EBウィルス:沈黙の同伴者?  原因?

Epstein-Barr virus: Silent companion or causative agent of chronic liver disease?
World J Gastroenterol 2010 September 7; 16(33): 4130-4134


Epstein-Barr virus (EBV)は肝病理において重要で、多面的役割を果たす。
ヘルペスウィルスファミリーメンバーとして、EBVは90%超の人たちで持続感染が成立している。
初期感染期間中の急性肝炎に加え、ヘパトロジストたちが興味を有する多くの症候群とEBVは関連している。

hepatotropic virusによる慢性肝炎について考察

慢性EBVウィルス関連肝炎は、血清学的にコンパチブルな免疫応答性のある患者で疑われ、組織学的な示唆を有し、組織におけるウィルスゲノムの同定 and/or 特異的循環血中のcytotoxic-T-リンパ球の増加でそれは示される。

EBVは移植後リンパ増殖性疾患の主原因で、30%程生じる。
EBVによるリンパ増殖性疾患は非免疫不全者でも生じ、その場合、1/3まで肝病変が見られる。

様々な腫瘍の病因としての直接示唆がされており、EBVは肝細胞がんのcarcignogenesisで疑念が持たれている。ヒト肝臓の癌におけるEBVの役割を確立あるいは否定するための研究が今後も必要。

詳細は、本文を・・・という要約


主要なヘルペスウイルス科ウイルスとして、単純ヘルペスウイルス1型(herpes simplex virus-1;HSV-1=human herpesvirus-1;HHV-1),単純ヘルペスウイルス2型(herpes simplex virus-2;HSV-2=human herpesvirus-2;HHV-2),水痘・帯状ヘルペスウイルス(varicella zoster virus;VZV=human herpesvirus-3;HHV-3),サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV=human herpesvirus-5;HHV-5),ヒトヘルペスウイルス6型(human herpesvirus-6;HHV-6),ヒトヘルペスウイルス7型(human herpesvirus-7;HHV-7),EBウイルス(Epstein-Barr virus;EBV=human herpesvirus-4;HHV-4),カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi's sarcoma-associated herpesvirus;KSHV=human herpesvirus-8;HHV-8)の8種類のウイルス(参考

うち、EBウィルスは、リンパ腫(B細胞リンパ腫、endemic Burkittリンパ腫、日和見リンパ腫、膿胸関連リンパ腫、T/NKリンパ腫・鼻腔リンパ腫、Hodgkin病、 さらに、、末梢性節性T細胞性リンパ腫)、リンパ球・組織球増殖性疾患(慢性活動性EBV感染症、Virus associated hemophagocytic syndrome (VAHS))、EBV関連上皮性腫瘍、EBV関連胃癌などと関与(参考


(http://mymed.jp/di/kfe.html)

EB ウイルスによる発癌機構 〔ウイルス 第56 巻 第2 号,pp.201-208,2006〕 (pdf)
・EBV はB リンパ球をトランスフォーム(不死化)し,すべての潜伏感染遺伝子が
発現する3型感染のリンパ芽球様細胞株(LCL)とする活性をもつが,その機構は免疫不全状態での日和
見リンパ腫などの発生のモデル
・核抗原EBNA1,膜蛋白質LMP1 やLMP2A などが発癌に関わる

by internalmedicine | 2010-09-27 09:31 | 消化器  

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