重度低血糖と血管疾患・死亡イベントとの関連：低血糖によるというよりは易攻撃性のあらわれでは？

重度低血糖は、強化血糖降下治療割り当て群の２型糖尿病において、不良アウトカムのリスク増加をもたらす可能性があり、重度低血糖および大血管・微小血管イベント、死亡との関連を検討した研究

重度低血糖が、即、心血管アウトカムを含む臨床的副事象と関連するような所見だが、実は、低血糖を生じやすい状況にあったに過ぎないのでは・・・という考察が、繰り返す低血糖と重度副事象イベントが相関せずという現象からその推定が成り立つ。

Severe Hypoglycemia and Risks of Vascular Events and Death
N Engl J Med 2010; 363:1410-1418October 7, 2010

２型糖尿病１１１４０名をCox比例ハザードモデルを用いて、共役要素補正

５年フォローアップ平均、２３１（２．１％）で少なくとも１回は重度低血糖エピソード
内訳は、強化血糖コントロール群割り付け　１５０名（５５７１名中　２．７％）、標準コントロール群　８１名（５５６９名　１．５％）
重度低血糖から初回大血管合併症イベントまでの回数中央値、初回大血管合併症、死亡はそれぞれ１．５６年(中間４分位, 0.84 to 2.41),、０．９９年(中間４分位, 0.40 to 2.17)、１．０５年s (中間４分位, 0.34 to 2.41)

フォローアップ中、重度低血糖は、補正リスクとして有意に増加
主要大血管イベント、腫瘍微小血管イベント、心血管疾患原因死は、それぞれ　ハザード比, 2.88; 95% 信頼区間 [CI], 2.01 to 4.12)、1.81; 95% CI, 1.19 to 2.74)、 , 2.69; 95% CI, 1.97 to 3.67) (P<0.001 for all comparisons)

同様の相関が、非血管アウトカム、すなわち、呼吸器、消化器、皮膚疾患で明らか (P<0.01 for all comparisons)

重度低血糖エピソード繰り返しと、血管アウトカム・死亡との相関は見いだせなかった。