救急医療:画像診断使用は急増しているが、全患者へのベネフィットを伴わない 

過剰な画像診断機器使用は、医療コストを増加させ、発がん性の可能性のある放射線暴露の危険を増やすが、肝腎の全患者へのベネフィットを伴わない。

1998-2007年の National Hospital Ambulatory Medical Care Surveyのデータを用いて、Korleyらが、外傷関連でER受診において、CTやMRIのといった先進機器を用いる傾向や生命危機を来す頸椎・頭蓋骨骨折、頭蓋内出血、肝・脾臓破裂に関する傾向を調査。
結果、CT、MRIスキャンの頻度は1998年から2007年で約3倍増加しているが、評価された、外傷関連、生命危機病態の頻度は、同様には増えてない。

Use of Advanced Radiology During Visits to US Emergency Departments for Injury-Related Conditions, 1998-2007

Frederick Kofi Korley, MD; Julius Cuong Pham, MD, PhD; Thomas Dean Kirsch, MD, MPH

JAMA. 2010;304(13):1465-1471. doi:10.1001/jama.2010.1408




”割り箸事故訴訟”問題などを代表とする、”CT、MRIをとったらたすかったのに・・・”という患者サイドからの攻撃に対する、訴訟回避・医療側自己防御的医療ってのが、コスト増大&無利益性・有害性ばかりの過剰画像検査問題の根本である。

能動的にこの問題を理解しようともしない裁判官・裁判員たちは、その場の感情だけで、巨悪=医療側ときめつけ、バイアスのかかった判断をすることもあるだろう。

結果、膨大なる医療費の無駄遣い&有害性のある過剰放射線使用となる。


多くに医療関係者たちはこの事実をしってるが、マスコミや行政、司法など全く取り合わない。

今日も、NHK教育で医療事故放送がなされるが、おそらく、一方的な放送内容だと思う。出演者ですぐわかる。

by internalmedicine | 2010-10-06 08:11 | 集中・救急医療

 

<< 肺気腫:total airwa... 透析施設:スタッフの優秀性によ... >>