非小細胞型肺がん:診断時喫煙状況はその後の予後にさほど影響を与えない?
2010年 09月 18日
よく考えると、背景は結構複雑・・・
Long-term Survival Outcomes by Smoking Status in Surgical and Nonsurgical Patients With Non-small Cell Lung Cancer
Comparing Never Smokers and Current Smokers
CHEST September 2010 vol. 138 no. 3 500-509
”非喫煙者は喫煙者に比べて、女性 (P < .01)、高齢者 (P < .01)、腺癌 (P < .01)、気管支肺胞癌が多い (P < .01)”
analytic cohort、手術施行サブグループでも、ステージ分布における有意な統計学的な差は存在しない (P = .35、 P = .24).
手術を受けたNSCLC患者のうちもっとも死亡率と関連するリスクファクターはステージ(adjusted hazard ratio, 3.43; 95% CI, 2.32-5.07; P < .01) とAmerican Society of Anesthesiologists classification 高値(adjusted hazard ratio, 2.18; 95% CI, 1.40-3.40; P < .01).である。
現行喫煙 vs 非喫煙者の単因子解析にて、共役因子除外 (P = .97)により、マイナーながら死亡リスク増加 (hazard ratio, 1.20; 95% CI, 0.98-1.46; P = .07)
共役関係にかなり影響を受けてるだろうと思える。進行病期がその予後に影響をもっとも与えているのは当たり前だし、喫煙・非喫煙に関しては、診断にいたるバイアスや背景因子などがあるはず。
手術可能な症例は元々根治性が期待できるわけで、病期分類が喫煙より大きな影響となるだろう。
がんがみつかった病期に、喫煙・非喫煙が関連する可能性もある。また、喫煙関連の少ない女性腺癌の存在が影響を与えた可能性もある。
”肺がん=たばこの病気”と考えるのではなく、肺がん多リスク要素の一つが喫煙であると考えるべきであろう。
by internalmedicine | 2010-09-18 09:59 | 喫煙禁煙