積極的高血圧治療で脳卒中1/3減少へ 日本の高齢者高血圧のガイドラインは間違い
2004年 03月 30日
Blood Pressure and Stroke An Overview of Published Reviews
Lawes et al., Stroke 35 (3) 776-785.
コホート研究で、北米、西ヨーロッパ、アジア太平洋地域とも、収縮期血圧10mm水銀柱下がるごとに、60-79歳において約1/3のリスク軽減
最低115/75へ向けて降圧により連続的にリスクは減少し、性別・地域、卒中のタイプ、致命的・非致命的事象であるかどうか無関係にすべてその傾向がみられる。
この比例相関は年齢に独立しており、80歳を超えてもこの傾向は強く確実に存在する。RCTのデータから、イベントの平均年齢は70歳、収縮期血圧10mm水銀柱減少で卒中を約1/3減少することが示唆。収縮期血圧mm水銀柱あたり、卒中の相対的benefitは各薬剤間で同等、またbaseline血圧ごとでも、その心血管疾患の既往があるかどうかでも同等。しかし、血圧減少が大きいほどbenefitが大きいというエビデンスがあった。
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日本の高血圧ガイドライン“JSH2000”は、“高齢者高血圧については高血圧専門家のコンセンサスに基づいて,年齢別に治療対象血圧値および降圧目標値を定めた”とかかれておりまして、つまり“Not Evidence based! Consensus based”であって、高齢者の血圧降下を甘めにするようにしてあります。
(JSH2000に基づく高齢者高血圧の解説)
上記論文の内容と相反する部分があるわけで、今後修正されるのでしょう。
JNC-7の方がやはり現状の診療にあっているような気が私はします。
【JNC-7の骨子】 (ref)
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☆ >50歳 収縮期血圧140mmHg(水銀柱)を越える場合は心血管リスクが高い。収縮期血圧より拡張期血圧より影響が大きい。
☆ 心血管リスクは、115/75mmHgからはじまり、20/10mmHg毎にリスクが倍になる。55歳で正常の血圧の人は高血圧になる可能性は90%。 収縮期血圧120-139mmHgあるいは拡張期血圧80-89mmHgは前高血圧(prehypertension)として、心血管疾患の予防する健康増進生活スタイルの改善を考慮すべき。
☆ 合併症のない高血圧の患者の多くはサイアザイド系降圧利尿剤が、単独若しくは多剤と併用で使われるべき。特定の高リスクにより降圧剤の分類を考慮する状態もある(ACE阻害剤、ARB、β遮断剤、カルシウム拮抗剤)
☆ 多くの高血圧患者では以下の目標値をみたすためには2種以上の薬剤治療が必要となる。<140/90mmHg(130/80mmHg:糖尿病、慢性腎疾患) もし血圧が20/10mmHg+なら、開始薬を2剤にすべきで、1剤はサイアザイド系利尿剤が含まれるべき。
☆ 動機付けが重要。ポジティブな経験をして、医師を信頼したときに動機付けも改善する。共感が信頼を形成し、モティベーションを促進する
by internalmedicine | 2004-03-30 09:25 | 動脈硬化/循環器