向精神薬と血栓塞栓リスク
2010年 09月 22日
Antipsychotic drugs and risk of venous thromboembolism: nested case-control study
BMJ 2010; 341:c4245 doi: 10.1136/bmj.c4245 (Published 21 September 2010)
Cite this as: BMJ 2010; 341:c4245
症例対照研究で、向精神薬使用により数倍のVDTリスク、肺塞栓で13倍という報告。これらは、少数、しかも、高齢者を除いた研究で、非定型抗精神病薬使用普及善に行われた報告。入院ベースの症例対照報告では、非定型抗精神病薬で 3.5倍。65歳以上に着眼した2つの大規模コホートで、包括的に非有意な報告と、butyrophenoneで43%増加の報告がみられた。一方、ナーシングホーム居住者の報告で、非定型抗精神病薬で2倍のリスク。非定型抗精神病薬であるclozapineのコホートで、5倍の肺塞栓リスクの報告があった。
ケース25532名(DVT 15975、肺塞栓 9557名)、89491名のマッチ化させた対照
事前24ヶ月前に向精神薬処方されたケースでは、静脈血栓塞栓のリスク 非使用者に比べ、寄与因子補正後 32%増加 (odds ratio 1.32, 95% 信頼区間 1.23 ~ 1.42)
事前3ヶ月新規薬剤開始患者では約2倍のリスク (1.97, 1.66 ~ 2.33)
従来の薬剤より非定型抗精神病薬処方例で多い (adjusted odds ratio 1.73, 1.37 ~ 2.17, for atypical drugs; 1.28, 1.18 ~ 1.38, for conventional drugs)
高potency薬剤より低potency薬剤処方患者の方が影響大(1.99, 1.52 ~ 2.62, for low potency; 1.28, 1.18 ~ 1.38, for high potency)
静脈性血栓塞栓の超過推定数は1万人あたり1年で、全年齢層 4(3-5)、65歳以上で10(7-13)
コホート研究
前向きコホート研究は、対象群を同定し、ベースラインにおいて対照群から標本やデータを抽出し、それらを時間的に前向きにフォローアップして行われる。この研究の利点は、事象と原因との時間的な関係を確立できること、暴露についての不完全なkい億による偏りを最小限にとどめることである。前向きコホートの欠点としては、研究対象のフォローアップを維持することが難しいことや、観察したい結果がまれにしか起きない場合の時間的な非効率性、などが挙げられる。前向きコホート研究のコストを抑える方法として、コホートを確立した後に行う実験解析の対象を、陽性の研究対象と、そえに見合った数の陰性の研究対象に限る方法がある。この種の研究デザインは、症例コントロール研究画コホートの入れ子になってることから、入れ子症例コントロールデザインと呼ばれる(Wacholder et. al. 1992)。
後ろ向きコホート研究は、現在に於ける研究対照群を同定した後、彼らの過去をさかのぼって追跡し絵行われる。この種の研究では、絶対リスク、相対リスクを評価することが可能で、また、前向きコホート研究と比べて容易に出来ることが多い。しかし、たとえば食事摂取など過去に起きた暴露を想い出す必要がある場合などに、後ろ向きコホート研究では偏りが生じうる。コホートがどのように確立したかによっては、コホート研究の結果を他の固体群一般化するのは難しいかもしれない。
(消化器癌 - 47 ページ - Google ブック検索結果 books.google.co.jp/books?isbn=4431712267 上西紀夫 - 2007 - Digestive organs)
by internalmedicine | 2010-09-22 15:20 | 精神・認知