.006)にとっても、同症例での診断改善がなされた

【結論】事前症例と類似し、nonanalytic reasoningを用いる場合、2年次レジデントは、availability biasによる診断過誤を生じる。 diagnostic reflection を適応することで、このバイアスを克服できる。

Effect of Availability Bias and Reflective Reasoning on Diagnostic Accuracy Among Internal Medicine Residents
Sílvia Mamede, MD, PhD; Tamara van Gog, MSc, PhD; Kees van den Berge, MD; Remy M. J. P. Rikers, Msc, PhD; Jan L. C. M. van Saase, MD, PhD; Coen van Guldener, MD, PhD; Henk G. Schmidt, MSc, PhD

JAMA. 2010;304(11):1198-1203. doi:10.1001/jama.2010.1276



”reflection (structured reanalysis of the case findings)” で克服できるという・・・結論

構成的に症例所見解析が大事・・・という教育的なお話

by internalmedicine | 2010-09-15 11:41 | 医学

 

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